夏休みのドリルをやる前に!漢字が苦手なASD・ADHDキッズが漢字の勉強がスラスラ進む方法!

同じ漢字を黙々と何度もノートに練習するのは、ASDやADHDの特性がある子にとって退屈で、苦痛なもの。わが家流にもっと苦手な漢字を楽しく覚えられて忘れにくい方法を考えました。丁寧に書いてほしいなどの声かけも公開しちゃいます!

1.漢字の練習をイヤになるわけ

漢字練習といえば、昔も今も「同じ文字を黙々と練習ノートに何度も書いて」覚えるスタイルが多いですよね。

元気な子ども達、特に発達障害のある子にとって、机にじっと座って単調な作業をするのは、なかなかの苦行です…。

しかも覚えるべき漢字が多い!「もう、やだ〜!」と挫けてしまいそうになるのも、よくわかります。

わが家の注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向のある息子も同じでした。

漢字練習になると、椅子からお尻がズルズル〜っと落ちてきて、画数の多い漢字を見ては「はあ〜っ」とため息をついたり。

息子は興味のあることにはとても集中して取り組むのですが、刺激の少ない、単調な課題にはすぐ飽きてしまっていました。

せっかちで「とめ・はね・はらい」や「線が突き出るのか出ないのか」などの細かいところには注意が向きません。

また、視覚が敏感なのか、画数の多い漢字は見ただけで、圧倒されてしまうのです。

そんな調子で、ノートに書きはするのですが、なかなか覚えられず…。

そしてその様子を見た私が、思わず

「どうしてもっと一生懸命練習しないの?」
「どうして覚えられないの?」

などと言ってますます息子のやる気を奪ってしまうという、負のスパイラルに陥ってしまっていました。

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2.発達障害の特性がわかればヒントが見えてくる

まずは「勉強」に関連する、発達障害の特性を知っておきましょう!

例えば自閉症スペクトラム障害(ASD)タイプの場合は

・興味があることにはとことんハマるが、興味のないことはやる気が起きない
・興味の対象がうつりやすいので、多動や不注意がある
・手先が不器用で、文字を書くのが苦手
・視覚が敏感で、画数の多い漢字は見ただけで圧倒されてしまう

などがあります。

またADHDタイプの場合は

・落ち着きがなくじっとしていられない
・気が散りやすく、集中できない
・集中するのが苦手で、ぼんやりしてしまう

と言った特性を持っているのです。

こうして見ると、勉強や漢字が苦手な理由がわかりますね。

つまり理由が分かれば、対処の仕方のヒントも見えてくるんです。

3.人は誰でも「忘れやすい」

前項で挙げた特性を見ると、ASDタイプにしても、ADHDタイプにしても、集中力に課題があるのがわかります。

では、漢字を「忘れやすい」のは発達障害だからでしょうか?

実は、人の脳の働きによるところも大きいのです。

なんと、私たちの脳は発達障害のあるなしに関係なく、覚えることよりも忘れることの方が得意なのです!

なぜなら、私たちが毎日受け取る情報には、勉強以外にも人の表情、身の回りの音、匂いや光など、数え切れないほどありますよね。

それらを全部記憶していたら、脳がパンクしてしまうからです。

だから「つまらないなあ」と思っていたら、脳が「要らない情報」と判断して、振るい落としてしまうのです。

というわけで「忘れやすい」のは、仕方のないこと。

では、どうしたら必要な情報として脳に記憶を残せるのでしょうか?

脳が「記憶に残すべき必要なもの」として判断する情報には、次の2種類があります。

・感情が絡んだできごと
・本人が「覚えようと意識」して努力したこと

「楽しい!」「嬉しい!」「怖い!」「辛い!」と自分の感情と体験が伴った出来事は、生きていく上で自分を支えたり、守ったりするために必要だからです。

また、覚えるために工夫などして努力した経験は、もちろん記憶に残りやすいですよね。

そこで私たちができることは

・お子さんが勉強って楽しい!と思いながら集中できる環境
・精神的な負担を減らす勉強のコツ

を用意してあげれば良いのです!

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4.わが家の楽しい漢字マスター法を大公開!

どうしたら子どもたちのやる気スイッチをオンにして、楽しく苦手な漢字の学習を進められるのか、コツを掴みました。

ここでは私が子どもに実践している方法を特別に公開しちゃいますね。

◆明るく・優しく・楽しい雰囲気で勉強に誘いましょう!

