1.勉強できない発達障害ADHDの子には勉強スタイルの見直しを!
突然ですが、勉強時間って長ければいいのでしょうか?
我が家の息子(高3男子)は勉強が苦手な注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプです。
息子は勉強ができる方ではありません。中学1年の時、私はそれまで通っていた塾をやめさせる決断をしました。
週1回、2時間半。
たったこれだけでしたが、宿題もやらなかった息子が学校以外で唯一勉強していた時間でもありました。
別に塾に通わせているからって成績が伸びているワケでもないのに、やめたらもっと勉強できなくなるかも知れないから、と「お守り」代わりに通わせていたのです。
勉強量が減るのって、親にとっては「恐怖」ですよね。
なぜ親が恐怖を感じるのかと言うと…
勉強量は多い方がいい!それがこれまで信じられてきた勉強の「常識」だからです。
塾を辞めることを伝えた時、塾長からも
「ただでさえ勉強量が少ないのに今より勉強時間が減るのはリスクですよ!」
「高校受験を考えると続けた方がいいです!」
と言われました。
発達科学コミュニケーションに出会う前の私だったら「ええ⁉そうですか?じゃあ、やっぱり続けようかな…」なんて右往左往したかもしれません。
ですが、その時の私は何の迷いもなく辞める選択をしました。
これは私が息子の発達障害ADHDの特性を知って得意と苦手に気づいたからこそできた決断でした。
2.勉強時間は「長ければいい!」を手放す
情報の整理が苦手な発達障害ADHDタイプのお子さんだと「量」をやらせたとしても、たくさんの情報を処理しきれないことがあります。
子どもの発達の特性がわかると、お母さんがこれまで信じてきた勉強の「常識」を手放した方がいいと気づくことがあります。
そもそも、グループスタイル(集団授業)の塾は、発達障害ADHD不注意タイプの息子には合ってなかったということに私は気づきました。
授業が始まって15分くらいは頑張っているけど途中からわからなくなって…
だけどグループだからカリキュラムで決まったところまで進まなくちゃいけない。
授業はどんどん進んでいく。
結局、息子は授業のほとんどを理解せずに過ごしていたワケです。
しかもその塾は「先取り」をウリにしていて、学校の授業よりもっと先を学ぶのです。
ところが残念ながら息子は「情報の整理」が苦手です。
いかに塾で先取りをしても、学校でその内容に再会したときに
「あっ!あの時やったあの問題だ!」
…とはならないわけです(涙)。
結局、学校の授業の知識の基礎もグラグラ…
塾の先取り授業の知識もグラグラ…
あっちもこっちもわからない!という状態は相当ストレスだったはずです。
この状態でいくら「時間」を重ねてもやる気と成績が伸びるわけがなかったのです。
発達の特性のために息子に起きている状況をやっと理解できたことで、私は勉強時間は「長ければいい!」という常識を手放すことができました。
「そうなると勉強時間をずっと減らしたままでいいんですか?」
と疑問に思われる方もいらっしゃいますよね?
ずっと減らすわけではなく、本人が「ここまでならできそう」と言うところまでは、いったん量を減らして「できる!」という成功体験を増やしていくのです。
3.発達の特性にフォーカスしたマル秘作戦
うちの子、勉強ができないな…とお母さんが思う発達障害ADHDの子どもにとって、その子に合った勉強法で取り組ませてあげることが大切です。
私は、無理して勉強をさせなくてもいい!とは思っていますが、別にアンチ塾、アンチ勉強、な訳ではありません。
自分の努力が形になったり点数になったりするのは、子どもにとってもうれしいし自信につながります。
大切なのはその子に合ったやり方になっているかどうかです。
塾を辞めて自分なりにリサーチした結果、ある家庭教師に息子の勉強をお願いすることにしました。
条件はたった1つ。
我が子の発達障害ADHD特性に合った指導ができるかどうかだけ。
どんな指導をしてくれたのか少しご紹介します。
◆できる問題しかやらない
まずできることにフォーカスしてやるべきことを絞って勉強させました。
息子は、数学は計算問題は解けるけれど文章題は解けませんでした。
その場合は、計算問題だけやればOK!なのです。
英語はそもそも単語がスペル通りに覚えられない。
英語の勉強でスペルが覚えられないなんて致命的…!って思うかもしれませんが、どうしたかと言うと「並べ替え問題だけは点数をとる」という作戦でいきました。
例えばこういう問題です。
以下の単語を正しく並べて文章を完成させましょう。
(can’t, soccer, I, play)
スペルは正確に書けないけど並べるルールなら何となくわかる。
単語も塊で見れば何となくわかる。
だからそこに絞って練習をする、まずはこれだけです。
スパルタ的に量を与えたり、できない問題に無理に取り組ませない。
なぜ、こうするかというと「やったらできる」という体験を積むことが勉強と向き合わせるために一番大切なステップだからです。
勉強嫌いタイプの発達障害ADHDの子どもたちがもう一度「勉強やってもいいよ」と思うには小さな成功体験が必要です。
要求値を一時的に下げるのはそのためです。
得意なことに、フォーカスする。それを肯定する。行動できる頻度を増やしていく。
このステップでやっていくのです。
◆答えを写してもいい
では、苦手な問題はどうするのか?
最初は、答えを写せばいいのです。
答えを写してもいいなんて衝撃ですよね⁉
家庭教師の先生が
「自力で解くところ」
「答えを写していいところ」をしっかり指示をして帰っていくのです。
そんな家庭教師ってアリ?(笑)
答えなんて写したら勉強にならないじゃない!と思うかもしれませんがそれもアリなんです。
我が家の場合は、学力をUPする前にもう1つ宿題を出さないというハードルが存在していました。
なぜ提出しないかというと、勉強がわからないから宿題をやりたくない、やってないから提出できなかったわけです。
そこで、「答えを写してもいいからまず出す」という習慣をつけさせました。
「答え見てもいいから宿題のワーク、埋めちゃおうか!」
「がんばって出しておいでね!」
このように一見非常識に思える対応で「写してもいいから取り組む」「提出する」という行動を定着させることからスタートしました。
さらに、やることが多すぎるのはADHD不注意タイプの息子には向きません。
学校のワークとは別に家庭教師の宿題が出ると、情報の整理が苦手でかえって理解が定着しないし、面倒になってどっちもやらない…ということが起こります。
だから家庭教師からの宿題は「学校のワークをやること」だけにして、取り組む課題を1つに絞りました。
宿題、勉強関連は、どうしても親子ゲンカになりがち。
脳の発達を阻害するネガティブな関わり方(親子ゲンカ)を避けられるのであれば、我が家のように家庭教師にお願いしたり、勉強に関しては誰かにお願いをして喧嘩をしなくてすむ環境をつくるのも立派な1つの工夫です。
そのときはぜひお子さんに合った指導やサポートをしてくれる方にお願いしてみてくださいね。
このように、勉強が苦手なタイプの発達障害ADHDの子どもが勉強に取り組むようになるには、発達の特性を理解して取り組み方の工夫を考えてあげることが大切です。
ぜひお子さんの得意を観察し、それにフォーカスした我が子オリジナルの勉強法を考えてみてくださいね。
執筆者:清水畑 亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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