1. 発達障害・グレーゾーンの子どもたちの登校しぶりは完璧主義が原因
「明日は学校に行く!」と前日に宣言していたお子さんが、朝になって「宿題をやってないから行けない」「持ち物がわからないから行けない」と言いだすことはありませんか?
お母さんからしたら「そんなの前の日にやっておけばよかったでしょ」「ただの言い訳でしょ」と感じますよね。
…ですが、それは発達障害・グレーゾーンの子どもたちにありがちな”完璧主義”が影響しているかもしれません。この完璧主義は『こうあるべき』という考えを曲げることができない「こだわりが強い特性」や「ちゃんとやらないと先生やママに怒られちゃう」という『不安が強い特性』が基盤にあります。
また、学校がしんどいお子さんにとって登校の準備はつらい作業です。記憶を司る脳と行動を司る脳はとっても仲良しです。
そのため「うまくできなかった」と記憶している行動や怒られ過ぎて自信を無くした行動を始める時、「できそうもない」「嫌だな」というネガティブな感情がセットで呼び起こされて動けなくなるのです。
今日はそんな完璧主義タイプのお子さんの柔軟性を取り戻した受講生さんのエピソードをご紹介しますね。
2.小学校高学年になって始まった登校しぶり…勉強しないのに塾をやめたくないM君
小学校中学年までは勉強が得意だった発達障害・グレーゾーンのM君。それが5年生になってから登校しぶりをするようになり、塾に行かせても勉強がはかどらないことが増えてきました。成績もどんどん落ちて本人が行きたいと思っている学校に入るのは難しい状態でした。
お子さんを心配したママが、
「学校は1つじゃないから変えてもいいよ」
「無理に受験しなくても大丈夫よ」
「塾をやめても良いんだよ」
と伝えても、M君は、
「この学校以外は行くつもりはない!」
「塾もやめない!」
の一点張りでした。
「それなら勉強しなさい」とママが言っても本人が勉強する気配はありません。こんな堂々巡りが続いて親子ともに疲れ切った状態でした。
ところが数か月後、Mくんは、
「他の学校も見てみようかな」
「塾は無理しないでやめてみようかな」
と自分に合った方法に変えてみよう、小学校も自分のペースで登校してみようと柔軟に考えられるようになりました。
Mくんのお母さんがどんな対応をしてこの局面を乗り越えたのか、秘策をお伝えしますね。
3.完璧主義の子どもに封印したい言葉とおすすめの言葉
発達障害・グレーゾーンの完璧主義のお子さんに封印すべき言葉とおすすめの言葉があります。完璧主義な子どもを褒めるときに封印したいことば。それは「すごい」「えらい」と褒めないこと。「学校行けてすごいね、 勉強してえらいね、すごいね」これはNGフレーズです。
すごい、えらい、は大人の「評価」が伴うフレーズです。裏を返すと「できないとダメ」と捉えられてしまいがち、です。ではどうすれば良いかと言うと具体的に子どもの行動を言葉にしながらどんなふうによかったのかをしっかり伝えていきます。
たとえば…
「お疲れ様!ゆっくり休んで」(行動したことを認める声かけ)
「国語の問題やったんだね」「〇分間取り組んだね」(勉強を少しでもしたら…)
「自分で調べたんだね!」(ママが答えられないことを調べていたら…)
「指先、めちゃくちゃ早く動かすんだね!」(ゲームをしているとき)
こんなふうに実況中継をするように事実をしっかり伝えます。お子さんが実際にやっていることを言葉にするだけなので、「何か要求されている」とか「何か評価されている」と感じにくく、等身大の自分を認めて肯定していくことができるようになります。
自分のやり方、自分の考え方でいいんだ!と思えると物事を柔軟に捉えられるようになり挑戦できるようになります。そして正解が1つだけじゃないと気づけば、うまくいかないことがあっても次はどうしたらいいのか?と考えることができます。
柔軟性を引き出すお母さんの声かけでお子さんの完璧主義を緩めてあげてくださいね!
執筆者:清水畑亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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