1.うつ症状のようなシグナル
発達特性を持つ子や、ひといちばい敏感な子(Highry Sensitive Child=HSC)といわれる気質を持っている子ども達が、いつもより不安が大きくなっていたり、子どもにとって苦痛な感覚の敏感度が高くなったりするのはどんな時でしょうか。
新学期がはじまり少し慣れてきた5月の頃、不安をもらすお子さんがいます。
普段に比べて、お子さんに次にあげるような反応は見られませんか?
・深く考えすぎて悪い予感がすると動けなくなっている
・先の予定や何をするのか確認ばかりする
・野菜の種やごはん粒、鏡の水滴、つぶつぶしたものを気持ち悪く思う
・成長痛のような体の痛みや、頭痛、腹痛を訴える
・埃っぽいにおいなどに反応して全く集中できない
・家の中の小さな物音や遠くのサイレン音がひどく気になる
もともとの繊細さや敏感さには個人差がありますが、普段より敏感な反応は、お子さんの心とからだがとても疲れてしまったシグナルの可能性があります。
そのままにするとより深刻なうつ症状、二次障害、不登校に発展してしまうことがあります。
もし子どもの出すシグナルにお母さんが気づき対処ができたなら、心とからだの疲れを軽減し、ストレスで潰れてしまうことを予防できるようになります。
敏感さや繊細さがあるがゆえに傷つきやすいお子さんが、生きやすくなるにはコツがあるのです。
子どもがおかれている環境や成長によって、特性が濃くも薄くもなると実感した私の体験談をお伝えします!
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2.怖いのは学校の先生?
現在小6になった息子は、保育園時代までは慎重で繊細な面が目立つ子でした。
たとえば、
・保育園時代、入園後2年以上毎朝泣いていた(園で息子だけ!)
・歌ったり踊ったりの声も動きも小さい
・母ちゃんの手は絶対はなさない、道路に飛び出すことはない
・「自分の着たい服」と「母ちゃんが好きっていった服」の2つの間で泣きながら悩む
・保育園で男子たちの戦いごっこが苦手
・父ちゃんが絵本を読むと「母ちゃんの優しい声で読んでほしい」と泣く
他の男の子より大人しく優しい印象の子どもだったのです。
小学校生活がスタートすると、特に困りごとは感じられず、私はいつの間にか息子の繊細な面をほとんど気にしなくなっていました。親だけでなく、新しい刺激やたくさんの好奇心に引っ張られていた息子も同じだったと思います。
私が息子の繊細で慎重な一面と再び向き合うことになったのは、小3の5月、突然小学校に通えなくなり、息子が学校の出来事をうつうつとらえていることに気づいてからです。
「学校の先生が怖い」
「教室で誰かが怒られているのが嫌」
「先生に目をみられると石になる」
教室で先生が怒っていると委縮し思考停止となり、家で思い出してもただただ怖い、しんどいと感じているようでした。
なぜ先生の怒りをそこまで敏感に受け取るようになってしまったのでしょうか。
当初は学校や習い事の先生の怒り方に問題があるのではないかと考えたのですが、実はそうではなかったのです。
息子は発達検査で言語理解の項目で、人に言われることの理解はよくできても、自分の中で考えをまとめ発信することは年齢よりも2歳は遅れていると指摘されています。
そんな息子に、学校から帰宅後、
「お願いやし、早く宿題やって早く習い事に行ってや。何で出来んの??」
「時間ないのわかってるよね、もういい加減にしてっ」
と、得意ではない時間管理について、注意、指示、命令ばかりしていたことに気づいたのでした。
あまり言葉は上手に返せなくても、言われていることや雰囲気は察知できる息子なので、母親の言葉、声色、表情から怒りのオーラをたくさん感じたことは、とてもつらかったはずです。
穏やかな保育園生活と比べると、小学校では強く叱られる子をみる機会が多くなったことや、家で自分が特性の苦手さからすぐ行動に移せないことを、親から指摘され続けたことが重なり、ダブルでずっと責められているような状態になってしまったのでした。
その結果、家でも学校でも緊張感が抜けず、心とからだが疲れ果て、抑うつや、不安感の強い状態が大きくなってしまったのですね。
大失敗をしてしまった私ですが、次は、「ふぅー」と親子でからだから不安や悪いものが抜けていく、そしてその後には元気になれる方法をご紹介します!
3.2選!不安と苦痛な感覚の敏感さを落ち着かせよう
子どもの不安と苦痛な感覚の敏感度が高くなっている時、お母さんにしてほしいことを2つお伝えします。
♦太陽対応で母子関係をあたためる!
