1.中学校で起立性調節障害、不登校になった子どもの将来は?
起立性調節障害という病気を抱え不登校となり休んでいる間、子どもの将来を考えたときこんな心配事が頭に浮かびませんか?
このままダラダラした生活から抜け出せないかもしれない。
テレビを見たりゲームばかりしていて勉強ができなくなるかもしれない。
病気を持ったまま進学できるところはあるのだろうか?
体も心も休ませることが大事と思っても、将来への不安が残り日々の子どもの姿に焦りを感じてしまうことも多いのではないでしょうか。
前回の記事では、起立性調節障害により不登校となった後に復学し現在大学へ通っているせごさんに、不登校になったときの気持ち、起立性調節障害をどのように克服していったのかについてインタビューしています。
知らないのは損をする!不登校の原因、起立性調節障害の克服法とは〜元不登校の現役大学生せごさんインタビュー〜前編
その後せごさんは、体調が回復したのに合わせて、中学校に少しずつ戻っていったそうです。高校は一旦は全日制の高校を受験。合格し1年生の夏まで登校したところで再び起立性調節障害の症状が悪化してしまいました。
その後のせごさんの気持ち、進路変更の決断、不登校で苦しかった時に救ってくれたものについてインタビューしていきます。
ーー全日制高校に入学してから夏に体調が悪くなったということですが、どのような感じでしたか?
「入学してから夏の前までは良かったんですが…いわゆる夏バテですかね、エネルギーが切れてしまってどっと体にきてしまって、また3ヶ月ぐらい休みました。
義務教育だった中学とは違い、高校は留年という問題がありました。留年が決まったタイミングで通信制高校に転校すれば3年で卒業できるということがわかりました。だから、11月に通信制高校に転校したんです。」
ーー良いタイミングで止まることなく自分に合った道を選択できたんですね。中学生の時に病気になってしまって焦りのような不安があったと話していましたが、通信制高校に転校して勉強し始めたときはそういう葛藤や、昔は優秀だったのにという気持ちには折り合いはつけられていたんですか?
「本当は、通信制高校に入学を決めた時点で葛藤があって…『俺はここまで落ちたのか』という気持ちになっていましたね。」
ーーそうでしたか…入学して1学期の間は調子が良かったということで、実はとても頑張りすぎていたのではないかなと想像しました。
頑張ることで高校生活を楽しめていたからこそ、そこからの気持ちの落ち込みは大きいですよね。それでも前に進むために、落ち込み続けることなく、転入するという大きな決断をしたのですね。
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2.通信制高校に転校で人と比べない自分になれた!
通信制高校や大学生活について、学習面や体調管理の面での質問をしていきます。
ーー通信制高校は、どんな学校を選びましたか?
「星槎国際高等学校の学習センターを選びました。他にも定時制の高校や通信制の高校もあったのですが、体験に行ってそのときの雰囲気を見て決めました。」
ーー星槎国際高等学校学習センターでは、どのくらいの登校頻度で通っていましたか?
「僕は受験対策コースというコースを選んで、受験対策がある時間と、学年の必修科目のある時間と、興味のある内容のゼミをとる時間とで週4から週5日で行っていたと思います。」
ーー通信制高校に変わってからは体調はどうだったんですか?週に4日行けるくらいなら大分調子の良い状態でしたか?
「体調は、まだばらつきがあったんですが、中学生の頃よりはピークが過ぎて、午前中だけ調子が悪いということが多かったですね。
全日制高校のときは、朝から行けないとなると途中から行く気にはなれなかったのですが。通信制高校だと授業が午後からとか、15時からという時もあったので体調面にも合っていて通いやすかったですね。」
ーーやはり、全日制高校だと皆が朝から登校しているのに自分だけ遅れて登校というのは気になってしまいますよね。通信制高校で体調に合わせて無理なく通えるのはいいですね。通学するようになってからは、気持ち的な落ち込みとはどのように付き合っていましたか?
