子どもが勉強しないのは大人のせいだった⁈これからは本気の遊びが勉強になる時代!〜探求自立型教室 吉澤一雅さんインタビュー〜

子どもが勉強しない原因は子どもではなく大人側にあった?!そんな新しい見解を教えてもらい、子どもが主体的に勉強するようになっていく方法を聞いてきました。遊びを学びにつなげるプロフェッショナルな方へのインタビューです。

1.子どもが勉強しないときは遊ぶのがいい⁈

皆さんは、勉強するのは好きですか?

昭和の時代に我慢して勉強していた私達親世代。勉強は好きではないけど、我慢して頑張ることが美徳!と思っていたところがありませんでしたか?

現代の子ども達には、子どものうちから、楽しみながら勉強する機会を持って欲しいと思っています。

我が家の中学1年生の息子は小学4年生から不登校。勉強大っきらいになり、好きなことや興味のあることから少しずつ知識を増やしている最中です。

今はこのペースが丁度いいと思いつつも、今後どのようにしたら勉強もできるようになるのかが心配です。

うちの子みたいに勉強しない子に合う学習法は?
ただ面白いことに流されて勉強なんてできなくなるんじゃないの?
どうやって勉強に結びつけるの?

そこで、今回のインタビューでは、遊びと学びを融合させるプロの方にお話を聞いてきましたよ!お相手は吉澤一雅さんです。東京都内でシン・スクールという探究自立型学習教室を経営されています。

2.勉強に必要なのは『学びにつながる遊び』です!

ーー学びと遊びを融合させて子ども達を指導しようと思った理由を教えてください。

「ゲームや漫画等の遊びから学びに入ろうと思った理由は3つです。

1つ目は、『学習効果があること』、2つ目は『主体性を育成できること』、3つ目は『本音コミュニケーションがとれること』です。

学習効果については、好奇心が刺激された本当に楽しい状態の方が、理解も記憶もスムーズで、深い学びができます。今は、面白い遊びが山ほどあって、それを規制することよりも、利用した方が、今の子どもには成果が出やすいという実感があります。

今、社会の変化が起きています。学習指導要領改訂によって、『主体的で対話的で深い学び』というものが求められるようになっています。

子どもたちが本当に主体的になることって、『お腹空いた~!トイレ~!』の生理的欲求か、『ギューッとして~!』の愛情的欲求か、あとは『見たい、知りたい、やってみたい!ワクワクしたい!』といった好奇心の欲求で、それが遊びであり、学びであり、子どもにとっては元々区別無く同じモノのはずでした。 

ただ大人たちが『勉強』ばかりを切り離してやらせようとするから、いつの間にか『勉強=我慢して、耐える修行』みたいな誤解が定着してしまったと思っています。これからのAIやロボットが色々やってくれる社会では、人が自分から考えて、判断して、表現するといった、遊びの中で得られる本当の主体性が求められると思っています。

子ども達と遊びながら勉強するには、子ども達と本音で向き合うことが必要です。遊びから入ると、子どもらは私によく勉強や家族や学校についての本音の話をしてくれますし、逆に私からの勉強や世の中についてのアドバイスも素直に聞いてくれます。

ーー遊びと学びの融合は、現代っ子にとっても向き合う大人にとってもメリットが大きいですね!シン・スクールでは、どのように子ども達に遊びを勧めて、学びと結びつけているのですか?

「基本的にはどんなモノがあるかはざっくりと紹介したり、新しいのが入った時には教えたりする程度です。ただ逆に、ある程度その子の個性が分かってきたら、たまに『これ、絶対、スキだと思うよ~!』とオススメもしますが基本的には、自分から手を伸ばすのを待つ感じです。

そして、そこから学びに結びつけるやり方は、主なのは2つあります。1つは、こちらがその遊びに興味を持って、いろいろと聞いたりして、その子に教えてもらいながら多くの対話をする方法です。