まずは、ここが肝心です!「何時から勉強をはじめようか?」と、お子さんに自分で決めてもらってください。

そして約束を守れたら「時間が守れて立派だね!」と褒めます。

もし、ゲームなどの区切りがつかずに遊びを続行してしまっていたら、お母さんはまず深呼吸して、笑顔で

「勉強の時間だよ。あとどのくらいで終わりそう?今の回が終わったら、始めようね!」

と、優しく声をかけましょう。

時間だからと、夢中になっていることを途中で止めさせてしまうと、そのモヤモヤで勉強どころではなくなってしまいます。

発達障害のある子ども達は、気持ちの切り替えが得意ではないからです。

最後まで遊んで満足したら、勉強にも前向きに取り組めるでしょう。

「明るく・優しく・楽しい雰囲気で勉強に誘う」

これをぜひ心がけてください。

◆やる気スイッチを押す環境づくり

お子さんのやる気スイッチになるものはありますか?

やる気「スイッチ」というニックネームがあるように、脳の特性上、私たちのやる気は自分でスイッチを押さないとおきないのです。

私は息子のスイッチを押すきっかけとして、彼の気持ちが盛り上がる、お気に入りの音楽をかけたりします。

お気に入りのノートや鉛筆なども、一役買ってくれるかもしれませんね。

◆ダメ出しをせず、書けたところに注目!

お子さんが漢字の練習や勉強を避けたがる、そもそもの原因は何でしょう?

もしかすると、覚えられない、上手に書けない自分に自信を失ってしまっているからかもしれません。

発達障害の子どもたちは、特性のために失敗したり、注意をされる機会を多く経験しています。

すると…

「失敗して悔しい、悲しい気持ちをもう味わいたくない」
「叱られるのがいやだから、勉強なんてしたくない!」

という心理が働いてしまうのです。そうなると、勉強から逃げたくなってしまいます。

お子さんが漢字を忘れてしまったり、上手に書けなかったところにばかり注目するのは止めましょうね。

「ダメ出し」をすると、ますます自信をなくして勉強への意欲を奪ってしまいます。

では、お子さんが勉強がしたくなるにはどうサポートしたらいいのでしょうか?

それは、一生懸命書けているところに注目し、うまく書けたところがあれば、そこをたくさん褒めて自信をつけてあげればいいのです!

自信が持てれば、

「もう一回書いてみよう!」「やればできるんだ!」「勉強って楽しいな!」と意欲がむくむく湧いてくるものです。

「ダメ出し」ではなく、ぜひ「いいね!出し」を意識してみましょう!

◆アドバイスしたいときの声がけのヒント

前項で「ダメ出し」は控えましょう、と書きましたが、お子さんにアドバイスをしたいときもありますよね。

私が息子にアドバイスするときに、効果があった言葉を紹介しますね。

【丁寧に書いて欲しいとき】

特にADHD傾向のお子さんはせっかちだったり、不注意があったりして、雑な感じに書いてしまうことも。そんなときは、

「慌てないで書いてごらん!」「ゆっくり書いてごらん!」

優しく言ってみてください。

またそのとき、書き順を数えながら書くと一層効果的!先に意識が集中して、丁寧に書けますよ。

【画数が多い漢字に、圧倒されてしまう場合】

この場合には文字を分解して、漢字は「へんやつくりなどがブロックのように組み合わさってできている」という構造の仕組みに気付かせてあげましょう。

息子は、今では自分で上手に分解して、それを自分なりに工夫して覚えているようです。

【「とめ・はね・はらい」を指導したいとき】

ASD傾向のお子さんは、指先の不器用さがあることも。

漢字の「とめ・はね・はらい」は、お子さんが字形をイメージしやすい、こんな声がけをしてみてください。

とめ→スーピタッ!って止めるよ!」
はね→グーッと引っ張って、ピョンッ!
はらい→「ここは、滑り台みたいにスーッと鉛筆を引いてごらん」

このように、オノマトペ(擬音語・擬声語)を使うと、指先の動き方のイメージがしやすいようです。

わが家の子どもたちには、効果テキメンでした。

そして、一生懸命に書けたら、具体的に「ここのカーブが特にいいね!」「心を込めて書けたね!」など、笑顔でたくさん褒めてあげてください。

お母さんからの笑顔と褒め言葉で、お子さんにとって最高のご褒美である「自信」をプレゼントすることができます。

「僕/私も、やればできるんだ!」と自信を手に入れたお子さんは、勉強だけでなく、これからの人生を前向きに生きる力も手に入れることできます。

わが家の息子達も、挑戦する意欲と辛抱強さを身につけましたよ!ぜひ試してくださいね!

執筆者:飯島なち(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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