1.我が家のパパは高校中退でも大学を卒業しています
しかし、「高校に入学してこれから将来のについて考える時期だよね」と思っている思春期の子どもが学校へ行けなくなってしまったら…目の前が急に真っ暗になってしまった感覚に陥るのではないでしょうか。
子どもが一番辛いのだと頭ではわかってはいるけど、両親が不登校を認められないと、子どもからの信頼を失ってしまうこともあります。親子関係の悪化により進路が決められずに長年ずるずると過ごすということにもなりかねません。
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2.高校生活からドロップアウト 15歳で退学の決断
ーー高校1年生で登校しなくなって退学したってことだけど、不登校になる前はどんな感じだったの?
「中学のときは、田舎の学校で1学年3クラスの中学校生活で。それが、高校に入学すると、1学年10クラスになり、人数の多さに圧倒されたんだよね。
中学のときは、一人一人の存在感がそれなりにあったように思うけど、高校に入学すると人数が多くなって、自分の存在感がちっぽけになってしまった気がしたかな。」
ーー学校の雰囲気が全然違ったんだね。その当時は学力レベルで高校を選ぶしかなかったもんね。高校を休みだしたのはその違和感が原因?
「高校の雰囲気になじめないまま授業が開始されて、すごくレベルの高い進学校だったわけじゃなかったけど、勉強のレベルがすごく上がった気がして難しくなって。
そして、勉強しない、そのため授業が理解できない、わからないから勉強しない、ますます授業が理解できなくなって勉強が面倒になる、学校が楽しくない、ついには学校を休み出す…という流れになっていった。
『もうダメだな』という風に常に考えるようになって。高校を辞めてもそれからの人生はどうなるのか不安だったけど辞めたい一心であまり深くは考えずに中退しようと決めて。」
ーーお父さんお母さんはなんて言っていた?
やりたくないピアノを習わされたり、好きで始めた野球を辞めさせられたり。この頃も最初は『学校行きなさい!』と怒っていた記憶が強烈にあって思い出したくないくらい…
父さんは俺が小さい頃からずっと単身赴任をしていて、母一人での子育ては大変で、今みたいに不登校についての情報もなかっただろうし辛かったと思うけど、俺も結構きつかったね。
ーーお父さんは何て言ってたの?
「父さんも最初は反対していたけど、俺も結構頑固で。頑として『高校へは行かない、辞める。』という意思が強かったから、諦めて納得してくれたという感じだったよ。」
ーー好きなことを応援してもらえたり、辛いときには寄り添ってもらえたりすると『もっとチャレンジしよう!難しいことも頑張ってみよう!』っていう気持ちにもなるよね。昔は『学校は行かなければならないところ』という考えが今よりも更に当たり前の世の中で、お母さんも子どもを学校に当てはめないとって思うしかなかったんだろうね…。
3.思春期でも親子の信頼関係は取り戻せる!
ーー高校を中退後、何していたの?暇じゃなかった?
「最初は、『自由だー!!』と思って好きなだけダラダラしたり、漫画読んだり、その辺を自転車で走りまくったりしていたよ(笑)
そのうち、親戚の家がブドウ農家をしていたから、そこの手伝いをしたりして、おじさんおばさんに感謝してもらえることが嬉しかった。」
ーー引きこもったり、不安に襲われたりすることはなかったの?
「不安はあったけど、嫌な記憶は頭の中で抹消されているからあまり覚えてない(笑)ただ、家にいても引きこもってるって感覚はなかったし、好きなだけ自由に過ごせるぞーと思っていたかな。
あと、単身赴任中の父さんが休暇を取って何度も旅行に連れて行ってくれたよ。
父さんの職場の若い人も一緒に来た旅行もあって、『なんでこの人一緒なの?』と思いつつも色んな経験ができてよかったかなと思っているよ。」
ーー思春期で、お父さんと2人で過ごすことってそれまであまりなかったんじゃない?気まずくなかったの?
「たしかにちょっと気まずかった!もともと離れて暮らしていたから話もあんまりなかったんだけど。けど、自分のことを気にかけてくれているんだなと嬉しく感じたよ。
車で色んな場所に行ったりして、この旅行を通して父さんと色々と話せるようになっていったんだよね。この旅行を機に、父との距離が縮まって、それからは何か相談するときは母さんではなく父さんになったよ。」
ーー親と話したり行動したりするのが恥ずかしくなる時期に、敢えて一緒に過ごす時間が増えたんだね。お父さんも親として息子へ子ども孝行しようと頑張ってくれたんだろうね。今では親子2人で晩酌できる仲になって、中退していなかったらそんな仲にもなれなかったかもしれないよね。
4.大学へ行きたい!高校を中退した場合の受験方法
ーー不登校になる人ってどこか負けず嫌いなところがあるよね。みんなと同じタイミングでは過ごしにくくても、きっとその子のタイミングで好きな方向へ進むチャンスが現れるんだね!大検を受けるための勉強や大学受験のための勉強はどうしていたの?
「地元の予備校に通って大検専用の勉強をしたよ。予備校では新しい友達もできて、勉強も自分のペースで進められたので気持ち的に楽で、けっこうスムーズに大検資格とることができたんだよね。」
ーー今では高等学校卒業程度認定試験(以後:高卒認定試験)に変わっているけど、これに合格しないと大学に入れないの?
「大学は、高校を卒業して高校卒業資格を持っている人じゃないと入学資格がないからね。なんらかの理由で中学卒業資格しかない人が大学受験したいとなったら高卒認定試験を受けて合格する必要があるんだよ。
大学入学して卒業しないと中卒になっちゃうし、大学入るなら本当に行きたいところにいかないと意味がないと思って2浪したんだよ。母さんと2人で暮らしていた実家を出て、父のいる関東の予備校に2年通った。
ーー例え小さい頃から仲良し家族じゃなくても、大きくなってからでもしっかりと向き合えば良い関係が作れて、子どもが素直に動けるコミュニケーションをとれるようになるんだね。
5.不登校になったからこそ強くなれる!
ーーうちの子は小学生で不登校になっちゃったわけだけど、不安はなかった?
「不安がないと言えば嘘になるけど。自分の不登校は高校生、彼は小学生という年齢の違いがあるし。小学生で全てを自分一人で決めていくことはできないからね。
ーー人とは違う苦しさを味わって乗り越えたことが自信につながっているよね。
人と違う経験をするからこそ、強くなれる。
若いうちに苦しい経験をしたからこそ、人に優しくなれる。
不登校となって一旦立ち止まることは悪いことではありません。思春期の子どもにとっては、自分の気持ちに気づき、どんな大人になりたいのかよく考えるきっかけとなります。
周りの大人がそのことに気づき、応援することを行動で示してあげれば、一度親子関係がギクシャクしたものになっていても取り戻すことができますよ!
自分の状況を素直に受け入れられるようになることで、自分のやりたいことやなりたいもののイメージも描けるようになります。
子どもが前を向き始めたとき、
「君のやりたいことを叶えるためには、こんな制度があるよ、こんな方法があるよ。」
と親の期待を入れずに情報提供してあげましょう。
是非、みなさんも不登校を悲観せずに、子どもにとって貴重な経験を乗り越えていきましょうね!
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(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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