1.中学を卒業するから高校を探さなくては…
中学3年生になると夏休みが始まるころから、学校も、子どもの友だちも、周りの大人もみんないっきに「受験」「高校進学」といった進路を考えましょうという雰囲気になりますよね。
学校からは、進路について
・第一志望・第二志望はどこの学校にするのか
・どの学校を見学したのか
・保護者の進路に対する考え
などを記入する用紙が配られたりします。
実はこの紙が、不登校の親子にとってはプレッシャーになってつらいもの。
これがあることで、子どもがまだ進学を考えられる状態ではないのに、どうにかして見学に連れて行こうと思ってしまったり、親ばかりが焦って「進路はどうするの?」と子どもを急かしたりしてしまいがち。
学校をお休みしている子どもは、みんなと同じタイミングで進路について考えること、受験に向けて勉強をすることが難しい場合もあります。
せっかく学校をお休みしてエネルギーが貯まり始めたお子さんでも、周りや、親から急かされたりすると「進路のことを考えるのはしんどい、面倒くさい」となってしまうこともあります。
そこで今回は、中学3年生で不登校のお子さんの親ができることを、私の通信制高校を見学した体験談を入れながらお伝えしていきます。
2.本人の状態や発達の特性に合っている学校なの?
わが家には、不登校中の中学3年の息子がいます。
好きなことには、のめり込みやすいタイプで必要なものを忘れたりすることが多い、注意欠陥多動性障害(ADHD)の傾向が強い特性を持っています。
そのため、自分の好きなことを伸ばしながら高校の基礎的な学びもできる学校がいいのではないかと、通信制高校を検討していました。
子どもはゲームが好きで、ゲームには集中力を発揮できるのでeスポーツコースがある高校がいいかなと私が調べた数校を一緒に見学に行ってみました。
どの学校もeスポーツのプロを目指したいならば、とても魅力的な授業がある学校でしたが、発達の特性があるわが子にはどうかな?と思った点がありますので、参考までにお話しますね。
eスポーツに特化した高校のプロのプレイヤーのワザが見られる、教えてもらえるeスポーツ体験会に息子と行ったときのことです。
不注意の特性が出て、息子がいつもの使い慣れているゲームのコントローラーを持って行き忘れてしまいました。
忘れてしまったので貸してもらえませんかと聞いてみると「うちはキーボードがメインだからキーボードでやってみて」との対応でした。
操作になれていないキーボードでプレイしたので、ゲームが始まって即終了…
体験会が終わり、本人に感想を聞くと「うーん…キーボードは慣れないからすぐ倒されちゃったよ。」とやはり本人はあまり楽しめなかった様子。
私も出かける時に「忘れ物ない?」と声をかければよかったと、後悔しました。
しかし、このような経験をしたことで、学校側が特性に対してどのようなフォローやサポートがあるのかということを見極めることができたので、息子の特性が出てしまって良かったなと思った出来事でした。
さらに、子どもが好きそうなものに特化したコースがある学校は週に何日か通学して、集団で学ぶことが前提な学校が多いです。
中学で不登校となっていて朝もゆっくり過ごしている子の場合、好きなこととはいえ、朝起きて電車に乗って通学できるのか?
特性により人間関係に苦手意識のある場合、少人数とはいえ、集団でうまくやっていけるのか?ということも考える必要があります。
お子さんが見学に行ってもいいよという状態でしたら、ぜひ一緒に行ってみて学校の対応を観察や質問をして、調査をしてみてください。
わが家の場合、子どもの好きなことだからいいだろうと見学に行ってみましたが、リアルな現場を見て子ども自身がここではないなと判断しました。
これから色々と見学していく中で、本人のなかで比較検討して、決めて行くのだろうと思います。
親としては
「中学3年生なのだから早く高校を見つけようよ」
「ゲームが好きだから」
「これが今できることだから」と、子どもを急かしていました。
しかし、見学に行ったことで焦らず冷静に“子どもの様子と特性に合った高校を見つけよう!”と考え直すことができました。
3.不登校の中学3年生に親ができること
お子さんが不登校だと、通信制高校を進路先として検討することもあると思います。
今は、自分が学生の頃にあったら通いたいなと思うような魅力的なコースがある通信制高校がたくさんあります。
そういった通信制高校をいくつか息子と見学し感想を聞きながら、息子と進路について話しをしていきました。
親がいいなと思っても、子どもがいいと思うかはわからないものです。
高校に行くのは子どもですので、子どもと対話をしていきながら進路を考えられるといいですね。
今は、ネットの社会ですし、私たち親世代の学生の頃とは違って、これからもっと多様な学びや職業が出てくると思います。
中学を卒業するからと焦って、すぐに高校に進学する必要もないのかもしれません。
そこで、中学3年生の不登校の子どもに、親ができることを2つ考えてみました。
◆卒業が間近でも焦らない
高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)は、いつでも取得できます。
通信制高校でしたら、中学校を不登校のお子さんだけでなく、昼間は働いている社会人、スポーツや芸能活動に一生懸命なお子さん、海外に住んでいて学びたいお子さんが、高校の学びをしたいと希望したときに、いつでも学べる学校です。
小・中学校で不登校でも、学びたいときに自分のペースで学んで、大学に行きたいと思ったときに高卒認定試験を受験したという方の本も読んだことがあります。
まずは、中学3年生だからといって、親が焦らないこと!が大切です。
焦らないことで冷静に、学校やお子さんの様子を判断することができます。
◆たくさんの情報をもっておく
焦らないために、親ができることとして、もう1つはたくさんの情報をもっておくことです。
お子さんに聞かれたときや、提案するときに活用できますよ。
・通学しないで高校の卒業資格を取得するにはどうしたらいいのか?
・中学生で不登校になった学生で高校に進学した人の体験談を読んだり、聞いたりする
・中卒でも働けるか調べてみる
・得意を活かして起業するにはどうしたらいいか考えてみる
など、違った視点から情報を集めてみるのもいいかもしれません。
お子さんがプレッシャーを感じることなく、自分で自分の将来を考えることができるように親ができることをサポートしてあげたいですね。
お子さんの今の状態からちょっと頑張ったらできそうなことを目標にして、スモールステップで、親子で前向きに将来へと進んでいきましょう!
執筆者:渡辺くるり
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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