~発達障害・ADHD傾向の子どもの普通級入学体験記~お母さんの行動力が成功のカギ

発達障害・ADHD傾向の子どもの小学校入学。普通級を選択した場合、学校でのサポートがどうなるのか不安、というお母さんもいらっしゃると思います。悩みながらも普通級を選択した就学準備について、お母さんに体験を語っていただきました。
 
 

普通級?支援級?悩んだ末の選択には事前情報が不可欠でした

 
 
今回お話を伺ったM.Aさんは、発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向の小学校1年生男子のお母さんです。
 
 
支援級(特別支援学級)への進学も検討したものの、学校の情報・学校でのサポートを得て、普通級(通常学級)での小学校生活スタートとなりました。
 
 
まずはM.Aさんの入学準備からお話を伺っていきましょう。
 
 
ーー小学校入学前に就学相談は受けられましたか?
 
 
「就学相談は受けていません。ギリギリまで悩みました。
 
受けなかった理由としては、学校の特色として支援級に進学した場合、毎朝普通級に一度入室し、朝の会を行ってから支援級に移動する、という流れがありました。
 
当時『行動する時はなんでもお友達と一緒じゃないといやだ!』というこだわりがあった息子にとって、理由がわからず一人だけ移動させられるのは相当なストレスになるだろうなと予想できたことが大きかったです。
 
学習面の心配もあり、普通級でも、担任の先生の支援やスクールカウンセラーの利用など、学校内でのサポートがあることを聞きました。
 
その上で将来的に支援級選択の可能性を残したまま、学校生活の入り口はまず本人が楽しめることが一番だという結論に至り、普通級に進学することにしました。
 
 
ーー就学相談は受けられなかったとのことですが、小学校の支援級に対する対応など、よく理解されたうえで普通級を選択されたとお見受けしました。支援級のシステムについては、学校の説明会で聞かれたのですか?それとも学校への個別の相談で情報を得られたのでしょうか。
 
 
「入学前に、直接校長先生と個別にお話する機会が多かったので、そのときに学校側から個別にお話を伺いました。
 
また、同じ小学校の支援級にお子さんを通わせているママ友がいたので、その方からも情報を仕入れたりしました。」
 
 
ーー学校への個別の相談はいつごろからどのようにされましたか。相談の回数や、ご主人や子どもさんも同伴されたかについて教えてください。
 
 
「最初に学校にコンタクトを取ったのが7月頃に電話で2、3回程でした。そのあと9月以降から就学前健診までに実際に2回ほど会って話をさせていただきました。
 
子どもの同伴はなしで、1回目が私一人、2回目が夫同伴で直接話をさせていただきました。」
 
 
◆ポイント解説
 
M.Aさんのお話からは、就学相談を受けないことを選択した場合でも、自分で判断材料になる情報を得るために動く必要があということが分かります。
 
 
特に、普通級・支援級でのそれぞれの支援体制は学校によって異なるため、自身の子どもさんが通う学校の支援体制を知るためには、学校訪問が不可欠なんですね。
 
 
さて、悩みながら普通級に進学したM.Aさんの息子さん。入学後の様子はどうだったのでしょうか?さらにお話をお聞きしました。
 
 
 
 

発達障害・ADHD傾向の子どもの学校生活。お悩み解決の秘訣は先生との情報共有にあり!!

 
 
ーー小学校入学前に一番心配だったことは何ですか?また、入学した今はそれについてどう思いますか?
 
 
支援級の選択をしなかったことでクラスの動きについていけず、ストレスになってしまわないかの心配がありました。
 
入学後は、日々の活動がルーティン化できるように 先生も工夫してくださっていたり、本人も学校生活のルールを少しずつ覚えてくれて、クラスでも楽しく生活できるようになってきています。
 
ADHD傾向が強いので、じっと座っていられるかの心配もありましたが、立ち歩くことはなく本人なりに頑張って過ごしているようです。」
 
 
ーー日々の活動をルーティン化されたとのことですが、具体的に先生とどのようにお話されて、どのようなサポートを受けられているのですか?
 
 
「先生には、入学前に、息子はルーティン化が入ると動きやすいということは伝えてありました。ですので、先生が1週間ほど息子の様子を見て、少しずつルールを教えていってくださったことが大きかったです。
 
あとは、入学後に参観日、家庭訪問という流れがありましたので、学校生活内での問題点を、私も実際に見て確認することができました。
 
 
ーーほかに、入学してから予想外の困りごとなどはありましたか?
 
