近年の学習支援の常識は「早くから見つけて、早くから学習支援も始めちゃおう」です。
小学校に上がったらみんな文字を学びますが、読み書きに困難があるお子さんは、小1でスタートしたのでは学習についていくための時間が足りないとわかってきました。
だから、就学前後はお子さんが楽しめる方法で文字学習を取り入れよう!そんな療育が、手厚く用意されるようになりました。
ですが、これはあくまでも就学前に気づかれた子だけが受けることができるサポートです。発達障害グレーゾーンキッズの学習障害は見逃されることも多い。
できることもあって、できないこともあるから、「がんばったできるんじゃないか」と周囲の大人が勘違いしやすい。
また、勉強以外の困りごとの陰に学習の苦手さが隠れてしまって見過ごされてしまうこともあります。
気がついたら高学年になってしまっていた…そんな経験をされているママはたくさんいるのではないでしょうか。
そして、そんな状態で高学年を迎えた子たちは、たくさんの辛い経験をずっと重ねて大きくなってきている状態です。
ここが高学年の難しいところ。低学年の子がやっているような、書いたり、読んだりする、トレーニングをやろうとしても「もう勉強なんて絶対に嫌!」となっているのでうまくいきません。
勉強なんてやりたくない…
こんなネガティブな感情があるままでは、勉強をするという「行動」は起きにくくなります。
分かる楽しさ、目標の点数をゲットする楽しさ、色々ありますよね。
もちろんそれもいいのですが、結果だけにやりがいを求めるのは学習障害の子たちにはおすすめいたしません!
なぜなら、理解のつまづきのある子は必ずしもいい結果を出せるとは限らないからです。結果だけに、やりがいや楽しさを求めると学習での達成感や成功体験、面白味が得られにくくなります。
だからこそ、学習のつまづきのあるお子さんにとっての学習の楽しさは、一緒に勉強する人とのコミュニケーションの質によってもたらされます。
発達障害グレーゾーンの子の多くは、自分に出来ないことを痛いほどに気づいています。
読もうとすると苦痛、書こうとすると苦痛、勉強しようとすると苦痛、言われていることがわからない。そんな状態で、学校でも家でも、嫌いな勉強をしろしろと言われ、さらに勉強を教えてくれる人とのコミュニケーションまで最悪だったら…行動量(勉強時間)は低下してしまいます。
私が子どもの立場なら、何とかして「やらなくていい方法」を一生懸命考えます。
仮病を使うかもしれないし、
動画の世界に逃避するかもしれないし、
塾に行くと言って公園で遊ぶかもしれないし、
暴言で抵抗するかもしれないし、
フリーズして何もしなくなるかもしれない、です。
子どもがこんな様子だと大人は「ちゃんとやりなさい」とつい言ってしまいがちですよね。
もちろん、発達障害グレーゾーンの子たちにも、「苦手なことにも取り組む」チカラは育ててあげたいですが、そのためには順番があります。
「僕にもできるかもしれない!」と感じるステップあって、取り組む経験を積んで、初めて苦手なことにもチャレンジしていくチカラが育っていくんです。
だから、出来ないことを自覚させるコミュニケーションよりも、「できる気がする」と感じさせるコミュニケーションが大切です。
どんなに高価な教材があってもどんなに人気の塾に通ってもそれだけではダメです。
一緒に勉強する人、教える人とのコミュニケーション次第で、
「僕はやっぱりダメだ…」と思うか
「やったらできるかも!」と思うか
大きく変わっていきます。
勉強に対して、いつまでも「嫌だ」と感じさせてしまうなら…発達は加速しにくいです。
「え?勉強?やってもいいよ」「最近ちょっと楽しくなってきたよ」そんなプラスの感情を育ててあげられる、お家でのサポートを今日からスタートしましょう。
高学年の勉強嫌いのサポートは、それまでのこじらせ感や、勉強の何に苦手さを感じているかによって、対応が異なります。サポートのステップも違ってきます。
もっというと、学習の苦手さを抱えているお子さんは、勉強の場面だけでなく、日常生活のいろんな場面でも課題を抱えていることがあります。
小学校高学年・思春期という時期。自立に向けてしっかりサポートできる最後のタイミングになります。先送りせずに、学習習慣も生活習慣も整えるサポートを今からスタートしましょう。
「できる気がする!」と感じさせる声かけで、行動力がUPするコミュニケーションにシフトしてみてくださいね。
執筆者:清水畑亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
親子の対話で「プラスの感情を育てる」コツを
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