1.いつもゴロゴロ…発達障害の子が自分から動けないワケ
毎日やることは同じなのに、自分からやるべきことに取り掛かれない子に「育てにくいな…」と悩んでいませんか。
低学年の頃は、家に帰ったらまず手を洗おうね、洗濯物も出してね、次は連絡帳を出してね、と細かくやり方を教えてあげますよね。
最初の頃は一つずつ指示を出してしっかりとできているか見守ってあげる関わり方をしていたのに、何年経っても教えたことが身についていないと感じるとガッカリしますよね。
現実は帰って来るとゲームに直行。
連絡帳を出してくれないし、宿題は「やりなさい!」と怒られるまで取り掛かれない。
時間割を合わせる気配もなく、お風呂にも入らずYouTubeを見ながらゴロゴロ…動き出さない子とバトルを繰り返していませんか?
そこには、発達障害の子が持つ次のような特性が絡んでいるのです。
・疲れやすい
感覚過敏があったり、人の中にいることが苦手だったり、集中力が長時間続かない中での6時間授業だったりと、周りと同じように学校生活を送るだけでもぐったり。
体力、気力の回復に時間がかるため、学校から帰ってきて早々お母さんが「あれもこれもやりなさい!」と言っても「疲れたから動けない!」となってしまいます。
・切り替えが苦手
「〇時までに家を出発しないといけないのに、どうしてもこの遊びがやめられない」など、好きなことに集中しすぎるとやらなければいけないことに注意が向きづらくなります。
・時間感覚が希薄
今、この瞬間に全ての注意を向けていることが多く、未来のことを頭の片隅に置いて時間を見積もることが難しいのです。
例えば、習い事に行くための準備にどのくらい時間がかかるのかを把握できず、結局開始時刻に遅れてしまったり、本当はやらなければいけないことをやらずに終わってしまったりということもあります。
このような理由から、お母さんが「できて当り前」と思うことに取り掛かることが難しくなるのです。
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2.指示出しを止めると全く動かない我が子にイライラ
我が家の小5の長男は自閉症スペクトラム(以下、ASD)で、不注意傾向も併せ持っています。
切り替えが苦手なため動き出すことに時間がかかり、動きだしてからもひとつひとつの動作がとてもゆっくりです。
そんなマイペースな長男のことをいつも育てにくいな…と感じていました。
小2の頃までは長男のペースに合わせることができず、いつも急かしながら親のタイミングで動かしていました。
・家に帰ったらすぐ連絡帳を出すこと
・翌日の学校の準備は夕飯前に済ませること
・計算カードなど毎日の決まった宿題は登校前の朝の時間にやること
など、親の決めたルールの中でなんとか頑張って動いてくれていました。
ですが、こちらが指示を出さないと動き出さない育てにくい長男を見て、「このままでは自分で考えて動けない子になってしまう」と危機感を抱きました。
そして、長男が小3になった頃、指示出しを可能な限りやめて本人に任せることにしました。
しかし、自分でできるだろうと思い放っておくといつまでも好きなことを止められず、結局「早くやりなさい!」と怒って動かしてしまう日々の繰り返し。
やらないといけないことをわかっているはずなのに、なぜ動き出せないのでしょうか。
3.育てにくい子を成長させたお母さんの2つの視点
お母さんが「できて当たり前」、「簡単なこと」と思っていても、それは発達障害の子にとっては苦手なことであったり、難しいとかんじることであったりするかもしれません。
お母さんの視点では「やることはたった一つ」と感じることの中にも、発達障害の子にとってはたくさんのハードルが隠れているのです。
最終的な目標の達成に向けて次の2つのことを心掛ければ、子どもが「それならできるかな」と感じて動き出しやすくなります。
◆お母さんが「やってほしいこと」でなく、子どもが簡単にできることを最初の目標にする
発達障害のあるなしに関わらず、人は動き出すときに一番エネルギーが必要になります。
取り掛かりの負担を最大限に減らすために、最初の一歩を子どもが「それくらい簡単だよ!」と感じるくらいにハードルを下げてください。
最初の一歩をやり遂げられたことが自信になり、次の一歩につながりやすいのです。
ゴールまでのステップが多くなると感じるかもしれませんが、たくさんのステップでゴールに到達したということは、できた!と自信を持てた回数が増えるということです。
そして、自信を積み重ねて良い記憶で終えられることで、「また次もやってみようかな」と取り掛かりの負担を子ども自身で減らせるようになるのです。
特に不安の強いASDタイプの発達障害の子は、急に「一人でやってみて」と言われると何からやればよいかわからないと感じ、動き出すこと自体がとても高いハードルに感じてしまいます。
最初から「○○やってごらん」のようなお母さんのガイドがあった方がスムーズに取り掛かれます。
また、一人でやり遂げることにこだわらなくても大丈夫です。もし子どもが手伝って!と言った時はどんどん手伝ってあげてください。
お母さんのサポートがあったとしても、子どもが「できた!」と感じる成功体験を増やしてあげることが大切です。
◆褒めるハードルを下げる
できたときだけでなく、上手くいかなかったときにも褒めるチャンスがたくさんあります。
褒められることで自信がつき、次の一歩を踏み出すエネルギーになります。
できたから褒めるのではなく、行動している最中にもこまめに褒めを入れることでゴールにグッと近づくのです。
どんなふうにこまめに褒めるの?と感じる方は次のような褒め方を取り入れてみてください。
・行動を起そうとしたときには「今から始めるんだね!」
・数分間続けられていることに対して「集中してできているね!」
・途中までできたときも「最初の難関クリアだね!」
・手助けを求めてきたときは「それは難しいよね!一緒に考えてもいい?」
取り掛かり始めたことや続けられていることに対して、子どもの頑張りを認める言葉を掛けてください。
100%できたときだけ褒めていると、褒めるチャンスを逃してしまいます。
取り掛かり始めたこと、続けられていることについての褒めを重ねることで、本人もやる気を保ちながら最終目標に到達できるようになります。
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4.指示待ち人間だった我が家の長男の変化
子どもが簡単にできることを最初の目標にすること、褒めるハードルを下げることを心掛けたことで、小3まで指示待ち人間だった長男に「やりなさい!」と言うことは今ではほとんどなくなりました。
また以前は、洗濯物を出したり、お風呂に入ったり、歯磨きをしたりなど日常生活のあらゆる場面で指示出しをしていましたが、今では多くの場面で親の指示無く動くことができ、育てにくいと感じることが激減しました。
さらに、自分のタイミングで動けることが増えたので、親がやってほしいなと思うときに動いてくれなくても親が押し付けることが無くなりました。
何よりも私が、親の「やりなさい!」の一言が子どものやる気を削ぐことに気が付く事ができました。
そのことで、長男の本来持っている力に出会うことができ、見守れる今を本当に嬉しく思っています。
いかがでしたか?
子どもが「それくらいできるよ!」と思えるまで最初の一歩を簡単にすること、お母さんの褒めのハードルを下げて褒めのチャンスを逃さないことで自分からどんどん動き出せるようになりますよ。
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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