人に何かを伝えたりアウトプットすること自体がとても学習能力の向上になるし、質問の仕方やこちらからの話によっては、そのまま使える知識になったりもします。

もう1つは、そもそも『学びにつながるような遊び』をたくさん用意しておくというやり方です。これは、元々遊びを仕事にしていたような私が、過去に色んなゲームやマンガなどのたくさんの面白いことをしてきた経験値と塾長としての10年の経験を活かして、今の子どもたちにとって『面白い!のに勉強や学びに役立つ』モノをチョイスできるようになったというのが大きいかと思います。」

ーーシン・スクールで遊べるゲームや漫画がとても気になりますね。それまで勉強しない子も、シン・スクールに来れば遊びと学びを知り尽くした先生と遊び始めて、知識や対話力などのアウトプットする力を身につけていくんですね!

3.子どもに関わる大人に必要なこと

遊びをきっかけに知らず知らずに勉強に関する知識もつけ、自分の好きなことを上手く伝えられるようになっていく子ども達は、勉強への考え方や姿勢も変わっていくのか聞いていきます。

ーー面白い遊びに出会った子ども達にはどんな変化があるのでしょうか?

「とても素敵な笑顔になりますね。遊びが、実際の勉強や世の中で使える知識や考え方につながった時には、単なる笑顔では無くて、なんだか少し誇らしいような、エッヘン!知ってるもんね!』みたいな、知ること、学ぶことへの喜びが出てきている感じになります。 

よくあるドリルとかの勉強なんかは、頑張っても親や先生が認めてくれるだけで、逆に言うとそれは誰かのための勉強だったりするのですが、自分から得た学びというのは、自分で自分を評価できるので、自己肯定感につながっているように思います。

また、子どもにとっての『遊び』というのは、もうそのために生きてるような生きがいであって、決してラクでは無く『没頭』『熱中』『夢中」になるものなんです。

だから大事なのは、夢中になれるかどうかだけなんです。生徒の中には『シン・ゴジラ』って映画で、ゴジラと軍隊にハマり、そこから歴史が大好きになっていって、今では来るたびに、ネットとYouTubeで歴史関連のことを自分で調べ上げてノートに書き出してる子もいます。もうその表情は真剣そのものです。」

ーー大人に勉強をやらされていい成績をとれるよりも、没頭できることを夢中になって調べて楽しむ中で実は色々な力が身に付いていた!という方が子どもにとって幸せだなーと感じます!

でもやっぱりテストや受験のことも気になるのですが…いつかは苦手に向き合って進んでいけるようになるのですか?

「勉強が大嫌いな子、不登校になっている子には、勉強よりもまずは心を安心させてあげることが第一段階です。『大丈夫だよ、あなたはそれでもいいんだよ』と伝えていきます。

そのステップを踏んだ上で、遊びから学びに入っていくのですが、苦手や嫌いが、本当の苦手ではなくて嫌なものを無理矢理やらされて苦手って思ってしまっていることもあります。スタート地点に戻って楽しさがわかる体験をしこんであげると、苦手だと思っていたことができるようになることも多いです。

ただ、みんながみんな苦手を乗り越えてテストや受験に向き合う子だけではないですね。苦手でも最低限これだけはやって逃げよう!という方法を一緒に作戦をとろうというスタンスをとることもあります。

そうやって苦手を退けていきながら、できることをやっていくことで意外と『あれ?できるじゃん!』と伸びていく子もいる。

だから、私のスタンスとしては『絶対点数アップします!』ではないです。そして、今社会では受験が全てではなくなってきているので、そういう話を親御さんにもしています。受験の先にあるものがゴールであり、テストや受験はゴールではなくて、ゴールに到達するために利用するものと考えているんですね。」

ーーテストや受験に向けた学習で苦しむ子どもも多いですもんね。テストや受験がゴールではないというお話はとても共感できます。

では、子ども達が本当になりたいと思えるゴールを探すためには、一緒に向き合う大人側も色々な職業の選択肢だったり生き方の選択肢を知らないといけないなと思うのですが、吉澤さんはどのように子ども達に伝えていますか?

