1.ウクライナ侵攻の子どもへの影響は?
今年の2月24日、ウクライナ侵攻と呼ばれる、ウクライナとロシアの戦争が勃発しました。
繊細なお子さんや不安を抱えやすいお子さん、大丈夫ですか?
繊細な心を持つ子どもにとっては戦争の情報がショッキングすぎて心にトラブルを抱える可能性があります。
今回は、思春期以降の子どもにも対応できる、戦争を怖がる子どもへの家庭での対応方法をお伝えしたいと思います。
我が家では、HSC(Highly Sensitive Child:人一倍敏感な子)の傾向があり、日頃から繊細で不安が強めな娘が、「戦争やってるんだって」とポツリとおやつを食べながら話してきました。
娘は、YouTubeやTickTockを見るのが大好きで、政治や国際情勢については今までまったく興味を示したことはありませんでした。
そのため、私は「SNSで戦争の情報を見たんだな、世界への関心も出てきたのかな?」という認識を持ちました。
しかし、その日の夜から娘は1人で眠れなくなってしまったのです。
「戦争怖いよ。お母さん一緒に寝よ。」
と言うようになりました。
「YouTubeで戦争見て怖くなった?」と聞くと、
「ロシアなんて大っ嫌い!プーチンなんて大っ嫌い!」と言うのです。
そして寝る間に入念に玄関の戸締まりを調べたり、ストーブを消し忘れていないかのチェックをするようになりました。
戦争への嫌悪感を表す言葉だけではなく、強迫的な行動もみられたため私はただごとではないなと感じました。
一緒に寝るの大歓迎!だけれど…この不安や感情の変動を放置してはいけないなと感じました。
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2.HSCで不安の強い子どもが不安マックスに!
HSCの子どもは、周りの人の感情を受け取りやすいといわれます。
戦争を伝えるニュースは、
「あの国が悪い!」
「こんなひどいことしてきたぞ!」
と、国と国を非難し合う情報がとびかっていますね。
この情報をHSCの子どもが受け取ってしまうとその嫌悪感に心が悲鳴をあげてしまうこともあるかもしれません。
また、爆発のシーンや人が血を流しているシーンを見ると刺激が強すぎてショックを受けてしまうかもしれません。
繊細で不安を抱えやすい子どもは、脳の感情を司る部分が敏感になりやすいです。
不安や恐怖を感じると、どんどんネガティブな思考回路が無限ループのように回り、自分ではなかなか思考回路をとめることはできません。
ネガティブな思考を続けてしまうと、体にも影響が出てくることがあります。
眠れなくなったり、ため息が多くなったり、体が重くなったりしてしまいます。
自分がネガティブ思考になっていることに気がついていない場合もあり、なんだか調子が悪いと1人で抱え込んでしまう場合もあるので要注意です。
ですから、お母さんが子どもの思考回路をポジティブな回路にしてあげるお手伝いをすることが必要です。
また、情報の取り扱い方にも注意が必要です。ネットの中の情報にはフェイクニュースも混ざっています。
現代は無数の情報が飛び交っている時代です。不安になってしまう情報を全て排除することは難しいのです。
娘が見て怖がっていた戦争の爆撃シーンも、実はウクライナで起こったものではなかったことが後々わかりました。
3.戦争が怖い子どもへ親としてできること
戦争が怖くて不安で仕方なくなってしまう子どもが、落ち着いて不安を軽くすることのできる会話のコツをお伝えしますね。
◆小さな子どもの場合
小さなお子さんの場合、親がテレビで情報を仕入れようとニュースをつけていると一緒に見ていることが多いですよね。
子どもが恐怖心を伝えてこなくても、心の中では不安が積み重なってしまうこともあります。
なるべく皆が見るリビングで見ることは控えて、スマホやタブレットで見る、子どもが寝てから見るなど工夫をするようにしましょう。
◆思春期以降の子どもの場合
小さな子どものように親が情報の見方を気をつけたとしても、子どもが自分でスマホやタブレットを見ることができる場合は、別の対策が必要になります。
「戦争のニュースは不安になるから見ない方がいいよ」と言っても、ちょっと気になって少しだけと思って見たら、延々に見続けてしまうということもありえます。
だからといって、「もうスマホは見ちゃダメ!」と言えば子どもの落ち着ける時間や楽しみの時間を奪ってしまうため現実的ではありません。
大きなお子さんの場合は、親子で戦争や情報の取り扱い方について話をしてみましょう!まず、怖いと思ったことは当たり前の感情であることを伝えた上で、
「どうして戦争するんだろうね?」
「戦争で人が死んじゃってもいいのかな?」
「ロシアはなんで気持ちで爆弾うったりするのかな?」
「ウクライナの国民は戦うの嫌じゃないのかな」
等と、教え込むのではなく、お母さんが現在の戦争の状況を簡単に伝えながら子どもに伝え、一緒に考えてみましょう。
世界地図を広げてみたり、地球儀を一緒に見たりしながら話すと、世界地理の学びにもつながります。
正解不正解は出ない会話ですが、「どうしたら良くなるんだろうね」とポジティブに考える方向へ子どもを誘導してあげましょう。
また、もう一つ親子で確認してほしいことは、情報リテラシーについてです。
・世の中にものすごい数の情報が飛び交っていること
・本当の情報もあれば嘘の情報もあること
・情報を知って鵜呑みにするのではなく、自分でその情報を知ってどう考えたのかを振り返ってほしいこと
これらを子どもに伝えてあげてください。
情報リテラシーについてはこちらの記事も参考にしてください!
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4.不安の思考回路をポジティブに変換する!
親子で戦争についての話をして2日目から、娘は再び1人で眠れるようになりました。
私たち親子が達した結論は、
「それぞれの国でそれぞれの理由があるかもしれない。けれど、怪我をさせたり死なせてしまったりするようなことは、やっていいことではないと思う。」
「私たちの力で戦争を止めることはできなさそう。けれど、私たちが家族や友達のことを傷つけないように接することで、そういう人が増えていけば戦争なんてしたいと思う人はいなくなると思う。」
というものでした。
また、娘はその後、テレビ番組の世界情勢を解説する番組に興味を持ち、韓国や中国など日本と近い国がどんな国なのかを学び、教えてくれるようになりました。
戦争に関しての不安はなくなったわけではありませんが、やみくもに不安になるのではなく、ニュースを見るたび色々とツッコミを入れたりしています。
大人への階段を登っている最中の思春期の子どもには、ネガティブな情報を隠すだけでは対処できなくなっていきます。
ネガティブな情報に触れてしまった時に、どんな対応をすることがいいのか。それを大人になるまでに身につけられると良いと思います。
ぜひ、皆さんも戦争の話をただ「悪い、いけない、ダメ」で終わらせるのではなく、不安な子どもが不安のループに巻き込まれないような会話をしてみましょう。
「どうしたらよくなるのかな?」のプラス思考を働かせることができるようになると、勉強や遊びも前向きにできるようになっていきますよ。
執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
子どもの特性を学べば、子どもの不安も成長に変えることができます!
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