成人した子どもの褒め方に悩むことはありませんか?発達凸凹のある子には、「えらいね」と評価するより、感謝や気づきを伝える方が届くことがあります。大人としてのプライドを尊重した肯定的な関わり方をお伝えします。
1.成人した子の褒め方が難しくなる理由
成人した子どもにどう褒めたらいいのか?について、私の経験からお話しします。
子どもは「褒めて育てる方がいい」と聞くけれど、子どもがもう大人になっていたらどうでしょう。
「もう成人しているのに褒めるの?」
「どんな言葉なら自然に届くの?」
そんなふうに、私は迷いました。
「褒める」「肯定する」ということは、子どもがいま自分ができていることに気づくきっかけになります。
できているんだと感じることで次の行動につながりやすくなり、少しずつ自分はできるんだという自信になっていきますので、成人していても褒めること自体には効果があると言えます。

発達に凸凹がある子を育てていると、
「もっと自分から動いてほしい」
「これくらいできるようになってほしい」
と、できていないことに目が向きやすく、なかなか褒められなかったり否定的に関わってしまいやすいんですよね。
そんなときこそ、できていることに注目して肯定的に関わることが大切です。
子どもが成人すると、
「できたね」
「頑張ったね」
「えらいね」
といった、小さい頃には自然に伝えていた褒め言葉が、
「そんな当たり前のことで褒めないでほしい」
「子ども扱いされている」
など、こちらの意図とは違うように受け取られることがあります。
発達に凸凹があっても、本人には大人として扱ってほしい気持ちや、自分なりのプライドがあるからです。
ここに成人した子を褒めようと思ったときの難しさがあります。
2.24歳の息子に「赤ちゃん扱い、うざい」と言われた私
わが家の24歳の息子は、注意欠如・多動症(ADHD)の特性があります。
息子のことをもっと理解したいと思った私は、発達科学コミュニケーション(発コミュ)を学び始めました。
そこで学んだことの一つが、できていないことではなく、できていることに注目して、肯定的に関わることでした。
私は、
「できていることをちゃんと伝えよう」
「否定するより、肯定しよう」
と意識して声をかけるようになりました。
息子は、晩ご飯を作ったり、洗い物をしたり長く筋トレを続けたりしているので、それを言葉にして伝えてみようと思って
「筋トレ続けててえらいね」
「ごはん上手にできたね」
と声をかけてみました。
ところが、実践するうちに何度か息子から「赤ちゃん扱い、うざい」と言われました。
私は、「赤ちゃん扱いしているつもりはないのに」と戸惑いました。

肯定したい。
できていることを伝えたい。
否定ばかりにはしたくない。
それなのに、私の褒め方によっては、息子には「子ども扱い」に聞こえてしまう。
そこで私は、成人した子には、どんな褒め方や肯定なら自然に届くのだろうと考えるようになりました。
発コミュで学んだ肯定の方法を改めて振り返ってみると「すごいね」「えらいね」と褒めることだけが肯定ではありませんでした。
感謝すること、興味や関心を示すこと、気づいていると知らせること、相手の考えに同意することなど、さまざまな肯定の方法があります。
振り返ってみると私は、肯定しようと意識するうちに、いつのまにか「えらいね」「すごいね」と評価する以前からの褒め方になっていたことに気づきました。
息子は24歳です。できることも増え、自分なりの考えもあり、大人としてのプライドもあります。
「えらいね」という評価ではなく、
「助かった」
「気づいているよ」
「そう考えているんだね」
と伝える方が、息子には自然に届くのではないかと考えました。
3.成人した子に届きやすい褒め方と肯定の伝え方
自然に届く声かけを意識した結果、わが家では特に
・感謝する
・興味・関心を示す
・気づいていることを知らせる
・同意する
という関わり方にしています。
たとえば、息子はよく家族の晩ご飯を作ってくれていました。最近では、ほぼ毎日作ってくれています。
私がたまに晩ご飯を作ると、
「献立を一から考えるの大変やろ?ありがたみ分かる?」
と、少し得意そうに言います。
私は心の中で、「私が何年料理してると思ってるんやろ」と思います。
それでも、今は息子が夕方に晩ご飯を作ってくれることで、私はその時間に自分の仕事や発信をすることができます。
確かに、助かっています。
そこで、「そうだね、おかげでやりたいことできているし助かるわ」と伝えました。
すると息子は満足そうな顔をしていました。
このとき私は、息子にとって料理は「できたから親に褒めてもらうもの」ではなく、「家族の中で自分が役割を果たしている」と感じられるものなのかもしれないと思いました。

筋トレを続けているときにも、「毎日頑張っててすごいね」ではなく、「今日もジム行ったんやね」と、続けられていることに、気づいていることを伝えます。
本人が自分の考えを話したときには、
「そう考えているんやね」
と、受け止めます。
親としては、
「それで大丈夫?」
「もっとこうした方がいいんじゃない?」
と言いたくなることもあります。
それでも、まず本人の考えを受け止める。一人の大人として尊重する。そんな関わりが、安心して自分の考えを持ち、自分から動くことにつながるのではないかと感じています。
息子へ届きやすい褒め方や肯定の仕方は、まだまだ試行錯誤の途中です。
「肯定しなくちゃ」と頑張って褒めるのではなく、今のこの子には、どの肯定なら自然に届くだろうと考えるようになったことで、私自身も声をかけやすくなりました。
発達に凸凹があっても、成人した子には自分なりの考えや大人としてのプライドがあります。
肯定をやめるのではなく、子どもの成長に合わせて、褒め方や肯定の届け方をアップデートしていく。
それが、尊重しながらできていることを伝えるという一人の大人としてできる関わり方なのだと感じています。
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執筆者:コメダ リエ
(発達科学コミュニケーションマスタートレーナー)
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