「僕自身が色んな社会で色んな人を見てきた中で感じたことや、今後の社会の未来はこうなっていきそうだよということを保護者や子どもに伝えています。今後の日本がどのような社会になっていくかということは、『シン・ニホン』という本を読んで学ぶのがオススメです!

子ども達とは、『10年後の仕事図鑑』、『2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望』などを一緒に読んで話しますね。まだ幼い子ども達には『13歳のハローワーク』がおすすめですね。

あとは、放送作家時代に色んな人の考えや思いを考えることをしていたので、子ども達の色々な価値観や気持ちに気づけるかなと思っています。」

ーーそのようなスタンスで関わっていると、勉強ができないと思っていたり、不登校になっていたりして自信をなくしてしまった子達は気持ち的な部分も明るくなったり、希望に満ちていきますか?

「希望に満ちていくかというところは、どうでしょうね…それは、僕自身も大人が好きじゃなかったし、子どもをこうしてやろうみたいな思いが好きじゃない。

希望に満ち溢れるような子どもにしたいと、大人側が仕向けることもしないようにしています。

『前向きにやったほうが楽にできるみたいだよ。』というくらいには伝えるけど、目がきらきらした子どもだけがいいとは思っていないし、そうすると子どもも「この人は無理矢理自分を変えようとしているわけじゃないんだな」とわかってくれて変わるケースも多いです。

ーー「前向きにやったほうが楽にできるみたい」っていう言い方がいいですね。大人の感情を入れないことが大事ですね。ついつい、常に子どもに希望を持って!とか前向きに!等と無意識に期待してしまうことが多いので要注意だなと思いました…

「大人自身、前向きになれないこともありますよね。『前向きに!』って言っても子どもは『そんなわけないじゃん』と感じてしまうんですよね。」

ーー子どもとしてではなく、対等な1人の人間として子どもと向き合うと、子どもでも大人でもそうですけど心を開いて先へ進むためのコミュニケーションをとれるようになりそうですね。

4.男の子の遊びに共感できないお母さん

これまで、遊びを取り入れた学びの始め方、これからの子ども達に必要な考え方、子どもとの向き合い方について教えていただきました。家庭でも取り入れていきたいですよね?そのヒントを聞いてみたいと思います。

ーー男の子のお母さんで、男の子の遊びになかなか共感をもってあげられないという声をよく聞くのですが…

年齢が上がってきたり、異性だったりすると、『遊び』の好みも理解も難しくなったりしますよね。そこはあまり無理をせずに、その子が友達と遊んだりするのを応援してあげると良いかと思います。 

この時、間違ってもやっていはいけないのが、親が自分が理解できない『子どもの遊び』を否定したり、禁止したりすることです。

特に多いのが、『お母さんが息子のゲームを理解できずに否定する』というケース。これには親子の世代間ギャップもありますが、そもそもの男女の興味や性質の違いが大きいと思います。男子というオスは、『戦いや争い、勝負、狩り』が大好きですが、それはときにお母さんには嫌悪感となることもありますが、どっちが正しいとかではありません。

とにかく男の子は好奇心をくすぐられるものが大好きです!

シン・スクールではフリースクール事業も始めたんですが、男の子達はなかなかフリースクールも行かない割合が大きいんですね。フリースクールは愛情はたっぷりなんですけど、家庭でもお母さん愛情たっぷりで愛は十分なんですよ。

『あーつまんないな〜』っていう感じになる。『おばあちゃんちじゃないんだからさ』って(笑)

それで家でひきこもっちゃう男の子達がけっこういます。愛はたくさんあって1人で頑張ってしまっているお母さん達とお子さん達に面白さを提供する橋渡し役を担っていきたいです。」

ーー我が家にも男の子がいるんですが、男の子の心理がよくわかりました!『面白さ』ってそんなに大事なんだと、パパでもあり先生でもあり、色々な仕事をしてきた吉澤さんに言われると妙に納得できます!

