吃音のある小学生が「疲れたから行けない」と布団から出られないワケ
「今日、学校?休みがよかった。疲れた。」そんなふうに、布団から出られない朝はありませんか?
大人も楽しい週末を過ごした月曜の朝は、まだ前日の疲れが残っていて、「仕事行きたくない」と思うことがあるかもしれません。
実は子どもにもそんな朝はあります。
体調が悪い様子もなく、ただ、週末の疲れと前日の疲れが重なり、 体も気持ちも、まだ切り替えられない様子の時、「学校行きたくない」というセリフを言葉通りに受け止めて、
「学校で嫌なことあったのかな?」
「休ませた方がいいのかな?」
と心配することがあるかもしれません。
吃音のある子にとって、楽しい週末のお出かけが、思っている以上に疲れやすい場合があります。
周りにたくさんの人がいる状況で、どもるかもしれないと話したいことを我慢してしまったり、いつもの自分よりも無意識に気を張ってしまうことがあります。

こうした気を張る積み重ねが、目に見えない緊張として疲れをためやすく、朝になると「動けない」「切り替えられない」状態として表に出てくることがあります。
それは、行きたくない気持ちというよりも、疲れが残ってしまっている状態です。
吃音のある小学生の「行きたくない」は「考えられない」サイン
早めに休んだつもりでも、朝になってなかなか起きられないほど疲れているとき、 子どもには「考えて動く」ためのエネルギーが残っていません。
この状態で「早く起きて」「行かなきゃダメでしょ」と声をかけても、さらに負荷がかかり、どっと疲れを感じて、ますます動き出せなくなってしまいます。
そして実は、もういっぱいいっぱいになっているこの状態こそが、吃音が強く出やすいタイミングでもあります。
頭と気持ちに余裕がないと、言葉を選ぶためのエネルギーが足りず、吃音が出やすくなってしまうからです。
だからこそ、吃音をよくしていくために大切なのは、無理に行動させることではありません。
疲れている自分を否定せず、「今は疲れているんだ」と一旦受け入れ、ほっと安心できる状態に切り替えること。

その安心が戻ったとき、「どうしたいか」「どうするか」を考えられる余白が生まれます。
このように、自分の気持ちや体調を受け入れ、認められる経験を重ねることで、 子どもは少しずつ、次の行動を自分で選べる状態に戻っていきます。
この積み重ねが、吃音が出にくい状態を支える大切な土台にもなっていくのです。
〇〇し続けたことで、切り替えられた我が家の関わり
我が家には吃音のある小学生の息子がいます。
ノリがよくて元気いっぱいな様子にみられがちですが、敏感なハートを持っています。
ある朝、「おはよう」と起こしに行くと、「今日も学校?休みがよかった。疲れた」となかなか起き上がれない様子です。
この朝、私は 「学校に行ってほしい」という自分の思いを、いったん横に置きました。
これまで私の都合や焦りを押し付けることでバトルになってしまったことが度々ありました。
その反省を活かして一旦気持ちを受け止めると決めました。
そして、疲れていること、頑張っていること、眠くて動けない感覚の一つ一つに共感と肯定の言葉を届けました。
「そっか、疲れたよね、ママも今朝、クタクタでなかなか起きられなかったよ。一緒だね」と疲れていることに共感し、布団の中でたくさんスキンシップをとりながら、気持ちを聞きました。

すると自分でトイレに行き、いつもの朝のルーティンに自然と戻っていくことができました。
「学校休みたい」という言葉は出なくなり、登校準備も自分で進め、いつも通り元気に登校することができました。
疲れで頭がいっぱいになっている朝に大切にした3つのポイント
「疲れたから、学校行きたくないな」そんな言葉を聞くと、ママも不安になったり、時間や予定を思い浮かべて焦ってしまい、なんとか動かさなくては、と声をかけたくなりますよね。
私自身、これまで同じように対応してきました。
ですが、そうすればするほど、 かえってこじれてしまうことが多かったのです。
そこで今回は、「今のあなたのままで大丈夫だよ」というメッセージを届けるために、次の3つのポイントを大切にしました。

そのまま受け止める
「甘えているのかな」「もう少し頑張れるんじゃないかな」 そんなママの気持ちはいったん横に置き、今は疲れている状態なんだという事実を、そのまま認めます。
「疲れているんだね」と状況を言葉にして伝えるだけで、心も脳も、ふっと緩みやすくなります。
感覚を共有する
大人にも、疲れて動けない朝がありますよね。 「ママも今朝、なかなか起きられなかったよ」そんなふうに感覚を共有すると、 子どもは「自分だけじゃないんだ」 と安心し、気持ちをゆるめやすくなります。
感謝を伝える
「疲れたって教えてくれてありがとう」と自分の感覚を言葉にしてくれたことに、 感謝を伝えます。
この一言が、次に困ったときも気持ちを言葉にして伝えようとする力につながります。
疲れて頭がいっぱいになり、動けなくなっているときこそ、無理に動かそうとせず、まず安心を届けることが大切です。
気持ちが満たされ、安心できる状態に戻ると、子どもは自分のタイミングで切り替え、次の行動を選べるようになります。
この「いっぱいいっぱいな状態を受け止めてもらい、自分で考えて動き出せた経験」の積み重ねが、不安や吃音が出にくい状態を支える土台になっていきます。
いっぱいいっぱいなときに強く出やすかった吃音も、落ち着いた状態で登校できていました。
困りごとや、「うまく進まなそうだよ」と教えてくれたときこそ、ママの願いを一旦横に置いて、ゆっくり受け止めてみませんか。
そのやりとりの中で、少しずつ前に進むためのエネルギーが蓄えられていきます。
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