「入学前は落ち込んだものの、入学してしまってからは、人と比較して落ち込むという気持ちは今日まで出てないんですよね。
勉強面は体調の波も意外と馬鹿にならなくて、正直計画を立ててもうまくいかないということがあったんですが、前と比べたら悟りを開いたのか!というくらい心が広くなったというか余裕ができたというか、そういう面の苦しみがうまく消えてくれたかなと思います。」
ーーそのように自己嫌悪するような気持ちが自然に消えていったのは、せごさん自身が自分のネガティブな感情だけに没入せずに通信制高校の環境の中でできることを淡々とやるというスタンスを持てたからなのかな?と思いますが、どうですか?
「そうですね、通信制高校って色んな人がいて、競争的な問題がなくてすっきりしたという感じでした。全員が全員同じ病気になった人が僕みたいに同じように考えられるようになってすっきりするというのはないかもしれないけど、新しい環境にすぐ溶け込めたっていうのもすごく良かったんだなと思います 。」
ーーせごさんは大学に進学したいという目的で最初から頑張っていたということなんですが、通っていた通信制高校だけで受験勉強が十分にまかなえるようになっているんですか?
「僕は、受験の計画通りに体がついてこなかったので、一般入試で国立大学を受験しようとしたところを早めに変更して学校推薦で私立の大学に受験することに決めたんです。
星槎の通信制高校の受験勉強だけで受験を突破できるかどうかというのはちょっと難しいと思いますが、教えてはくれるけどやはり自分で自分の立ち位置を把握してどう勉強していくかを検討する必要はあると思います。」
ーーその時その時で、今の自分に何ができるかをよく考えていたんだなということがよくわかりますね。それでは、現在の大学生活について教えてください。今は一人暮らしで大学に通っているんですよね?
「そうですね。学校のすぐ近くに寮があって、寮に住んでいます。」
ーーご実家にいた頃と比べて自己管理ということが大変かなと思うんですが、勉強と生活の仕方と順調にいっていますか?
「順調にいっていると思います。大学は単位がとれないと問題ですけど、体調が悪くて講義を受けられなかったこともありましたが、パソコンから振替で勉強できるんで割り切ってやっています。悪い友達に捕まって遊び呆けちゃうということも今のところありませんし(笑)」
ーー真面目に頑張っているんですね!
「そうですね!体調が悪いという場合は大学側に話をして、対策するということは必要かなと思います。この大学生活が僕の高校1年生ぐらいの体調だったら俺なんか自分はもう結構単位もおとしてるだろうなって思うところも正直あって。
やっぱ僕よりももっと体調をしんどかったり、僕よりまだ調子がしんどい時期が長引いたりする人もいると思うんですけど、その場合は高校3年終わったら次は大学へとか、そのようにキッチリ行かないといけないっていう風な感覚にならなくてもいいかなと感じることも多いですかね。」
ーー通信制高校も、大学も、意外と色々な年齢の人がいると聞きますもんね。全部皆んなと同じじゃなくてもいい。悲観せずに自分のペースで進むということが大事ですね。
3.自然とエンタメで過去の自分のような子を救いたい!
ーー大学ではどのようなことを学んでいますか?
「情報系の大学に通っています。情報系の講義以外にも、教員過程もとっています。不登校のとき自分は周囲の教員に恵まれたと思うんです。僕を理解してくれる先生が多かったです。不登校になって多くのことを見る中で、僕自身が教員過程を勉強したいなって思って、将来教員じゃなくても教育に携わる仕事につきたいなと思って気になっているので取っている感じですね。
後は、SNS で情報を発信したりだとか、 eスポーツのサークルに入ったりとか、部活で体動かしたりとか、自分のやりたいことを単位を落とさずに勉強できているのでこのままやりたいことを叶えていけたらなと思いますね。」
ーーご自分の経験があって、教員の仕事を学ぶことの大切さを感じたのですね。
せごさんの Twitter を拝見させて頂いていた時に、不登校の子どもたちのための居場所を作りたいと書かれていたことがあったんですが、そのことについてや、これからやりたいこととか夢とか目標があったら教えてください。
「今現在、フリースクールのボランティアをやっています。正直、自分のやりたいことや気になっていることで行動したことが、誰かの役に立てればいいなと思っている段階です。
僕は、人の苦しみを減らして人の楽しみを増やしたいという僕なりの考えを待っていて、今の段階で何をやるか決めるというよりかはそういう風に成長していきたいという思いがありますね。」
ーー素晴らしい目標ですね!せごさん自身が色んな考えで気づきがあって、自分の苦しみを解決できたり、親御さんがサポートしてくれたという話もありましたが、他にも誰かが苦しみを減らしてくれたとか何かが苦しみを減らしてくれたとか、せごさん自身が救われたなと思うことはありますか?
