1.大きくなっても続く場所見知りって大丈夫?
赤ちゃんや幼児のころ、初めて行く場所が苦手で、なかなか泣き止んでくれずに苦労した、という経験があるお母さん、いらっしゃいませんか?
そのころは、「あらあら、場所見知りがまた始まっちゃったわね~」と抱っこしたりなだめすかしたりしてやり過ごしてきましたよね。
大きくなってからは、不登校になって、楽しいところに連れ出したいけど初めてのところが不安で行きたがらない…ということはありませんか?
さすがに泣きわめくことはなくなっても、相変わらず初めての場所が苦手なままの場合は、HSC(Highly Sensitive Child:人一倍敏感な子ども)である可能性が考えられます。
HSCは
・感覚過敏があり、五感が鋭いため、他の人とはニオイや音・味・肌ざわりなどの感じ方が違う
・不安が強く、慣れない環境に疲れやすかったり恐怖を感じたりする
といった様子が見られます。これらはHSCの特性のごく一部ではありますが、生活に息苦しさを感じるには充分な要因です。
そんなHSCが不登校になり学校に行かなくなると、このまま家からどこにも行かずに引きこもりになったらどうしよう、と見守っている親は不安になるのも無理はありません。
この記事では、外出に誘っても「めんどくさい」「興味ない」「別にいい」と言い返してきて動かない思春期のHSC不登校中学生が、気が進まなかった初めての外出先に出かけることができるようになるまでの体験談をお伝えします。
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2.我が子がHSC?思春期になってから気づいても遅くない!
我が家の現在中学1年の娘は小学校までは毎日楽しく学校に通い、班長などをつとめたりして先生に一目置かれるような子どもでした。しかし、中学生になると、引っ越しで、初めてのクラスメイト、初めての環境の中学校に入学したためか、6月からは完全不登校になりました。
完全不登校になってからは家で朝から晩まで『推し(=好きなアイドルなど)』のYouTubeを見ながらゴロゴロしてばかり。着替えもせずにパジャマのままという日も少なくありませんでした。
私はゴロゴロ過ごす娘を見て言いたくなる小言は封印し、中学校で新しい環境になじむために必死で疲れ切った心を癒しているんだから、と好きなように過ごさせていました。
昔から娘は初めての場所を怖がったり嫌がったりしていました。
また、ニオイや音に敏感で、タクシーやスポーツクラブの乗り合いの車に乗ったときなどは、においがダメ…と必死で耐えたり、カラオケに行ったときは耳をふさいだりするといった様子が見られました。
それまでは、性格だからまただめか~しょうがないな…と思って何もせずにいました。
しかし、私は発達凸凹の息子がきっかけで発達科学コミュニケーション(発コミュ)に出会ってからHSCという言葉を知り、HSCについて知っていくうちに、娘の様子に当てはまることが多く、対策を練ることができるということを学びました。
そして初めての場所に場所見知りせず挑戦できるよう、次のようにステップを踏んでいきました。
3.不登校HSCが初めての場所に挑戦できたスモールステップ
◆娘の夢中なことを知り協力する
今一番夢中なのは、『推し活(=好きなアイドルなどを応援する活動)』なので娘の『推し活』に全面協力の体制を敷きました。
日がな一日流されている娘の『推し』の歌に本心では少々うんざりしていたのですが、
「この歌は聞いたことある~」
「今回の曲はお母さん好きだな~」と
共感や、「この子は赤い髪なんだね~」と
『推し』に興味を示すなど、独り言をつぶやきました。
独り言としたのは、思春期で反抗期、直接伝えるとウザがられてしまうからです。初めは理解できないと思っていても、関心を向けていると、不思議なことに興味が出てくるものです。
「お母さんがYouTube見ていたらおすすめに上がってきたよ」
「このコンビニにまだコラボ商品置いてあったよ」
などと話したりすると、徐々に『推し』について教えてくれたり、「ここが良いんだよね~」と話してくれるようになりました。
すると、『推し』のグッズを買いにグッズショップに行きたいと娘から言うようになりました。
私から「メルカリのチェックしてみる?」と勧めたり、「グッズショップに見に行きたいな~」と娘の口から行きたいと言えば何回も連れて行ったりしました。
◆『推し活』以外の初めての行き先には子どもの“好き”をプラスする
外出に自信がついてきた様子を見て、私が決めた初めての行き先に誘いました。
娘はイラストを描くことも好きなので
「アニメの原画展があるけど行ってみようか?」と好きそうなジャンルに誘ったり…
「お母さんが行ってみたい展覧会があるんだけど一人で行くのはつまらないから付き合って!お昼に美味しいラーメン食べよう!」と娘の好きな食べ物で誘ったりしました。
ある展覧会に向かう途中、電車の路線図を見て、途中駅に『推し』のグッズショップがあることに気づいて、「途中下車して寄っちゃおうか?」とサプライズをしたりもしました。
初めての行き先に向かいながら、私が方向音痴なので、駅員さんに聞いても、マップを見ながらでも、迷ってしまいます。
そんなときは「ちょっと一緒にマップ見て~」「この建物はこれだよね」と相談するようにして、娘が意見を言うと必ず「なるほど!」「そうだね!」と肯定しました。
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4.焦りは禁物!少しずつ自信を積んで苦手を克服!
そんなことを繰り返すうちに、娘は電車を乗り継いで一人でグッズショップまで行くことができるようになりました。
楽しい外出を重ねることで、お母さんは嫌なところには連れて行かないということを定着させることができ、大好きなラーメンをプラスでつけなくても、私からの外出の誘いが断られることはほとんどなくなりました!
道に迷いそうなときには娘がスマホでマップを出してくれたり、駅構内の表示を見て「こっちだよ!」と教えてくれたりするまでに成長しています。
方向音痴のお母さんを誘導して初めての目的地に到着できた成功体験が自信につながるというおもわぬ副産物もゲット出来ました!
いかがですか?
HSCで不登校の娘が、小さい頃から変わらない場所見知りを「性格のせいだからしょうがないな」と諦めるのではなく、少しずつステップを踏んで自信を積んでいくことで初めての場所への外出を克服することができました。
大きくなっても続く場所見知りが心配な親御さん、焦らずスモールステップでお子さんをサポートしてみてくださいね。
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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