高校を中退したからこそ開けた未来!〜馬術選手として活躍する青年のお母さんにインタビュー〜

高校生からの不登校は、中退となりやすく、社会へ巣立つ時期が間近であるためお母さんの心配も大きいです。しかし、お母さんの不安を手放すと将来への歩みを方向転換することも可能です!高校中退後、馬術選手となった男の子のお話をお届けします!

1.高校を中退したらどうしたらいい?

小中学校という小さな頃の不登校もお母さんにとっては心配ですが、高校に進学したのに通えないということになると社会へ巣立つ時期が目の前なだけに、また違った心配がありますよね。

義務教育である小中学校は不登校でも卒業資格がもらえますが、高校では不登校のままで卒業できるということはまずありません。

最終学歴が中卒になってしまうのです。

中卒でも立派に社会で活躍していらっしゃる人もいますが、お母さんにとっては、

大学へは行けないの?
中卒で働いて生計を維持できるの?
そもそも働く意欲が起きるのか?

という不安を抱えるでしょう。

今回は、中高一貫校の内部進学が決定した後にエネルギー切れとなってしまい、高校を中退したお子さんさんのお母さんである齋藤香織さんにインタビューさせていただきました。

高校を中退した息子さんは現在、馬術界で活躍しているんです!

高校を辞めるまでの経緯、辞めてから息子さんがどのように自分の好きな道に一歩踏み出したかという話を伺っていきたいと思います!

2.学校に行く意味を見出せなかったから

ーー齋藤さん、本日はよろしくお願いします。まず、息子さんが高校を退学したときの様子をお聞きしてもいいですか?

「退学したのは高校1年生の3月です。中学1年生の3学期に転校した中高一貫校でした。高校に上がる際に内部審査があるので、査定に必要な時期は勉強も通学もとても頑張ってクリアすることができました。

でも、心の奥底では本意ではなかったんですよね。息子には発達障害があって、小学校高学年のときから、先生が嫌だったりクラスで合わない子がいたりすると休むことがよくありました。

中3で内部進学が決まった途端に勉強しなくなり登校もしなくなり休みが多いまま進学したんです。

高校1年の連休明け、クラスにも入らなくなって。学校の裁量で図書室登校させてもらえたんですけど次第に図書室に行くのも嫌になりました。

その時よかったのは、担任の先生が発達支援の知識があった方だったんです。wisc-ⅳという発達検査の結果をお伝えして、各教科の先生にも共有してもらえるように連携をとってくれて環境は整っていました。」

ーー勉強や登校を頑張り過ぎてエネルギーを使い果たしてしまったんでしょうか。先生の配慮で環境が整って登校しやすくなりましたか?

「いえ。結局は、どんなに周りが理解してくれても、本人が学校へ行く必要性を感じるところでひっかかっていたので、難しかったです。

高校で2年生になると大学進学を視野にいれたクラス編成になっていくから、本人が辛いのでは、辛い状態で通わせるのはかわいそうという見解を学校側から頂いて…

私も『そうだな』と思って『退学した方がいい』と決心をしました。学校の先生からの言葉が決断の一歩になったんです。」

ーー大変な決心でしたね。息子さんは、お母さんがそのように受け入れた時どうでしたか?

「やめていいよとなったら、『やめて大丈夫なのかな?』という不安もあったみたい(笑)だからといっていく気力もないんですよ。

本人はもう勉強したくないという状態だったので、『中卒だとねぇ、せめて高卒認定試験だけでもとっておいた方がいいね』という約束をしました。」

ーー親子で一緒に考えたのですね。

「私には、親としての世間体や、『このままやめてしまってどうなるんだろう?』という不安がずっとあったんです。本人が行きたくないというのは何年も前からわかっていたことなのに。

学校に行かずに、社会生活を送れるようになるにはどうしたらいいのか?というのが私には未知数だったですね。」

ーー高校を卒業したら進学するのかなというルートが親側の当たり前になっていると、不安になってしまいますよね。親子で色々な道を調べたり知っておく必要がありますね。

3.習い事だった乗馬に本格挑戦!

息子さんの気持ちを時間をかけながらも受け入れることのできた、齋藤さんの心の葛藤の様子を聞くことができました。

学校を退学した後、息子さんはどうしたのでしょうか?

