中学校に入ると学校行事や部活など友達との行動が増えます。発達障害自閉症スペクトラム(ASD)の子の場合、友達との付き合い方が難しく心配になることもあると思います。不安も強い子が友達と一緒に出掛けられた声かけのポイントをお伝えします。
1. 中学生になった発達障害自閉症スペクトラムの子、 友達との付き合い方に心配はありませんか?
中学校にあがると、学校行事や部活の試合など学校外での行事もあり、友達同士ででかける機会も増えてきます。
小学校までは校外学習での班行動も、先生の目の届く決められた範囲内に限られていました。そのため、何かあれば守ってもらえる、という安心の元で行動していました。
ところが、中学生になると大きく変わります。
自主性やマナーを守る、困ったときには友達同士で協力して解決する、など自分たちで責任をもった行動ができることを求められます。
発達障害自閉症スペクトラム(ASD)子は、
コミュニケーションが苦手
初めてのことが苦手
こだわりがある
予定がかわることが苦手
などの特性により、これまで友達とのコミュニケーションがうまくいかず、付き合い方を経験することが少なかったり、こだわりがあるため一緒に行動するより一人での行動を好んでいたり、友達と関わる経験が少ないことがあります。
また、初めての経験、場所に対しても不安が大きく、すぐに行動できないこともあります。
親としても、友達と一緒に行けば安心だけどうまくコミュニケーションをとれるかな、一人で行かせるのも不安だな、と心配になりますよね。
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2. 初めての学校外で不安な合唱祭会場、 ひとりで行く?友達と行く?
我が家には中学一年生の発達障害ASDの息子がいます。
息子の学校の合唱祭は、少し距離の離れた校外の文化ホールで行われます。
元々不安の強い息子でしたが、「ひとりで行きたい」というので背中を押すことにしました。
会場までの行き方を実際にバス、電車に乗って駅の出口を確認し、駅から会場までのルートも歩き、「これで大丈夫!」という安心感を得て準備バッチリと思っていたら…
合唱祭前日になり、息子は友達と一緒に行く約束をしてきました。
しかもその友達は別の友達を誘っており、LINEの会話から、あっという間に息子が下見したルートとは別のルートで行くことが決まってしまったのです。
納得いかない息子は、自分のルートを提案するも受け入れてもらえず…。
「本当は〇〇駅から行きたい!」
と、息子は自分の予定を変更するのは不安な様子。
発達障害ASDの子の特性から、想定外のことが起こり、しかも自分で決めた行き方にこだわりがあり、本人の思い描いていたこととはまるで違った状況になったことで、本人の不安はますます大きくなっていました。
どうしたら息子の気持ちを尊重しつつ、安心して当日を迎えられるだろう、と思いました。
3. こだわりの理由を考えてみる! 想定外のことも受け入れられた、お母さんの声かけ3ステップ
こだわりが強く出てしまうのは、予定変更に対しての不安が大きいから、これは本人の特性と分かっていましたので、安心させるための声かけをしました。
◆ 共感し本人の気持ちを受け止め、代弁する。
「そうだよね、下見もしてこのルートで行くって決めていたんだよね…」
とまずは共感し、本人の不安を受け止めました。
共感する声かけと不安の理由を言葉で伝えることで、もやもやとした不安の理由を本人も理解することができます。
少しすると息子も落ち着きを取り戻し、話ができる状態に戻りました。
◆ 考えさせる質問でこだわりをゆるめる
下見をして安心して会場まで行けるように準備してきたので、息子もその通り行くことができればひとりで行けたことに自信を持てるとは思っていました。
でも、これからの学校生活、友達との付き合い方を学ぶことも大切で、今回一緒に行けることで本人にとっても大きな経験になるだろうと考えました。
「違うルート(友達が提案しているルート)でも問題なく行けるよ。
ここまで話が進んで、急に一緒に行かないって言ったら、みんな、どう思うかな?」
どちらのルートでも会場に行けることを伝えた上で、どうするか息子に聞いてみました。
◆ 自分で決めたことなら納得できる!
すると、少し考えた後、
「みんなと一緒に行く」
と自分で決めることができました。
どちらのルートでも問題ないことに気づいたことで、友達の考えに納得し自分のこだわりではなく、友達と一緒に行くことを選ぶことができました。
翌日、息子は友達との待ち合わせにも笑顔で向かい、友達と一緒にバス、電車で会場に向かうことができました。
息子にとって友達との付き合い方に目を向ける経験をすることができました。
いかがでしたか?
中学校生活では友達と協力しての活動も内容が濃くなり、自分の意見やこだわりを主張しすぎるとうまくいかなくなることもあります。
その一方、納得できないまま友達に合わせてしまうと、つらくなってしまいます。
発達障害ASDの子がこだわりを手放せずつらくなっているときは、その理由をお母さんが予想し、こういう方法でも大丈夫だよ、と説明してあげることでお子さんのこだわりをゆるめてあげることができます。
成功体験を積むことで、また次もやってみようという気持ちが生まれるといいですよね。
ぜひ試してみてくださいね。


執筆者:三吉あいこ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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