1.発達障害の子が学校が苦手、ツライと感じている原因
新学期が始まりましたね。新しい学校、新しいクラス、新しい先生、新しい友達、ワクワク楽しみなお子さんもいる反面、不安な毎日、学校が苦手、ツライと感じているお子さんもいると思います。
学校が苦手、ツライと感じる子の多くはコミュニケーションの課題を抱えています。
個別相談でお悩みを伺うとお悩みの上位3つの中に必ず上がってくるのがコミュニケーションの問題。
学校生活のつまずきと密接な関係があるのがコミュニケーション能力なのです。
学校に行くのが苦手なお子さんのお母さんの多くは
「学校に行けなくなると集団での関わりが減るから心配なんです!」
という方が多いのですが…
実は、その考え方、逆なのです。対人スキルに不安を抱えている子はどんなに集団に入れてもそれだけではコミュニケーション能力は上がりません。
どうやったら人とうまく関われるか…という成功の仕方を知らないから集団に何度入ってもうまくいかないのです。
かえって「何度やってもうまくいかない」という体験を積んでいくので人と関わることもコミュニケーションをとることもどんどん億劫になってしまうのです。
2.高学年になって一気に増えるコミュニケーションのズレの正体
友達関係・先生との関係が理由で学校がつらくなる子は高学年から中学生になると一気に増えます。
小学3年と小学6年の不登校の子どもの数を比べると2.4倍に増えます。
小学6年と中学3年を比べるとさらに2.3倍と一気に増加!
そしてその「学校がツライ」理由には「人間関係」(友達、先生、親とうまくいかない)が必ず入ってくるのです。
学年があがるほどにコミュニケーションの課題は大きく子どもにのしかかります。
コミュニケーションスキルやソーシャルスキルを磨くための療育、トレーニングはもちろんあります。
ですが、子どもにとっても楽しいトレーニングではないことが多く、お子さんも大きくなるにつれて本人が「いきたがらなくなる」ことも増えます。
こんな体験ありませんか?
療育に通わせていたけれど
「なかなか変化がみられなくて」
やめてしまった…なんていうお母さんのお話もよくうかがいます。本なんかもたくさん出ていますね。
本を読んだだけでうまくいくでしょうか?
きっと、お子さんにうまくやらせることができない…と悩んでいるお母さんが多いはず。
ただ、知識をインプットするだけではうまくいかないのです。
3.人の表情の読み取りがちょっぴり苦手、我が家のエピソード
私自身が息子のコミュニケーションスキルやソーシャルスキルには一番不安を抱えていました。
どれくらい不安を抱えていたかというと…
「うちの子はこのまま大人になったら犯罪を犯すのではないか…」
と心配になるくらい社会性の面では困りごとがたくさんあったのです。
先生や友達や大人の人とかかわってはいるけれどいつもボタンを掛け違えたようなズレたやりとりの連続。
突拍子もない考えや発言を繰り返す息子と「一生分かり合えない」と感じたこともありました。
また、「知識がある」ことと「こどもが行動できる」ことは全く別物であると痛感した出来事がありました。
我が家では、小学生のころ「友達のゲームをとってしまう」などの衝動的な行動が原因でお友達にもそのご家庭にも迷惑をかけてしまうことがかなりたくさんあったの です。
そんな時、私は何度も息子に言って聞かせました。
「ゲームをとってしまうのはやっていいこと?やってはいけないこと?」
と確認をすれば、その時は、もちろん「やってはいけない」とちゃんと答えられるの です。
ですが、実際 に人と関わる場面になると衝動性が影響したり、感情のコントロールがきかなかったり、自分の主張をゆずれなかったりしてやってはいけない行動や相手を不快にさせる態度をとってしまうことがほとんどでした。
我が家も本を買っては息子にやらせていたこともありました。
ですが、子どもが興味がないのにむりやりやらせている状態なので親子でイライラしてしまい、結局、我が家ではその本はお蔵入りになりました。
発達の特性も影響していて「習った通り」にできないことが発達障害の子には多いのです。
発コミュに出会う前、何度言ってもちゃんとできない息子に「どうしてわからないの!」と怒ってばかりましたが、その”うまくいかない理由”にこんな背景があると知ったのはトレーナーになってからでした。
トレーナーになって発達のことや脳科学のことを自分でも研究するようになってコミュニケーションがズレたり、ルールが守れなかったり、相手の気持ちがわからないのにはさまざまな理由があるとわかりました。
例えば自閉傾向あるお子さんは人の表情の読み取りがちょっぴり苦手ということ。
実際、息子も「俺は、人の表情を読んだり人の顔を判別するのがちょっと苦手なんだよね。それは、自分でも認識しているよ」と言っています。
こんなエピソードもありました。息子と二人でテレビを見ていて顔のタイプが違う女優さんが二人映っていたのですが、
息子がポツリと「なんか、おんなじ顔してるね」と言ったことがありました。
私からしたら「いやいや、この二人の顔、全然違うからね!」と思ったのですが
これが息子が見えている世界なんだな、と思ったのです。
表情の読み取りが苦手、つまり相手の感情に気づきにくい、それがコミュニケーション不全を招いている可能性もあるわけです。
発達障害の子たちの特性による小さな「ズレ」の積み重ねがミスコミュニケーションに繋がったり社会性のズレに繋がったりするんだとあらためて痛感させられた出来事でもありました。
4.親子の会話を整えましょう
対人スキルの不安はお母さんとの1対1での
「伝わった」「わかった」の経験があって初めて解消されます。
そして、そうやって親子の会話が整ってはじめて外でのコミュニケーションや集団に合わせる力が育ち学校にもどったり、自分の居場所をみつけたりして、活躍できるようになっていくのです。
「コミュニケーション能力」をあげるということは、ただ「友達と仲良くなりましょう」という話ではありません。
自分を押し殺してばかりいる繊細タイプの子は一見人との関わり方はスムーズに見えるけれど本人が内に大きなストレスを抱えてしまい学校に行けなくなってしまう。
コミュニケーション不全があると時間通りに動くことができなかったり、約束を守ることができなかったり、相手のことばの意味を汲みとることができなかったり、
「わかりません」「教えてください」
と人を頼ることもできなかったり、社会生活、集団生活のさまざまな部分に影響が出ます。
発達のことや脳の仕組みがわかるようになってそんな息子のコミュニケーション不全を整えてあげることができました。
皆さんも、お子さんとの会話の時間をただ聞いてあげるとき、お子さんのコミュニケーションを整えてあげる時間にしましょう。
お子さんが話してくれたことに対して、
「うんうん、こういうことだよね?」
「教えてくれてありがとう!」
と反応してあげましょう。そうすると、子どもは「伝わった!」と安心できてもっと伝えたい!と意欲も湧いてきます。
何かわからないことを「お母さん、どういうこと?」と聞いてきた時に、
「よく聞いてくれたね!嬉しいわ~」と笑顔で反応してあげるとよいですよ!
人を頼ることができる子に育ちます!
ぜひ、おウチで試してくださいね。
執筆者:清水畑 亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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