我が子の個性を伸ばす私立中学校の選び方とは?お母さんの一歩で子どももステップアップ〜星槎もみじ中学校後編〜

不登校の子どもの進路を考えるとき、我が子の個性を伸ばすことのできる学校はあるのかなと悩みますよね。「これ得意!」という気持ちを引き出してくれて通学しやすくなる私立中学校にお話を聞きに行ってきました。お母さんの一歩が子どもの成長に繋がります!

1.宿題なし!定期テスト廃止!私立中学の先生達のその思いとは

小学校で不登校経験があった子どもは、中学校では頑張りたい!と期待を膨らませていることでしょう。また、今まで通った中学校ではどうしても行けなくなってしまい、自分らしく頑張れる学校でやり直したいと思っている中学生もいるでしょう。

学校選びで大事なのは、

子どもの理解する力に合わせた学習をすすめられるか
先生達が子どもや保護者の気持ちや意見を聞いてくれるか
子どもがやる気を出せるような関わり方をしてくれるか

だと思います。

前編のインタビューでは不登校特例校として個々の子ども達の成長をサポートしてくれる私立中学校、星槎もみじ中学校の事務長、大倉先生にお話を聞かせていただきました。

後編では、気になる学習の取り組み方や、社会性のサポートについて伺います。

ーー入学してからの勉強面に関してお聞かせください。宿題はありますか?

「任意です。欲しい子は、教科ごとの先生にくださいと言ってもらいます。毎年、学習意欲のある子と勉強に興味ない子の差がありますね。」

ーー定期テストはありますか?

定期テストはやめました!廃止してから今年で2年目です。

定期テストというのが近づくと意識しすぎちゃって学校に来れなくなる子が増えるんですね。そのため、教科担任の裁量で、単元ごとの確認テストをしています。

『テストやるよ』というと『テストだ…テストだ…』とプレッシャーを極度に感じちゃう子が多いんですよね。

そのため、『来週みんなでここのまとめするよ』と言って、授業の10分間でマメテストをするんです。プレッシャーを与えないような言葉の掛け方にも気をつけています。

学習の評価は日々の授業の積み重ねの中で確認するようにしているのですが、高校入試に対応するために学力テストというものを活用して自分の学力がどれくらいか確認することもあります。」

ーー学力テストに対してのプレッシャーはないんですか?

「そこは説明が担任の先生達ががうまいんです。『受験に向けて君たちがどこの地点にいるのか見るものだよ』と伝えていますね。そうすると、勉強に興味のない子は、『それなら一応受けてみようかな』って思うんですね。

外部受験したい子は、『よし!ここで頑張ろう!』と思います。」

ーー

近年では、東京の世田谷区立桜ヶ丘中学校や千代田区立麹町中学校などでも定期テストの廃止が実行され話題になりましたよね。

定期テストや様々な課題に押しつぶされそうになっていた子ども達が、定期テストがなくなったことで勉強を「やらされる」のではなく、小テストで自分で必要なところに気づき主体的に勉強する姿勢に変わっていくといいます。

何よりも、不安を感じることで緊張やプレッシャーを感じてしまう子ども達にとっては、心が安定した状態で勉強に取り組めることは大事だなと感じます。


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2.ゼミ、ミュージカル作りで学校に来たくなる!

ーーこちらの学校では通常授業の他に『もみじゼミ』というのがあると思うのですが、どういうことを学んでいるんですか?

「同じキャンパス内のフリースクール生、中学生、高校生合わせて200人の生徒に対して、8人の先生が色々な講座をやるんです。

ニュースポーツゼミっていってキンボールとかユニホックなどの変わったスポーツや将棋ゼミ、昔は英検ゼミ等の学習系もありました。フットサル、演劇なんかもありましたね。

出来る限り子ども達の興味関心をひいて、先生達が担当教科以外のスキルを発揮できるものをプレゼンテーションして、生徒に見てもらって選択してもらいます。」

ーー面白そうですね!みんな楽しみにしていますか?

「思っていたのと違ったということもあれば、すごく面白いというのもありますね。

また、もみじタイムという中学生だけの活動時間も今年から導入しているんです。月2回、6時間目です。毎回、先生と内容が変わります。子ども達に希望をとって内容を決めています。

Switchを持ってきてゲームでサッカー大会しよう、カラオケしようなど、6時間目の時間をみんなでワイワイ楽しめるようにしています。

それに参加することを目標に、学校から足が遠のいている子に来てもらいたいという目的がある授業です。」

ーー一般教科の授業以外の活動で学習意欲が増したり、通学頻度が増えてきたりというのは感じますか?

