学校が休みのADHDキッズがダラダラしているのが気になる…子どもの「やりたい!」を引き出すお母さんの対応

学校がお休みになると、子どもが家でダラダラしている、ゲームばかり、そんな様子にイライラしてしまいますよね。「あれして、これして」では子どものやる気は起きません。子どもの「やりたい!」を引き出すコツをご紹介。

1.学校が休みのADHDキッズがダラダラする理由

冬休み、お子さんが家にいる時間が増え、みなさんはどんなことに頭を悩ませていますか?

生活リズムの崩れてダラダラ…
宿題が進まない!
ゲームやスマホにどはまり
お母さんのストレス・イライラMAX

こんな項目にどれも心当たりがある!

という方が多いのではないでしょうか。

生活リズムの乱れ、宿題をしない、スマホやゲームばかりする、こんなお悩みに共通しているのが子どもの行動の切り替えがうまくいっていないということ。

発達障害ADHD(注意欠陥・多動性障害)の特性を持つ子は、計画立てて行動をするのが苦手です。

お休み前、ADHDグレーゾーンの子どもたちは彼らなりに精一杯毎日の生活を送っていました。

元々、元気はつらつなタイプの多いADHDグレーゾーンのお子さんの場合は、新しく刺激があることが好きです。

新しい環境や新しい先生、新しい友達、新鮮に感じられることが多い1学期はワクワクして張り切ることが多いです。

しかし、様々なことに慣れてきた2学期は、やる気がちょっとダウン…

忘れ物が多くなったり、お友達とトラブルになったり叱られることも増えてきます。

そんなタイミングで冬休みに突入すると「やったー!好きなことを好きなだけやるぞ!(宿題のことなんて頭から抜けている…)」

となってしまいがちです。

長期休みはADHDグレーゾーンの子どもたちにとって”休息期間”であり、自分の好きなことだけに没頭しがちな期間でもあります。

2.指示出しだけでは子どもは行動しない⁉

では、好きなことに没頭してダラダラしまう子どもの行動量をUPするにはどうしたらいいでしょうか?

勉強させたい、お手伝いさせたい、こんないろんな「行動量のUP」を果たしたいお母さんはつい「指示出し」に走ってしまいがち。

ですが「指示」だけでは実は子どもは動きません

発達科学コミュニケーションでも「指示出し」というキーワードは使いますが、これは一般的な指示出しとは意味合いが異なります。

おやすみモードの脳にいきなり「指示」は効かないんです。


冬休み前の学校生活でADHDグレーゾーンの子どもの脳は、エネルギー切れ状態

そこにきてあれしろこれしろという指示ばかりでは、子どもたちの脳はお母さんの声かけを完全にシャットアウトしてますます動けなくなります!

指示をしても通らない、ダラダラしている、更に暴言が増えてきた…こんな様子があれば要注意ですよ。

お休み中に、お母さんにやっていただきたいのは、

疲れ切ったお子さんのエネルギーをうまく回復してあげる!
「まあ、やってもいいけどね」という気持ちを引き出す!

そんな声かけです。

3.楽しいことに取り組みながら、お子さんを成長させたKさん

お子さんが物事にポジティブに向き合うヒントが詰まった、 Kさん親子のエピソードがありますのでご紹介させていただきます!

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Kさんのお子さんは、現在高校生です。

小学校低学年の頃は、授業中に集中できずノートを取らない、同級生とのトラブルが毎日のように続き、お母さんも特性を知らなかったので当時は厳しく叱っていたそうです。

ですが、発達の特性がわかってからお母さんの対応は一転。

周りの子と同じように頑張らせないといけない、きちんとさせないといけない、という考えが変わって、お子さんを観察すること、お子さんに合わせて対応をすること、ができるようになったそうです。

Kさん親子は小学校5−6年は学校に行かない選択をしました。不登校期間中、どんな過ごし方をしたか伺うと
・学習は少し
・家のことや買い物にいくなど普通の生活をしっかり
・フリースクールを利用して体を動かす・遊ぶ、
こんな生活をしていたとのこと。