 
「参観日で見たのは、挙手が隣のお友達との早挙げ競争になってしまい、手を挙げて当てられても全然質問を理解できていなくて、モジモジして答えられなかったり、
 
帰る支度のときに一人だけ床にべたっと座ってランドセルに教材を入れていたり、
 
給食のときに牛乳パックの解体ができずお友達がフォローをしてくれているような状況でした。
 
あと、先生から話を伺ってびっくりしたのが、小学校は廊下にも体操服入れ等私物がおいてあったりするからなのか、入学当初は朝から廊下にランドセルを置いてトイレに行ってしまったりしていたそうなんです。
 
ルールとして説明されればすんなり入るのでしょうが、そういう細かなことまで伝えなければ本人はわからないんだな、と知ることができました。
 
今思うと、入学までに、ごっこ遊びなどで学校の1日の流れのシミュレーションを細かく伝えておくことは大切だなと思いましたね。そうすると本人は見通しが持てて安心するのではないかと思います。」
 
 
◆ポイント解説
 

入学後のお子さんの困りごとにすぐに対応したM.Aさん。ここでも、お母さんのフットワークの軽さが活きていますね。

 
 
参観日などで、お子さんの学校での過ごし方を実際目にすることで、家庭だけでは見えない困りごとが見えてくるもの。
 
 
そのような場合、できていないことに目がいってしまうことが多いのですが、M.Aさんのように、普段からお子さんの様子をしっかり観察していると、すぐに次の一手をうつことができますね。
 
 
学校での支援の1つとして、スクールカウンセラーを利用することに決めたM.Aさん、どのようなサポートを受けているのかについても詳しく聞いてみました。
 
 
 
 

学校のサポートをうまく利用しよう。スクールカウンセラーのサポートってどんな感じ?

 
 
ーースクールカウンセラーさんを利用されているとのことですが、学期の途中で相談されたのですか?
 
 
「入学後しばらくは学校生活を様子見していくつもりだったんですが、息子の学校での様子を見て、早めに学校側からのサポートとして、スクールカウンセラーさんの介入をお願いすることにしました。」
 
 
ーー実際、スクールカウンセラーさんをどのように利用されているのですか?
 
 
「家庭訪問前にスクールカウンセラーさんと面談することが可能だったので、そこで子どもの特性等の詳細をカウンセラーと担任用に提出し、本人がストレスを抱えている言動などをそのままカウンセラーさんに伝えたり、家庭内の様子と学校での様子の情報を共有してもらいました。
 
その後は、スクールカウンセラーと学校の先生との連携で定期的に本人の様子を聞ける機会を作り、家庭での気になることや本人の様子を伝えています。」
 
 
ーー具体的に、どの程度お子さんに関わってくれるのですか。 
 
 
「週に1回学校の巡回にきて、授業中の息子の様子を見てくれます。そして、1~2ヶ月に1回程、私との面談があり、授業中の良かったことや気になることなどを報告してくれますね。
 
 
巡回時には、授業中の子どもへの対応についての提案を先生にしていただいて、常時先生と話し合いながら対応いただいているようです。子どもに直接というよりも,担任と子どもとの関わりを調整してくれているようなイメージです。」
 
 
ーーなるほど、専門家の見立てについて、担任の先生に伝えていただけると心強いですね。ここで、M.Aさんが就学準備・小学校生活を経験した今、年長さんのママに伝えたいことはありますか? 
 
 
「普通級を選択したからこそ親がしっかりと動いて学校生活をサポートしてあげる必要があるかと思います。
 
実際に入学前に情報をたくさん学校側に伝えていたおかげでベテラン先生が担任になったのかな?と思う点もあったりしますし、特性の詳細を伝えたおかげでカウンセラーや先生とのやりとりもとてもスムーズに感じているので、普通級を選択したから情報はなくてもいいということはないと思います。」
 
 
ーーM.Aさん、ありがとうございました。
 
●ポイント解説
 
入学後早い時期に、スクールカウンセラーの介入を希望されたM.Aさん。必要だと思ったらすばやく動くことの大切さがわかります。
 
 
スクールカウンセラーの支援はさまざまですが、実際に子どもの様子や、担任の先生が子どもにどう対応しているかを見てもらえて、担任の先生へ関わり方へのアドバイスをしてもらえる、というのは親にとっても先生にとっても心強く安心できますね。
 
 
また、スクールカウンセラーのアドバイスを、家での対応に生かせるというメリットもあります。
 
 
親は実際の学校での様子を常に見ることができないため、このようなシステムがあると、親が気づかない子どもの特性や、対応のコツについても学ぶことができますね。
 
 
最近は、スクールカウンセラーを利用できる小学校も増えていますので、心配な方は就学前から相談したり、入学後の子どもの様子を見て利用を検討されるのも一つの手ですね。
 
 
M.Aさんのように、就学相談を受けなくても、普通級に進学しても、学校との個別の相談でうまくサポートが受けられる場合もあるんだ、というケースを伺い、安心感をもった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
 
でも、お話の最後にあったように、普通級を選択したからこそ、お母さんがしっかりと動いて学校生活をサポートしていくことが重要だということがわかりました。
 
 
子どもさんがスムーズに学校生活を送るためには、お子さんのことをより注意して観察したり、スクールカウンセラー等を利用して学校側との連携をより密なものにするなどの働きかけが大事ですね。
 
 
小学校生活の始まりにほっとしたのもつかの間。子どもさんがストレスを感じていることに気づいたM.Aさん。
 
 
発達凸凹の子どもに必発の学校ストレスに対し、M.Aさんはどのように対応していったのでしょうか。~発達障害・ADHD傾向の小学生入学体験記~子どものストレスの元が問題解決のカギでお伝えしていきます。
 
 
 
 
就学準備に悩むお母さんにぴったりの情報、そろってます!!
 
 
執筆者:森中博子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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