ーー息子さんは高校を中退後、馬術の道で熱心に活動しているということですが、どうやって乗馬に出会ったんですか?

乗馬自体は小学5年生からやっていました。競技としては中学2〜3年生から始めています。

すごく好きで率先して行っていたのですが、相当学校でエネルギーを使ってしまっていたこと、郊外だったということもあり、電車で1人で行くことができず私が送迎できる週末に週1〜2回のペースで行っていました。適性も合って、とても楽しんでいました。

学校を辞めたら、自分1人で公共機関を使って、たくさん行けるようになりました。公式の大会、全日本ジュニアの大会に出場し、大会出場を重ねていく中で、もっと練習したいと言うようになりました。

今は、乗馬クラブの宿舎に泊まって、週1で休みの時だけ自宅に帰ってくるという生活。急に、親から離れていった感じです(笑)」

ーーそれは急成長ですね!親元を離れることに不安はなかったですか?

「不安は、今でもあるにはありますよ。社会に出たこともバイトもしたこともなかったので。宿舎に寝泊まりするにあたって乗馬クラブのコーチ達に迷惑かけちゃったことがあったみたいです。」

ーーどんなことで迷惑がかかったのでしょう?

眠くて起きてこない、暗黙の了解がわからなくて、スタッフの人たちが疑問に思うことをやらかしてしまったという話や、馬術の指導をしてもらって自分の思っていることと先生の指導が違うとぷいっと態度に出てしまう等の話を聞きました。」

ーーそのようなお話を乗馬クラブのスタッフから聞いて、お母さんはどうしましたか?

「乗馬クラブのコーチに、息子の特性をお話ししました。事細かには伝えてないけど、

『もしかしたらお感じになっているかもしれないけど、うちの息子には発達障害があります。普通の人が不可解に思う態度にも本人にとっては理由があるんです。

普通の子が1受け取るところを10受け取ってしまいます。指導として、ちょっと語気が強いと怒られたと感じてしまう。ショックなことがあると起きれなくなってしまう。聞いてるのか聞いてないのかわからないという時は、単に理解できていないのかもしれない。そんなことがあります。』と。」

ーーわかりやすく、簡潔に息子さんのことを伝えられていますね。スタッフの方達の反応はどうだったのでしょうか?

「スタッフに周知してくれて、どうしたらうまくやれるようになるかみんなで話してくれました。そして、たまたまクラブに支援学校の先生が通っていたんです。その先生に、発達に課題のある子にはどういう風に対応したらいいかということを聞いてくれたそうなんです。

紙に書いてあげるといいとか、言葉の伝え方等教えてもらったみたいで、クラブのスタッフも息子が動きやすいように、対応を変えてくれました。

一時は、ちょっときついなと家に戻ってきた時期もあったけど、適切な対応をしてくれてまた宿舎に寝泊まりして活動できています。」

ーーその子への誤解を解くためにも、特性を伝えることは大事ですね!

「ありのままに伝えることは本当に大事だと感じています。伝えると助けてもらえる。

理解してもらえる人に出会えて、本人が笑顔でいられることが大事と高校の先生に言われて私がそう思わなきゃいけなかったんだなと気づきました。」

ーー年齢で言えばまだ高校3年生、苦手な部分がありながらも、1人で行って寝泊まりすることはとてもハードルが高いですよね!やっぱり乗馬が好きだから頑張れるのですね!

「そうですよね、好きの気持ち、大事なのはそこですね。それでも、自宅に戻るために迎えに行くときは、車に乗ってすぐ口開いて寝ているんですよ(笑)勢力使い果たしたみたいな感じでしょうね。」

4.子どもが好きなことに目覚めるとき

高校を中退してエネルギーをためたからこそ好きだった乗馬を頑張ることができるようになった息子さん。将来に向けてどんな風に考えているのか聞いてみましょう。

ーー息子さんは乗馬で上を目指したいと思っているのですか?