「遊ぶ」というのは、楽しみながら学ぶことです。学校に行っている間は、勉強をやらせるのに必死でしたが、休んでいる間は楽しいことを体感することを意識して過ごしたそうです。

そんな生活をすることで、自発的に勉強する姿が増え「この子はもう大丈夫だ」と思えたそうです。

学校でじっとしていなければいけない、求められた通りに動かなくてはいけない、 こんな「苦手」ばかりを求められる環境を変えたことで、Kくんは衝動的に怒ることがなくなり学校に通っていた時よりとてもイキイキと過ごすように変わっていきました。

中学は、調子の悪い時は休みながらも登校して学校で過ごす時間が増えていきました。

そして、今では、通信制高校で学びながらアルバイトにもチャレンジしているそうです。

***

Kさん親子のお話からみなさんに知っていただきたいのは、楽しいことに興味を持って取り組めることの大切さです。

発達障害グレーゾーンの子どもたちの「苦手」は脳の特性からくるのものです。

苦手なことばかり修正しようとして努力させようとしても、脳が「嫌だよー、苦手だよー」
と言っている状態ですので、全然、働こうとしないしそこから先に発達させるのは難しいのです。

だから、お子さんの苦手じゃないことから、脳全体の活動量をUPさせたい!

楽しいこと=脳が喜んで動くことをたくさん取り入れてあげれば、脳がポジティブに活動するので行動が起こりやすくなります。

4.学校のお休み中、子どもの「やりたい!」を引き出す順番

「うちの子、 ダラダラしていて困るわ」
「ゲームばかりやっていて…」

そう感じるお休み中、やって欲しいのは、お子さんの様子をよく見て今のコンディションを把握すること。

「これだったら、できそうだな」とお子さんが感じることを皮切りに、1つずつ行動を起こさせてあげてください。

料理でもいいし、体を動かすのが好きなお子さんなら一緒にスポーツをするのも良いと思います。

ご飯を食べるのが大好きな子には、
「ごはんだよー!みんなの分のお箸おいてくれる?」

甘いものが好きな子には、
「おやつにスイーツ作るからデコレーション一緒にやる?」

映画好きな子には、
「CMでやってるあの映画見に行っちゃう?」

おうちでエネルギーを持てあましていそうな子には、
「ママお正月太りしたからウォーキング付き合って♪帰りにコンビニで好きなもの買っていいよ!」

などと、楽しく、明るく誘ってみましょう。

決して、「好きなおやつ食べさせてあげるから、宿題全部やっちゃおうね!」等と、子どもにとって「うげっ!」と感じるような言葉は言わないでください。

脳が「嫌だなー」と感じないポジティブ感情で動こうという思える経験が、ゆくゆく苦手と向き合う「行動力」にまで繋がっていきます。

脳に刺激を届けて、できることを増やすには順番が大事です。

「それやりたい!」と感じて小さな行動を起こせると、子ども達の行動スイッチが入り始めるのです。


もちろんお休み中に勉強しない・やることをやらない、そんなお子さんを心配する気持ちもわかります。

ですが、それによってお子さんの「こじらせ感」を強くしてしまっては意味がありません。

こじらせキッズは今までできていたこともやらなくなったり、親が何を言っても耳を貸さなくなり、不安から自分の殻に閉じこもって、成長のチャンスを失ってしまいます。

「今」この瞬間の成績ももちろん大事ですが、もっと大事なのはこの先、いろんな場面で一歩踏み出したりチャレンジできる状態になっていることです。

人は何度でもどこからでも学び直せる。

この発達科学コミュニケーションの活動を通じてたくさんの方のお話を聞いていて、そう確信しています。

子どもたちに持たせたいのは、

それまで知らなかったことを知りたいと思う気持ち
チャレンジしてみたいと思う気持ち
自分の力を認めて一歩ずつ進んでいけるチカラ

です。

子どもの興味の幅を広げてやる気を引き出したいなら、ぜひ“お子さんがやれそうなことから”を意識してみてくださいね!

執筆者:清水畑 亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

子どものチャレンジしたいと思う気持ちを引き出すお母さんの対応、発信中です!

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