「そうですね、子ども達の変化が顕著にわかるのは毎年行われるミュージカル作りです。これもプロの先生に来てもらい指導してもらいます。

転校してきたばかりで、『私教室なんて入れない』と言っていた子がいましたが、その子が準主役級の役をやることでミュージカルには楽しく参加できて、その後も『あいつ、演技はすごくうまいからな』とみんなに個性を認めてもらえることで教室にも堂々と入ることができるようになりました。

自分を出せなかった子が、演劇という台本があるものの中で自分を表現できるようになって変わっていくんですね。そんな子が毎年何人かいます。」

ーーそれは感動ですね!ミュージカルが苦手な子はどうしていますか?

「ミュージカル作りに必要なのは、キャストだけではありません。音響や照明等のスタッフ、小道具、衣装、大道具も大切な役割です。

また、キャストは14人くらいなので、残りの子達40人は合唱隊で歌を歌うとか、一緒にいて応援するのも立派な役割です。誰一人かけてもこの舞台は完成しないんだよと伝えています。当日客席で見るという役割もあります。

ある子が、入学1年目で『絶対出ない』と言って出ず、2年目は写真なら取れるよと言って一眼レフを家から持ってきてミュージカルを撮ってくれて、『これ動画にできますよ』と言って5分くらいの映像を作ってくれたんですよ。3年目は『今年もそれやります』と言ってなんと20分くらいの動画を作ってくれました!」

ーー

基本的な教科だけではなく、色んな関わり方があるのが魅力的ですね。子ども達には色々な得意な能力が秘められているかもしれません。それを見つけられるのは環境次第。

お家でお母さんと子どもだけでの環境ではなかなか興味がひろがらないということもあるのではないでしょうか。

こちらの学校では、あの手この手で子どもの好きなことを引き出して個性を伸ばしてくれます。

少しずつの成功体験でも積もり積もれば大きな自信につながりますよ。

3.安心できる先生との信頼関係で社会性も成長!

ーー社会性についてのサポートに関して教えてください。ずっと不登校だったり発達が凸凹していてコミュニケーションが不安な子に対して先生たちが行っている支援はありますか?

「SST(ソーシャルスキル・トレーニング)の授業を週1回行っています。例えばこの学年は言葉使いが乱暴になってきているから、『チクッと言葉、フワッと言葉』についてやりましょうといった感じで導入します。」

ーーSSTはロールプレイになりますよね。子ども達から「そんなのやるの??」って言われないですか?

「例えば、挨拶をしようっていうロールプレイで、最初は『そんなのできるのにわざわざやるの?』って言う子もいます。それはわかりますけどね。

ただ、『当たり前なことをできていないことに気づけていない』よね、という場合もあって。ロールプレイは自分で実践してみて身に付くものです。やりたくないと言う子には、『いや、君にはもっとすごいの用意してあるんだよ。』と言って対応するとやってくれたりします。担任の先生とその子の関係性にかかってきますね。」

ーー素直に受け入れられるということは、それだけの関係を担任の先生が作ってらっしゃるということですね。

「そうですね。あと、社会性の問題に関しては、一人ひとりの対応をしっかりしています。今は『休みたいって』言えない、『授業抜けたい』って言えない子が多いんですよね。

まずは、何も言わずに出ていいよという約束を事前にしておきます。だんだん、『もみじルームに行きたいです』、『トイレへ行きたいです』と言えるようにしていくんですね。

『何であいつ勝手に出ていくの?』と周りの子から言われたら、『あの子はそういう約束を先生としてあるから黙って出ていいことになっているんだよ』と伝えます。

子ども本人が少しずつ退出理由を言えるようになったら、退出の際にはカードを使って、授業退出を積極的によしとしているんです。

具合が悪い、調子が悪いというときに、教科担任に申し出て、教科担任からカードをもらって保健室へ行き、何時まで保健室で過ごしてねと約束する。

調子が悪くて、もみじルームへ行く場合、教科担任が理由を聞いてカードを渡す。じゃあ、何時まで過ごしてね、課題やれそうならやってねと相談します。」

ーー自分で退出理由が言えない子も、だんだんできるようになるものですか?

安心感ができるようになりますからね。誰にも怒られないし、言われないし。安心感ができてくるとちょっと授業の中で面白い話聞きたいなと思って、半分授業出て半分もみじルーム行こうかな等、授業参加時間も自分で決めて増えていくこともあります。」

ーー安心感、大事ですよね!

