吃音と繊細さのある子が「学校での失敗」を怖がる理由

失敗への不安が吃音を強くしてしまう理由
失敗への不安が強いと、 頭の中は常に「間違えないための確認」でいっぱいになります。
この状態では、落ち着いて考えること、自分の気持ちにあう言葉を選ぶこと、不安な気持ちを切り替えることなどの力に余裕がなくなり、言葉を組み立て、順番に外へ出すためのエネルギーも不足しやすくなります。
その結果、不安が強い朝ほど吃音が目立つ、という状態が起こりやすくなります。
だからこそ、吃音をよくしていくために必要なのは失敗しないことではなく、 失敗しても大丈夫だと感じられる感覚です。

不安を抱えたまま学校生活を続けていくと、
・確認しないと動けない
・失敗を極端に怖がる
・人前で話すことに強い緊張を感じる
という状態が当たり前になっていきます。
低学年の今だからこそ、「失敗しても立て直せる」という感覚を育ててあげることが、 これから先の学校生活を大きく変えていきます。
吃音と繊細さのある子の口癖が「大丈夫かな」から「まあいっか」に変わった我が家の関わり
我が家には、吃音と繊細さを持つ小学生の息子がいます。
息子は先の見通しを持って考えるのが得意なタイプで、だからこそ登校した後、困らないか、忘れ物はないか、うまくやれそうかをとても意識していました。
1年生ということもあり、一緒に持ち物の確認をしていました。
ですが、心配な気持ちを膨らませていく我が子をみて、持ち物の確認をする関わりをやめることにしました。
私自身も、「この関わりで本当に大丈夫なのかな」と不安でした。

確認しないことで、余計に困らせてしまうのではないか、と何度も迷いました。
そこで、朝の準備中や、登校前に不安を口にしたタイミングで、 長い話ではなく、30秒ほどの短い失敗談を話すようにしました。
仕事で忘れ物をしてしまったこと、うっかり間違えてしまったこと、などを重たくなりすぎないように軽めの口調で伝えるようにしました。
そして決まって伝えたのは、それでも大丈夫だったよという結果です。
忘れ物したけれど、貸してくれる人がいて大丈夫だったよ。
次は気をつけようって思ったよ。
うっかり間違えてしまったけど、ミスを教えてくれる人がいて大丈夫だったよ。
ママも他の人のミスを助けてあげられるようにしようって思ったよ。
などと繰り返し伝えていきました。
そう伝えることで、失敗=終わり、ではなく、失敗しても、相手との関係も自分の価値も変わらないという安心感を言葉と経験で渡していきました。
すると息子は、登校前の過度な確認を少しずつ手放し、「まあいっか」と口にするようになりました。
この「まあいっか」は、もうどうでもいいという投げやりな意味の言葉ではなく、 まあきっとなんとかなるから大丈夫という安心の気持ちがこもったものでした。
朝、大丈夫かな?と不安を口にしていた時には強めに出ていた吃音も、きっと大丈夫と思えるようになってくると目に見えて落ち着いていきました。
吃音と繊細さのある小学生が失敗を恐れなくなるための3つの関わり
吃音と繊細さのある子が失敗を怖がらなくなるために、必要なのは「失敗させないこと」ではありません。
大切なのは、失敗しても大丈夫だと、体感として知ることです。

我が家で意識してきた関わりは、次の3つでした。 。
①ママの失敗を見せる
子どもにとってママは、安心できる存在であり、身近なモデルです。
だからこそ、完璧な大人を演じるよりも、「失敗したけれど大丈夫だった経験」を見せることが、子どもにとって大きな安心につながります。
忘れ物をしたこと。
間違えてしまったこと。
うまくいかなかったこと。
それを隠さず、深刻になりすぎない温度で伝えることで、「失敗=終わり」ではないことが、自然と伝わっていきます。
②「大丈夫だった」を具体的に伝える
「なんとかなるよ」ではなく、「どうなって、どう収まったのか」を具体的に話します。
たとえば、「忘れ物をしたけれど、貸してくれる人がいて大丈夫だったよ。」 「間違えたけれど、教えてもらえて助かったよ。」
結果までを聞くことで、子どもは失敗の先にある“安心の形”をイメージできるようになります。
不安を打ち消す言葉ではなく、不安を乗り越えた安心を届けてあげられます。
③子どもの失敗を責めない
一生懸命やっていても、失敗してしまうのが小学生です。
コップを落とした。
忘れ物をした。
間違えてしまった。
そんなときに、失敗そのものを責めるのではなく、「教えてくれてありがとう」 「話してくれて嬉しいよ」と受け止められると、子どもは失敗しても自分の価値は変わらないという実感を持てるようになります。
この安心感が、次に挑戦する力につながっていきます。
失敗を怖がらなくなったとき、子どもの心はふっと軽くなります。
心に余裕が戻ると、言葉を選ぶエネルギーも戻り、吃音も自然と落ち着きやすくなっていきます。
失敗しないことを目指すのではなく、失敗しても立て直せる力を育てること。
その積み重ねが、吃音があっても、繊細さがあっても、安心して学校生活を送れる土台になります。
明日すぐ完璧に変える必要はありません。
まずは一度、ママの小さな失敗をひとつ話してみてください。
その一言が、子どもの「まあいっか」を育てる一歩になります。
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

