10歳を超えると難しさが増すコミュニケーションの悩み。
友達付き合いや先生とのやりとりがつらくなって、学校に行けなくなるお子さんがふえるのもこの時期です。
今日は、友達が好きで積極的に関わっていくのに、「空気が読めない」「一方的な会話」「距離感が近い」など、関わり方のズレが原因で孤立しやすいADHDキッズのコミュニケーションの課題を紐解いていきます。
ADHDキッズは「人が好き」で積極的に関わっていくのに ・思ったことをすぐ口に出す
・自分の話を一方的にする
・場違いな発言や行動をする
・相手が嫌がっていることに気づかない
こんな「空気が読めない子」になってしまいやすい。
高学年になると、意見のあう友達とグループをつくるようになる子どもたち。空気を読めない子は次第に居場所がなくなってしまいます。
わが家の息子は、友達づきあいの点でいうとADHDの特性が強くでていました。
基本的に人が好き、楽しそうなことが好き。
だから、相手がだれであっても興味があればその輪に飛び込めるのがいいところでもありました。
楽しく遊べているうちは問題ないのですが
自分が興味がなくなると急に協力しなくなったり、自分の欲求を優先して友達のゲームのソフトをこっそり持ち帰ったり、ちょっとしたトラブルで衝動的に手がでてしまったり。
人が好きなのにトラブルも多いそんな小学校時代を過ごしました。
そんな息子に、私は、とにかくルールを教えることにこだわりました。
「友達のものはとっちゃいけないってわかってるよね?」「相手の気持ちをもっと考えなさい」「友達とは仲良くしなさい」こんなふうに、何度伝えたことでしょう。
ですがそれで息子のコミュニケーション能力が上がることはありませんでした。
うちの子にはどうして「常識」が通用しないんだろう…本気で悩んだ時期もありました。
実は、発達凸凹キッズが「空気を読めない」のは、お母さんのしつけや育て方が原因ではなく脳の特性が大きく影響をしています。
言葉でいくらルールを教えてもうまくいかなかったのは、その特性を知らずに「正しいこと」だけを伝え続けていたからなのです。
ADHDタイプの子は、
衝動性の特性が影響して
・自分の気持ち優先!で突っ走ってしまう
・思ったことをすぐ口に出す
などの行動に出てしまいやすい。
また
・相手の表情や言ったことを取り違えてしまい、ミスコミュニケーションにつながりやすい
・状況判断が上手にできない
・目に見えないもの(気持ち)や抽象的なことを理解するのが苦手
などの出来事も、実は、発達の特性が影響しています。
本人は怒られても「何が間違っているのかわからない」という状態。
「こうすべき」と言われても全然理解できないし、できるようになっていかないのです。
こんなタイプの子への対応2つのポイントをお伝えします。
◉1つ目:
脳を発達させて衝動的な行動やこだわりを落ち着かせる!
自分の思いのままに衝動的に行動してしまうのは脳の発達が未熟なことが原因です。
だから脳を育てる(つまりたくさん活動させてあげる)ことが大切。
怒ってもお説教をしても、感情的な反応が敏感になるだけで脳は育ちません。怒らずに「肯定」して自信を育てることが優先です。
例えば、周りに合わせて行動できている時はしっかり褒める、
上手に伝えることができた時は「教えてくれてありがとう」
「わかりやすかったよ」といって肯定してあげる、など。
肯定された行動は脳に定着しやすいので、怒るのではなく「褒めて」子どもに学ばせていくことをします。
◉2つ目:想像力や理解する力を育てる親子の会話
凸凹キッズは「相手の気持ちがわからない」ことも多いですが、実は「自分の気持ちがわからない」子も多いです。
だから、何度「気持ちを考えなさい」と伝えてもうまくいかない。
そんな子には「感情の種類を知る」ことをお家でさせてあげたいのです。
例えば
「ご飯美味しそうに食べてくれて嬉しかった」と笑顔で伝える、
「学校の話してくれて楽しかったよ」と笑顔で伝える、
「今日は頭が痛くて辛いよ」と暗い表情で伝える、など。
この、「感情を表現する言葉」と「表情」が1セットになっているのがポイントです。
どんな表情の時にどんな気持ちなのかを、子どもが学んでいくきっかけになっていくからです。
「こうしなさい」と一方的に「正解」を教えるより、体験から学ばせてあげるほうが子どもは記憶していきます。
「こうやったら会話が続く」「こうやったら相手が喜んでくれた」
そんなコミュニケーションの成功体験をお家で重ねるから、外で応用していけるようになります。
感情豊かな、表情豊かなコミュニケーションをたくさんしてあげてみてください。
わが家の息子も、元「空気を読めない」男子でしたが
私が表情を豊かにしてさまざまなメッセージを伝えることで、彼は相手の気持ちや状況をしっかり理解できるようになりました。
今ではすっかり空気を読める男子に成長していますよ!
凸凹キッズに合った「教え方」をお母さんがマスターすれば、「わからない」を「わかった!」に変えてあげることができますね。
執筆者:清水畑亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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