イソップ物語の「北風と太陽」の話はよく知られていますよね。物事に対して許さないと厳しく責めるよりも、理解を示し受け入れる対応をする方が良いという教訓です。まずは北風対応をやめてみませんか。
たとえば、
×北風=心を傷つけるちくちく言葉で動かそうとする
(「××も△△もやってなくてどうするの?!お母さん知らないかねっ」)
○太陽=心が嬉しくなるあったかい言葉で現状を肯定する
(「○○はやったんだね!よし。あと2つは一緒にやる?終わったらおやつにしようか」)
×北風=勉強が終わらないと子どもと敵対関係
(できない、わからないのは、がんばらない子どもが悪い!思考)
○太陽=勉強が終わらないなら子どもに寄り添い協力関係
(できない、わからないのは、この子にやり方があってないだけかも!思考)
お子さんの不安を小さくする第1歩です。これまでやっていた北風対応がお子さんだけでなくお母さんの心も自己嫌悪で傷つけていたことに気がつくはずです。
太陽対応なら、お子さんの笑顔が増え、発言や行動が変わり、子どもの良さを引き出せます。
♦子どもの好きな感覚を日常で活用する!
繊細さや不安をもつお子さんには敏感な感覚があります。北風の不要な刺激を取り除いた後は、どれだけでも好きな感覚で満たしてあげましょう。
うちの息子の場合は、
・石の色彩や模様、スベスベつるつる感(視覚、触覚)
・毛布やぬいぐるみのふんわり柔らか感(触覚)
・キラキラのビーズやビー玉(視覚)
・いつでも聞けるように好きな音、音楽集め(聴覚)
・入浴剤入りのお風呂につかる(嗅覚、触覚)
・お灸のやわらかい刺激(触覚)
に、心が落ち着きとても癒されていました。
お子さんの敏感な感覚は何ですか?その感覚で、小さな幸せを感じられる瞬間をたくさんコレクションさせてあげてください。そしてどんな風に感じるのかを、ぜひお子さんに教えてもらってくださいね。
嬉しい顔で話してくれるお子さんに、きっとお母さんの心も緩んでくるはずです。
お子さんが、ふんわりと感じている好きの感覚を、自分の言葉で伝えてくれると、お母さんとの会話の積み重ねで、自分がどんなタイプなのかだんだん見えてくるようになります。(これがのちのち役立ちます!)
ただし本当に極限まで疲れ切っている場合には、目を閉じて、耳をふさいで、視覚や聴覚の情報をシャットダウンした方がよい時期もあります。また針と糸で波縫いや毛糸の指編みなど単調な作業を繰り返すようなことがちょうど刺激の程度となることもあります。
子どもを観察し、状況に合わせてぜひ試してみてくださいね。
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4.繊細な子どもでも自分のことを知ると強くなれる!
現在息子はフリースクールに元気に通い、近所のお友だちと河原や公園をはしごして遊びまわっています。最近では不安さよりも行動力が勝っています。
もともと繊細な部分を持つ息子なので、良い刺激や悪い刺激の両方に人より反応し、今でも疲れ果てクタクタで外から帰ってくることがあります。
でもそんなに心配しなくても大丈夫!
本人の気持ちが整っていれば、乗り越えられることが不思議と増えていくのです。
お母さんが家で子どもを受け入れ肯定し、子どもが自分のことを知っていくことは、間違いなくこれからの生きやすさにつながっていきます。
刺激を受けてストレスがたまった状態になっても、自分で心と体をコントロールできるようになっていくのです。
最近の息子は、自分の敏感さや好きな感覚を知ったからこその対処をしています。
・嫌な刺激があってむしゃくしゃしていたら、好きなワンちゃんの写真をみて心をほわっとさせる
・楽しすぎる1日で興奮して寝られなくても、ぬいぐるみを抱きアロマの香りを小瓶から直接かぎ、 睡眠スイッチを入れられる
刺激やストレスを、短時間にリセットできるようになった息子は、
「自分の心が木製から鉄製になった!(強くなった、という意味)」
と、話してくれています!
家での親の対応を変えただけで、不安感や子どもにとって苦痛な感覚の敏感度が下がり、特性が薄れたように感じます。
もちろんうつのような症状はもうみられません。
お子さんの不安感や、苦痛な感覚に対する敏感さが増している最近感じているお母さん!
もしもお家でエネルギーを奪う北風対応をされていたならば、思い切って太陽対応に切り替え、子どもが幸せを感じられる敏感さを発見し、子どもと会話してみませんか。きっと今よりお互いに心地よい親子関係になれるはずですよ!
執筆者:とくながともえ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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