1.息子が「発達障害ADHD」と診断されて落ち込む私
子どもが発達障害と診断されて、先が見えずに不安になるお母さんも多いと思います。それは無理もない話で、お母さんが具体的に子どもをどのようにサポートしていけば良いのか教えてくれるところが少ないのが現状です。
私も息子が発達障害の診断をされ、途方にくれていた母親の一人です。
息子は、元気よく外で毎日遊ぶような「子どもらしい子ども」そんな言葉がぴったりの子でした。
しかし小学5年生になり、そんな悠長なことを言っていられない状況になってきました。
・忘れ物、無くしものは日常茶飯事
・宿題をしない
・提出物を出せない
・連絡帳を書かない
・「どうせできない」と自信もない
次第にゲームとテレビに執着し、思い通りにやれないと癇癪(かんしゃく)を起こし、扉に八つ当たりしながら自分の部屋に駆け込む毎日。
私は息子の将来に不安を感じ「こども 育てにくい」とインターネットで検索しました。
そこで発達障害のことや誤った対応が二次障害を起こすことを知りました。
自分の息子への関わりが足りなかったのではないかと悔やむ日々。
何をして良いかもわからず、学校の「ほけんだより」で見たスクールカウンセラーに相談し、検査を受けることになりました。
紹介された病院は、なんと3か月待ち!
あちこち病院を探して何とか受けた検査の結果「軽度の発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)」と診断されたのです。
スクールカウンセラーとの面談も月に1回程度で不安を解消するには少なく、周りに相談できる話題でもないため、不安は募るばかり。
療育というサポートの存在を知り、家の近くの療育を探しましたが、値段、距離の問題で現実的ではありませんでした。
だけど、サポートは必要…探さなきゃ!とインターネットで検索し続ける毎日。
「発達障害」という言葉に押しつぶされそうになりながらも解決の糸口を必死に探す中“ある言葉”との出会いがありました。
2.息子の将来への不安が募る日々から脱却できたきっかけの言葉
息子の将来への不安ばかりが募り、「発達障害」というものをどう受け止め、どうサポートすればいいのかも分からない…
そんな不安を募らせながらも情報を集める中で、ある言葉がきっかけで気づきを得ることができました。
その言葉とは、「発達障害」の権威である平岩幹男先生が出演したTV番組での言葉。
先生は「発達障害の『障害』とは、『周りの環境』と『自分』との間にある『壁』のこと」とおしゃっていました。
この言葉に出会ったとき「そうか『壁』を低くすればいいんだ」と妙に納得でき、ふっと心が楽になりました。
「壁」を低くするというのは
・本人の成長を促し困りごとを小さくする
・過ごしやすいように「周りの環境」を整える
この2つです。
この2つだけと言っても、本人を成長させ周りの環境を整えることは、簡単な事ではありません。私が具体的にどのように「壁」を低くしたかについては次にお話します。
3.発達障害「2つの壁」を低くするために私が実践したサポート
「壁」を低くするために、私が実践したことをお話します。
♦親が子どもの特性を知り、家庭で成長を促す
息子のサポートの仕方を探す中、偶然見つけたのが発達科学コミュニケーション(発コミュ)でした。
療育にお願いするしかないと思っていた私にとって、母である私自身が発コミュを学ぶことで、息子を成長させることができるということは、目から鱗でした。
藁をもすがる思いで始めた発コミュ。
そこでは、私自身がどれだけ、息子のできないことばかりに目を向けていたかに気づかされました。
「ご飯中はちゃんと座って食べて!」
「もうゲームをやめる時間なのに、まだやってるの!」
こんな声掛けを「子どものできていることだけに目を向けて褒める」という発コミュで習った対応へ。
「朝、早く起きれたね」
「今日も学校がんばったね」
「手洗い・うがいできたね」
など。
今まで、できて当たり前と思っていたことを褒め始めて2か月ほどで、息子の癇癪はなくなっていきました。
発コミュでは、当たり前のことでも言葉にして褒めたり、肯定的なコミュニケーションを重ねながら親子関係を改善していきます。親が子どもの特性を知り、今の子どもの成長にとって必要なサポートを模索しながら対応していくのです。
発コミュを学んだことで、息子にとって必要なサポートに気づくことができ、彼にとって「周りの環境」である学校へも話をすることができました。
♦学校へ協力を依頼
まず、息子にとって過ごしやすいように周りの環境を整えるため、学校へ話をしに行きました。
担任の先生に発達検査の1つである「WISC」から分かった息子の得意な部分・不得意な部分を伝え、息子の笑顔を1番に考え、サポートしていきたいと思っていることを伝えました。
先生には良心的に受け取って頂き、発達障害ADHDの息子が過ごしやすいようにサポートをしていただいています。具体的には
・ADHD特性である「不注意」への対応として、座席は集中しやすい3列目までにして、気が散る窓際は避けてもらった。
・書くことが苦手であることへの対応として、板書の内容をポイントだけ書き込み形式にしたプリントを配布してもらった。
・視覚からの情報処理が得意な息子へ、理科の観察で気付いたことをインタビューしてもらった。
このように息子が意欲を失わないよう、自信を持って物事に取り組んでいけるように、特性に合わせた対応をしていただいています。
学校に協力をお願いしたことで、周りの環境の「壁」を低くしてあげることができたと思います。
今の私は「息子が困難を感じる『壁』の高さが低くなるようにサポートしてあげれば『障害』ではなくなる」と考えています。
今は、不自由さがあり、親が身の周りや学校などの環境調整をしてあげる必要があります。
でも、成長とともに、困りごとも小さくなっていくかもしれません。
それに、調整が必要だとしても子ども自身が「自分」と「周りの環境」との「壁」を低くする方法を自分自身で見出せる力をつけられていれば良いのです。
この先、もしも「壁」が高くて乗り越えられないと疲れてしまったときに、休ませてあげる場所を家庭で準備してあげたいと考えています。
子どもと良い関係を築き、その子に合ったサポートをするのに遅すぎるということはありません。
私は、過去の自分の対応を責めるのではなく、発達障害ADHDタイプの息子の成長をよく観察し、将来に向けて、しっかりサポートしていこうと思っています。
みなさんもまずは親子の「壁」を低くするところから始めませんか?
↓こちらの記事からも、発コミュを始めた私たち親子の変化をご覧いただけます!
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執筆者:福井 縁
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
親子のコミュニケーションで、発達凸凹っ子をグーンと伸ばす対応を掲載しています!