1.発達障害の思春期キッズがゲームやユーチューブにどうしてもハマる、隠された真実!
お子さんのゲームやユーチューブのハマり具合に困っているご家庭はありませんか?多くの子どもが長時間使ってしまうゲームやユーチューブ、「やる気」があるから長時間やっているわけではありません。
時々、お母さんが誤解しがちな「うちの子は長時間ゲームできるだけのやる気や集中力がある」という考え。実はこれ、逆なんです!
「ゲームやユーチューブをやめられない」のは、「やる気をコントロールできないせい」で、結果的に長時間になっているから。
これを理解していないとお子さんが「やる気」がある状態だと勘違いして、ほかのことに向かうためのきっかけすら奪ってしまいかねません。
実際に、不登校直後などはゲームやユーチューブにハマることはよくあります。これは、やる気をなくして自己肯定感まで低下した状態。心のやり場がなく、逃げ場所として結果的に長時間してしまう状況です。
こういった子どもはどうしてゲームやユーチューブにハマるのでしょうか。これらの物は利用する人が熱中しやすいように脳科学的に研究されて作られています。
ですが、理由はそれだけではありません。どういう子どもが長時間没頭してしまうのでしょうか。
ゲームやユーチューブに没頭してしまうお子さんは、普段の生活の中で、「あるもの」が不足しているんです!
2.切り替えの悪い子どもに不足している「あるもの」!
それってどういうこと?首をかしげるお母さんも多いと思います。それもそのはず。このような視点はあまり日本ではあまり謳われていません。
「あるもの」…それは、「賞賛の言葉」!お子さんの切りかえ力ややる気のコントロールに不可欠なのが普段からの賞賛の言葉なのです!
普段、大人にどんな扱われ方をしているのか、ここが大事になってきます。
評価されてもいいことが評価されていない子どもたちは、ほめられないのに「あれしろ、これしろ」とやることをコントロールされることになります。でもそれは仕方なく動いているだけ。それでは本当の「やる気」は出ないのはお分かりになると思います。
それよりも効果的なのは、普段の何気ない会話でお子さんをほめることでお子さんの自己肯定感を育て、自己効力感から「この辺でゲームをやめて宿題にとりかかるとするか」や「どうしたらもっと上手く課題ができるかな」などの思考を生み出すことが分かっています。
では、どんな時に肯定的声かけをすれば効果的なのでしょうか?
3.普段の声かけが子どもを動かす魔法の杖!
まずは、宿題の場面を例に挙げると、一緒に見てくれるお母さんとの信頼関係が大事です。一緒にいる大人が否定的な注目をする人だと、当然子どもは「この人といると失敗が増える」と潜在的に理解し、パフォーマンスが落ちます。
一方で、いつもほめてくれる人だと、やる気がプラスされてどんどんはかどります。
「もうこんなとこを習ったの?」
「こんな問題解けるんだ!」
「たくさんできたのね?」
など認める声かけをしてあげましょう。宿題の場面以外でも、「ありがとう」や「助かる」など自己効力感を育てる声かけもおすすめです。
さらに、宿題をする途中で段階的に「ほめて」あげると、毎日の課題への取り掛かりも集中力も継続時間も良くなるという報告があります。
「もう取り掛かったの⁉」
「半分終わったね!」
など途中経過もほめてください。そうすると喜んで宿題ができるようになります。
つまり、良好な関係にある人が肯定的に関わると、「子どものやる気」を育みやすいと言えます。
もうひとつ、子どもをやる気にさせるための大事なポイントがあります。
子どもにとって一番のやる気の源は、何と言っても好きなこと。「好きなこと」をしているときは報酬もないのにどれだけでも続けることができます。子どもの好きなことを否定せずに認めてとことん楽しむ姿勢が大事なのです。
中にはゲームやユーチューブが本当に好きで楽しんでいる子どものいると思います。お母さんは否定することなく、「何のゲーム?」や「やり方教えて」など本人の興味に寄り添う形で関わりましょう。
私たち親世代は抵抗感の強いゲームですが、近年ではゲームの効果が謳われるほど、ゲームが子どもたちに良い影響を与えることもあります。
しかし、自己肯定感が落ちていて最初から好きなことを見つけることができないお子さんは次のような動機付けが効果的です。
それは、「ごほうび」です。「ごほうび」に抵抗感を抱くお母さんはたくさんいると思います。しかし、心理学の分野で何十年も前から効果があると言われている方法を使わない手はありません。
ごほうびは特に、行動を起こす初期の段階では、とても効果的に働きます。例えば、5~6個のタスクが書かれたリストを作り、2~3個は簡単にクリアできるもの。あとの2~3個はちょっと頑張ればクリアできるものを書いておき、クリアできたらご褒美を与えます。
簡単にクリアできるものは常に賞賛の対象になるでしょう。それと一緒に取り組むことでほかのタスクにもとりかかりやすくなります。
そうしているうちに、ちょっと頑張ればできていたことが当たり前のようにできるようになります。この時、注意したいのは、「ごほうび」だけにならないことです。
常に「賞賛の言葉」をセットにして、いずれはご褒美なしで「賞賛の言葉」だけで行動できるようにするためです。
このように、上手にやる気をコントロールできたらお子さん自身も過ごしやすくなり、次なる課題や興味へどんどん活動を広げていけるでしょう。
普段のお子さんとの関わりだけでできる、魔法のような会話術!ぜひ、試してみてくださいね。
執筆者:大下真世
(発達科学コミュニケーショントレーナー)