馬と関わる仕事をしていきたいと言っています。今は乗る側ですが、馬の仕事は多岐にわたります。
厩舎という馬のおうちのようなところで世話をする仕事、蹄鉄をつける装蹄師という仕事、競馬の世界も興味があるみたいで。」

ーー馬といってもいろいろな仕事があるんですね。選択肢として幅が広がりますね!お母さんがみていて、乗馬の世界に進んで息子さんが成長したなと思うことはありますか?

「高校を辞めた後、コロナで自粛期間が長かったから平日はゴロゴロしていたんですね。これではいけないと自分で気づいたようで。何すればいいのかなという日が続くと、息子のような子でも耐えられなくなってしまうらしいです(笑)

そこから、私が平日仕事があるときは、自分で、乗馬クラブに1人で電車に乗って行くようになっていったんですね。自分で決めて自分で動けるようになったことがすごい成長だなと思っています。

ーー息子さんらしい経験や進路について教えていただきありがとうございました!最後に、学校へ行けなくなって好きなことが見つからないと悩んでいるお子さんやお母さんに対してメッセージをお願いします。

「私の主観になりますが、まずは、学校に行かなくても大丈夫って親が本当に思うかどうかが大事です。それがないと、子どもはわかっちゃいますね。『なんとかして行かせようと思っているんでしょ』って、敏感だからわかってしまう。

実際に高校を辞めて、ゴロゴロしている期間、私は正直『このままではどうしよう』と不安でした。でもここでその不安を本人に言ってしまったら、本人にぐさっと刺さってしまうと思って言うのを我慢しました。

けれども、無理に学校へ行かせようとしていた頃に比べたら全然イライラしなかったんですよね。本人の気持ちがどうかということを受け止めて、学校へ行くということを手放すと、そこからは、あれこれ考えなくても、スルスルっと事が運ぶようになっていきました。

子どもが行きたくないと言っているのなら、受け止めてあげてほしいです。」

ーーお母さんの心が軽くなると、子どもも軽くなって好きなことをやってみようかなって動けるようになるんですね。

お母さんも楽で、本人も楽になるとお互いに好きなことをやれるようになります。あまり言葉を交わさなくても、見守ろうという気持ちに自然となれました。今は、息子の姿を見ていて、学校を辞めて本当によかったと思っています。

今は、大学は行かないと言っているけど、行きたいと思ったらその時にまた頑張って行けばいいと思うし、学びたいことはいつから始めてもいいと思っています。」

ーー齋藤さん、息子さんにしかできない成長のお話をありがとうございました!

5.学校外でも子どもが自立に向けて成長するには

齋藤さんのインタビューはいかがでしたか?

うちの子どもには得意がない、好きなことがない、ゴロゴロばかりしている…

齋藤さんもそんな悩みを抱えるお母さんの1人でした。

学校生活に疲弊した子どもが得意なことを見つけるためには、まずはしっかりと休む時間をあげること!

これがとっても大事ですね。ゴロゴロしていてもゲームしていてもいいんです!

頭の中がつらい気持ちでいっぱいのときには、新たなことにチャレンジする心の隙間がありません。

子どもがやってみたい!と思える心の余裕を作ってあげることが必要なんです

そして、子どもに学びは必要ですが、体調や心の調子を壊してまで学校生活を送らないといけないわけではないと親が心から納得することも大事だということがわかりました。

齋藤さんの息子さんのように、学校外で好きなことに没頭しながら大人として必要なスキルを身につけていけるといいですよね。

もしかすると、子どもが日々遊んでいることや通っている習い事が、将来子どもにとても大事なことを教えてくれる活動かもしれません。

子ども達の将来を成績や学校評価を基準に考えるのをやめて、「この子が好きなもので伸びる力はどこだろう?」という視点を持って考えていきたいですね。

今まで当たり前であった職業もなくなっていく時代に突入しています。お母さんが子どもを安心して過ごさせてあげれば、子どもは得意な力を伸ばし、その子らしい将来の夢を実現させる道がひらけていきますよ!


齋藤香織さん
一般社団法人チャイルドフッド・ラボ発達サポーター
日々、保育園で小さな子どもと向き合うと同時に、ご自分の経験を生かして発達障害の子どもを育てるお母さんのためのセラピストになるべく猛勉強中!

執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

学校になじめなくても、学校外で生き生きと成長することのできたパステルさんのエピソードを多数配信しています。ご登録はこちらから!

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