『出たいときに教室から出られない』っていう経験を小学校でしてきているんですよね。子ども達の気持ちを出しやすくすることを大切にしたいと思っています。」

ーー

発達の特性がある子ども達は、感覚過敏があると教室のザワザワ感が苦手だったり、たくさんの人の中にいるのが視覚的に辛かったり、学習への集中力が続かなかったりします。不登校期間が長かった子であれば尚更でしょう。

自分から離席してしまう子もいる一方、辛いけれどもなかなか先生に相談できず我慢し続けてしまう子もいるのですね。頑張り続けた結果、もう頑張り続けることができなくなり学校へ行けなくなってしまうパターンも多いでしょう。

公立の学校では、授業中は教室にずっといるのが当たり前、それが良い授業態度という暗黙のルールがあると思います。繊細な子はなかなか言えないし、たとえいいよと言われたとしてもみんなと違うことはしたくないと思う子もいます。

この学校には色んな子ども達、それを子ども達の個性として認めてくれる先生達がいるので、自分の心の声や体調に気づけるようになり、それを周りの人に伝えることができるようになります!


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4.思春期以降は親以外の人から認められる経験が大事

ーーこちらの学校は『全道一生徒が成長する学校』というスローガンがありますが、すごく成長したなと印象に残っている生徒さんがいたら教えていただけますか?

「中1のときは勝負事で白黒着くのが嫌で負けたら『わーーっ!』て叫んで走って逃げちゃっていた子が、積極的に学校生活を送ってくれて、メタ認知が向上してきたときに怒らなくなったんですよね。
※メタ認知とは「自分が認知している物事を、もう一人の自分が客観的に認知し制御している状態」のことです。

『もう一人の自分がここにいて、見てるんです。冷静になれて負けても理由がわかるから感情を抑えられるようになった。』と言って、3年生になった頃には、他の子が癇癪起こしているときに『まぁまぁ』と言ってあげられるようになっていたんですよ(笑)

自分がどうしそうなってしまうのか、ここにきて色んな子達を見る中で考えるようになったそうです。応用行動分析学の本を自分で買って独学で勉強したりするようになりました。

その子は外部受験をして進学し、卒業後も遊びに来てくれました。」

ーー最後に、お子さんが不登校で悩んでいる親御さんや、中学校進学を考えている親御さんへメッセージをお願いします。

「我々が一番一生懸命やっているのは話を聞くということです。

簡単そうで難しいんですよね。聞いてほしい人に聞いてもらうということが。小さい頃は、保護者がうまく聞いてあげるのが大事です。

思春期になってくるとそれまでの関係性も大事ですが、この人に認められたいというところにつながるといいなと思います。

悩んでいるお母さん達は、色々と情報収集をして『子どもの話をよく聞いて』と言われて話を聞くのをずっと待っているお母さんたくさんいると思います。でもなかなか話してくれないと悩むんですよね。思春期に入ると親御さんに言えなくなってくる場合もあります。

その子が気に入りそうな場所、人に関わらせてあげて、フリースクールとかでもいいと思います。そこで認めてもらえる体験をさせると気持ちも出しやすくなってくると思いますよ。」

ーーここの先生たちがその役割を担ってくれるのでしょうね。

「お母さんたち、一人で抱え込まないでくださいね、というのが私が一番言いたいことです!」

ーー大倉先生、ありがとうございました!

5.子どもの個性を伸ばす中学校はお母さんのまず一歩から

お話をうかがったとき、私の息子は小学6年生で不登校であり、来年度の進路を考える時期でした。中学校へお話を聞きに行ったのはこの時がはじめてでした。

口コミやネットの情報だけでは、本当に自分の子どもに合っているかぼんやりしているんですよね。

実際に行ってみるとネット情報の何倍もの役立つ情報を頂くことができました!

・小中学校で不登校だった子
・ゆっくり自分のペースで学習するのがあっている子
・やるべきことを少量ずつ提示してあげると目標に向かって頑張れる子
・中学校という校舎で中学生ライフを送りたいんだ!と考えている子

そんな子ども達がこの学校にあっているのではないかと思います!まずは、否定されない、肯定してくれる先生達の元で安心して自分らしく過ごすことを体験してほしいです。

その体験が積み重なることで、お子さんはやりたいこと、好きなことを遠慮なくチャレンジしていけます。伸び伸びと個性を伸ばして将来への目標もたてることができると思いますよ。

星槎グループの私立中学校は神奈川県と愛知県にもあります。小学生や中学生が通えるフリースクールも各地にあります。学校によってシステムの違いはあっても、どの学校も『人を認める・人を排除しない・仲間を作る』という共通の理念で運営されているそうです。

星槎グループホームページ

自分の子どもに合っていそうだな!と思ったお母さんは是非、実際に足を運んで見学したり、個別相談などで直接先生達のお話を聞いてみて欲しいと思います。

このような学校の取り組み方が、発達凸凹の子ども達だけではなく全ての子ども達に提供されるようになってほしいと願います。

執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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