「今パッと思いついたのは、 自然とエンタメかなと思います!
自然というのは、病気をしてから久しぶりに外に出ようと玄関のドアを開けた時に、パッと自然の空間の広さみたいな感じを感じた瞬間が大きく印象的で。家の中にずっといたから気づいたという感じのことかもしれないんですが、そういったもののスケールの大きい物から受ける気持ちの影響は大きいですね。
僕は今している散歩の道が、河川敷でめちゃくちゃ自然の多い場所なんですけど、やっぱそういうところを歩くだけでも何か言い難い気持ちになるというか、すっきりするというかそういった面が不登校とか病気の影響が強い時から助かったなっていう想いがあるので自然にはすごく助けられました。
エンタメに関してですが。体調がしんどくて家に居て家の外に出れない、行動できない時は、自分から物を作ることができなくイライラしたりとか、勉強するのも難しいしいって言う状況になるんですよね。
さらに厳しくなると、『全てにおいて勝手に進んでくれないと無理』っていう状態があって、物を作るとか、本を読むとかも難しい。物は自分で作らなければいけない、本は読まないといけないじゃないですか。
それすら難しい段階は、当時はテレビ番組とかドラマとかアニメとか勝手に進んでくれる映像でものを見て時間をつぶしていたんですけど、そういうものがあるあるのとないのとでは大きく違ったなっていう想いが今ではありますね。
そういう経験の中で、気になる職種の一つとしてエンタメとかそういった業界を支える人になりたいっていうふうに考えてることもあります。」
ーー勝手に動いてくれるものがあると助かるというのを聞いて、当事者の方からの声で聞けてすごく理解しやすいなと思いました!
不登校の子どもがYouTubeばかり見ているというお母さんのお悩みを聞くことも多いですが…昔の不登校の人達は、今より楽しいものが少なかったため、天井見上げて孤独な時間を過ごしていたというような話を聞いたこともあります。そんな状況に我が子がなってしまうくらいなら、テレビや動画で笑ったりして脳や心を働かせてあげる方が良いなと思いますね。
今回は、たくさんの経験をお話ししてくれてありがとうございました。
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4.毎日毎日できていることに花丸を!不登校のその後の運命を変える!
インタビュー中、とても真摯に質問に答えてくれたせごさん。
自分の置かれた状況を何かのせいにしたり、逃げたりせずに、自分自身の心と向き合ってきたんだなと思いました。
せごさんは、テレビや動画を見る生活から、少しずつ自分でゲームができるようになったり外出できるようになったり、自分の好きな分野であれば勉強できるようになったりと、余裕が増えていったそうです。
活力が湧かない状態で不安や焦りを感じる時期も、『今はしょうがない』と割り切って考えられるようになったとき全てを学業と結びつけることなく色々な活動自体を楽しめるようになったとお話ししてくれました。
不登校からの回復過程では、どうしても、過去に描いていた未来と違う自分に葛藤したり、自己嫌悪してしまうこともあるかもしれません。
しかし、うまくいかない時期が永遠に続くわけではありません!
「自分はできていない」、「これからの自分もうまくできないだろう」と日々考えてしまうとその想いは心の中にこびりつき、現実化されてしまいます。
通信制高校のように、多様な仲間が学習する環境で多様性に触れて、「周りに合わせないと」というプレッシャーから解放されると、1日1日、少しずつでも何かができるようになっていくことに喜びを感じたり、自分を認めることができるようになります。
お母さんは子どものできていることを認めてあげて、子どもが自分のできていることに目をむけられるサポートをしてあげましょう。
そうすることで、子どもが自分に合った進路を見つけ、目標を見つけて前に進めるようになりますよ!
執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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