ないものねだりではなく「あるものを活かしてやっていく」離島暮らしの発コミュトレーナーの子育て

ないものばかりの離島で子育てをしている発コミュトレーナーのお話を伺いました。子どもの発達が加速するために「あるものを活かす」コツや方法、医療過疎地域ならではの困りごとなどについてもたくさん教えていただきました。
 

【目次】

 
 

1.医療機関を受診するためにはフェリーで片道3時間半!

 
 
発達科学ラボで活躍しているトレーナーやリサーチャーは、もともと自身の子どもの発達凸凹からくる困りごとに悩んでいたお母さんです。
 
 
発達科学コミュニケーションを学んで自身の子育てと子どもに向き合い親子ともに成長してきました。
 
 
その経験を生かして、自分と同じように子育てに悩んでいるお母さんに発コミュを伝える講師として活躍するトレーナーとパステル総研で記事を執筆したり教材を作るリサーチャーがいます。
 
 
今回インタビューをさせていただいたのは、トレーナーの佐藤あきさんです。 今回は、佐藤さんに、医療過疎地域の暮らしについて伺いました。
 
 
全3回に分けてお伝えする第2回目のインタビューになります。
 
 
前回のインタビューの内容をご覧になっていない方は、こちらからご覧になれます。 
 
 
 

ーーーこういう地域を医療過疎と呼ぶ、みたいなのはありますか?

 
 
「私の場合、今、離島に住んでるんですね。医療機関受診しようと思ったら、フェリーで片道3時間半かけて受診します。」
 
 
 
 
 

―――お医者さんがおられない地域なのですね。

 
「おそらく都会に住んでおられる方だと、普通だと本当に車で10分、15分ぐらいのところに専門の先生っておられるかと思うんですけれど、ちょっと出て行くとかでも本当に苦労しています。」 
 

ーーー発達の専門医は近くにいない地域で、相談を受けてくれる所もないような感じですか?

 
 「 そうなんですよね。正直なところ発達のことについて本心でじっくり話せる環境はありません。
 
息子は支援学級に在籍していましたが、専門分野でない講師の先生に習っていたこともあるのが現状です。ただ熱心に対応してくださる事実はあります。」

ーーー医療過疎地域ですが、学校に支援学級はあるんですね。

 
「お母さんが悩んで悩んで支援学級を選択したとしても、本当に望む専門の先生と巡り合えない可能性が高いことは、医療過疎地域のママの本当の悩みでもあると思っています。」
 

ーーー医療過疎地域で子育てをするときに、「発達」の分野で、佐藤さんのご経験でも大丈夫なんですけど、何がないみたいなのってありますか?

 
「一番は、必要としている発達の先生の人数がいないっていうことです。 ないものねだりをしてもいけないので、ない中でも、あるものを活かしてやっていく。
 
それが、私が住む町のスタイルが私もそのように考えるようにしています。
 
私自身もですね、専門の先生はいないとか。学校の先生ももちろんそうなんですけど。
 
自分に合った求める先生はいないとすれば、自分が子どものためにできることは何か?子どもにどう接していきたいか?を考えることを常に日頃から意識しています。」
 

ーーー離島にあるものを活かして子どものためにしていることは何かありますか?

 
「息子の場合なら自然とか、近くに海があって海遊びが男の子のすごく好きなので、そのようなあるものを活かしています。
 
それらを活かして発達が加速するような方法を自分なりに考え模索しながら子育てをしています。」
 

◆ポイント解説

 
 
フェリーで片道3時間半もかけないと医療機関を受診できない地域にお住まいとは、なかなか想像がつかない世界ですね。
 
 
都会に住んでいて、選択がたくさんあっても、自分に合った先生や求める先生に巡り合うのは難しいことですよね。
 
 
発達の専門のお医者さんも近くにおらず、学校の先生も発達に詳しくない医療過疎地域のお母さんたちはどうしたら良いかわからず悩んでおられることがわかりました。
 
 

2.医療過疎地域ならではのお母さんが疲れる理由があります

 
 

ーーー医療過疎地域のお母さんの子育てに疲れるっていうのは、どういうところにあると思われますか?

 
「私自身も経験したんですけど、人との距離が近すぎて、人が近いっていうのが一番の自分の中での悩みです。
 
今、発達のことで悩んでいるお母さんが相談したい気持ちがあっても、子どもの事を本心で話せる相手が先生に限らずいないというか。そこが何よりものネックになると思います。」
 

ーーー話す人が近くにいるのに、なぜ悩みを相談できないのでしょうか?

 
「それはなぜかと言うと本当に狭い地域なので、自分が発した一言がすぐに噂になることもあります
 
そのような環境が、良い面でもあり、時には悪い面にもなるっていうところがやはりママの悩みだと思うんですね。」
 

ーーー佐藤さんも悩みを話せなかったご経験がありますか?

 
「私自身家族であっても、息子の特性のことをなかなか話せなかったという過去がありました。
 
その一歩っていうところで、大きな変わるきっかけをお母さんは常に探してはいるんだけど、自分から何か行動できる自信だったり、勇気だったりとかが恐らくないので。
 
そこを部分をこれからもっと私自分が経験してるので、伝えていきたいって思っています。」
 

◆ポイント解説

 
田舎の生活はご近所づきあいがとても大変とのこと。
 
人との距離が近すぎても、近すぎるからこそ、なおさら孤独感を感じることもあるようです。
 
理由はさまざまですが、人間関係に悩むのはどの地域のお母さんにもあることなのだと実感しました。
 
 
 
 
 
次は学校のお話をもう少し詳しく伺っていきたいと思います。
 
 

3.ないものだらけでも「あるものを最大限活かす!」離島の子育て

 

ーーー先程の話で息子くんが学習障害とのお話がありました。学習障害というのはどのようにしてわかったのですか?

 
 「学校で、ウィスク関係の発達検査を受けていたんですよ。その際には、息子はワーキングメモリの低さを指摘されました。
 
わたし的に数値とかを見ても腑に落ちないというか、本当にそうなのかなと思う面もありました。
 

ーーー医療過疎地域だけれども、学校で発達検査とかも受けることができたのですね?

 
 「希望したら就学相談前とかに学校で受けられました。少し離れた島に養護学校があり、そちらに専門の先生がおられるので定期的に来てくださって、発達検査が受けれるような仕組みはあります。」
 

ーーー学校に発達検査をしに先生が来てくれるのはありがたいシステムですね。

 
「そうですね。本当にないものだらけだから。
 
学校の先生も出来る範囲でではあるんですけど、保護者の方から要望があれば対応してくださっています。
 
そのような環境自体は、すごくありがたいなと思っています。」 
 
 
 
 
 

◆ポイント解説 

 
医療過疎にも色々なレベルがあったり、そこにあるものだけでやりくりしなければならないのはお母さんも先生もみなさん苦労されているのが伝わってきました。
 
 
そのような地域だからこそ他の地域の方がうらやましがるような独自のシステムが出来上がったりもするようです。
 
 
ないものを手に入れようとするのではなく、今そこにあるものを最大限に活かすという視点はとても参考になりますね!
 
 
今回は、医療過疎地域の離島での暮らしについてたくさんのお話を聞くことができました。
 
 
このような発信は日本全国のお母さんへ届けていきたいと感じました。
 
 
次回は、発コミュトレーナーの佐藤あきさんの発コミュとの出会い~トレーナーとしての思いや今後の目標などのインタビューをお伝えしていきます。
 
 
ぜひ、楽しみにしていてくださいね。 
 
 
 
 
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執筆者:池乃希子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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