「お母さん達は真面目に思い悩みすぎで、子どもにとっては面白くないんですよ!男性と女性の理解の仕方が違う。真面目なお母さんほど男性脳のことをよく知らないことが多いです。あまりオスの好みを知らないと『なんで?』と思って悩んでしまいます。

男の子の話ばかりで申し訳ないですが、オススメするのは、興味を持って、その面白さを聞いてみてあげてください。本当は、話したかったりもしますからね。くれぐれも否定的な質問では無く、『興味をもって』ですけどね。

あとは『わぁーすごいー』『かっこいいねー』で、オスは喜びます(笑)

面白さを理解してくれる人がそばにいるといい。

お母さん達が無理して面白くしようとすると、逆につまらなくなってしまう場合があるので、おもしろい人に繋いであげるといいですよね。1人で抱え込まずに、役割を分けて、つながっていきたいですね。」

5.子どもと話の合うおもしろい人を探そう!

私達母親にとって、子どもが自立して社会で暮らしていけるようになるように子育てすることは誰もが一番大事に考えていることではないでしょうか?

しかし、その想いが、時代の変化により時代遅れであったり、母と息子の関係であればそもそもの考える仕組みが違っていたりして、気付かぬうちに間違った方向へ進んでしまうこともあるんだということがわかりました。

私もインタビューをさせていただいて、お母さんがやっちゃいけないNG行動をしていたことに気がつきました。

1つ目は面白くないこと!
2つ目は1人で頑張りすぎていたこと!

いきなり面白くなろうと頑張るのはダメだと吉澤さんにも言われたので(笑)、我が家では毎週末大量にレンタルする息子が読みたい漫画を借りに行く役割を主人に託してみました。

すると、主人も「懐かしいな〜」「面白いな〜」と漫画にハマり、週末は父子で漫画トークを繰り広げるようになりました。そのトークを聞いていると、やはり面白さをわかっているからこそ出てくる話題や知識が盛り沢山です!

私は2人の会話にはついていけないのですが、ニコニコ笑い、相づちを打つだけ。

2人の会話が終わったら、

「お父さんめっちゃ〇〇について詳しかったね!」
「一緒に話せてよかったね!」

と息子に言い、

「息子と一緒に読んでくれてありがとう!」
「一緒に話してくれて勉強になったと思う!」

と主人に伝えるようにしました。

2人に伝えることで、2人にとって良い体験となり、その後もその習慣は続いています。

皆さんも、お母さん1人でお子さんのことを背負い込まずに、お子さんの楽しいこと、興味のあることを探したら共有できる相手に繋げてあげてみてください。

家族でも、自分の友達でも、身近なところからでもいいと思います。勉強しないなと思っている子がグングン勉強への意欲がみられるようになっていきます!そして子どもがもっと学びたいと言ってきたら、シン・スクールのようなおもしろい学びの場を探してあげたいですね!


吉澤一雄さん(通称ヨッシー塾長)プロフィール
東京都 探求自立型教室 シン・スクール代表
『シン・ニホン』公式アンバサダー
元放送作家、ゲーム企画、カジノ企画といった「遊びの仕事」を15年従事したのち、2012年より小中学生向けの学習塾を清瀬市で起業。2020年から、新しい学びに向け「学びと遊びを融合して好奇心と自立心を育てる」探究自立型学習教室 シン・スクールを立ち上げる。2021年6月より、同コンセプトのフリースクール「シン・フリスク コース」を新設。子ども目線に立った「面白さ」の中から、大人目線の「学びになる」ものを選ぶことで、本当の「好奇心」を刺激し、本当の「主体性」を伸ばす学習方針。
書籍『シン・ニホン』の公式アンバサダーとして考え方に共感し、「異人」を応援する活動を行う。

シン・スクール
https://www.shin-school.com/
〒204-0004 東京都清瀬市野塩4丁目81-13
▼無料体験のお申込みやご相談などはこちらから
042-497-2139 (受付時間:14:00〜21:00 定休:土日祝)
​Mail:support@shin-school.com

執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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