
娘は現在、小学生です。周りを見る余裕が出てきたのは良いのですが、周りのお友達と自分との比較をするようになりました。今後、比較をすることで、自己肯定感が下がってしまわないかが心配です。まだ低学年ではありますが、今からできる気持ちがネガティブにならない対応はありますか?
7歳・女の子のママ

お子さん自身が周りを見る余裕ができたというのは大変喜ばしいことではありますね。しかし、喜ばしい反面、比較して自己肯定感が下がってしまう心配をされる気持ちもわかります。今回は、自分の苦手も受け入れつつ自己肯定感を下げない声がけをお伝えします。
発達科学コミュニケーションリサーチャー みずおち梨絵
【目次】
1.どうして他人との比較は自分がダメに思えるの?
2.周りを意識するようになっていくことは一長一短
3.家庭でできる!自己肯定感を築く声がけ2つ
◆①誰にでも得意と苦手があるんだ!
◆②比べる相手は常に前の自分だよ!
1.どうして他人との比較は自分がダメに思えるの?
皆さんは自分と他人とを比較して、「自分はなんてダメなんだろう?」と卑下していませんか?
あの人は、こんなこともできる!あんなところも素晴らしい!と、いつか自分もあの人のような人間になりたい…とか。
そもそも人間は、他人と比較をしてしまう癖があるようなのです。
子どもの世界でも早ければ低学年の後半から、そして思春期の時期には周りのお友達と自分を常に比較してしまうことが多くあるのです。
思春期は周りの目を気にしたりするようになると言われています。
それにより、精神的にも苦しくなっているお子さんが多くいます。友達と自分を比較することで、優位に感じることができれば良いのでしょうが、必ずしもそうはいきませんよね。
自分が劣って見えるときに心につく傷は結構深いものがあります。しかし、そのお友達と比較しているときって、大体が他人の良い部分と、自分のダメだと思う部分を比べてしまっているのですよね。
大人の私たちだって同じ経験があるはずです。大人になっても常に比較を繰り返してしまい自分の自己肯定感を下げてしまう人が多くいるので、子どもであればその傾向は尚更かと思います。

他人との比較は人間の癖と言っておられる専門家もおられるくらいなので、その癖は早いうちに改善したいものですよね。
子どものうちに、比較癖を改善して自己肯定感を下げることなく成長ができたら良いと思いませんか?
もし、相談者様のように低学年であるならば、早いうちからお子さんにその癖を改善する方向の関わりをしてあげてほしいと思います。
今回は我が家で実際に声がけしている、自己肯定感を下げずに自分自身と向き合っていける方法をお伝えします。
日々の声がけは子どもの前向きな気持ちを育てます!ぜひ最後まで読んでみてください。
2.周りを意識するようになっていくことは一長一短
ここで我が家の話をさせていただきます。我が家にも小学生の低学年の子どもがいます。
入学したての頃は、のんびりマイペースな子でした。だから、周りの友達のことはあまり気にすることもないですし、我が道を行く!という子。
少しハッパをかけなくてはと、「ほら!みんなに笑われるんだよ!」なんて意地悪なことを言っても、全くもって気にも留めていませんでした。
それはそれで集団生活においては何かと課題はありますが、周りの目を気にしすぎても困ることが多いと思うのである意味良い部分だとは思っておりました。
しかし、学年が上がり、周りの子どもも学校生活に慣れ、我が子も学校生活に慣れた頃に余裕ができたからか、周りのお友達のことを言い始めるようになったのです。
私としては、もう少し、気にしても良いのかな?と思っていた節があったので、周りを見られる余裕ができたということは少々喜ばしいことでもありました。
そんな我が子が、学校から帰宅して宿題をしながら私にこう伝えてきたのです。
「ママ!算数のここがわからなくて困っていたら、〇〇ちゃんが、もうわかんないの?と言うの。私は〇〇ちゃんみたいにできないし…〇〇ちゃんは何でもできるから。悔しかった。」
悔しかった!の言葉を次へのステップにして、頑張る力になれば良いのでしょうが、そのときの我が子の様子は明らかに気持ちが凹んでいました。
とてもじゃないけれど、「悔しいなら頑張らなきゃ!」なんて言えません…
あんなに周りの様子を気にも留めなかった子が、周りを意識し始めてきたんだな!と。このような状況が多くあれば、明らかに我が子の自己肯定感は下がっていくだろうと感じました。
いよいよ我が家でも今までの対応から変えなくてはならないときが来た!と思った瞬間でもありました。

これから突入していく思春期を視野に、自己肯定感をいかに下げないよう家庭で関わっていけるのか準備に入ることにしました。
褒めたり、認めたりして伸ばす!と一般的には言われていますが、それと同時に我が家では根本的なことを子どもに伝えて理解させていくことから始めています。
次項で説明します。
3.家庭でできる!自己肯定感を築く声がけ2つ
我が家はまだ低学年ではありますが、周りと自分とを比較することを徐々にし始めています。家庭では、褒めたり認めたりするのと同時進行にプラスして、2つの声がけをしています。
◆①誰にでも得意と苦手がある!
当たり前のことですが、人間は誰しも得意と苦手の両方が存在します。
どんなに素晴らしい人であっても苦手な部分は必ず持っているということを知ることが大切だと考えています。
前々項で書いた通り、人は誰かと比べるときに必ずと言っていいほど、相手の得意な素晴らしい部分と、自分の苦手でできない部分を比べているものです。
我が子も同様です。他人の素晴らしい部分を素直に尊敬するのはとても良いことだと思います。しかし、そこを比べて自分を卑下するなんて勿体無い!
別に相手の粗探しをするということでは決してありません。ただ、人間には得意と苦手という両極のことが存在するんだよ!ということを知っていてほしいと思っています。
我が子には、このことを伝え、自分が苦手な部分は助けてもらいなさい!得意な部分は誰かを助けてあげなさい!ということを常に伝えています。
◆②比べる相手は常に前の自分だよ!
2つ目の声がけです。
比較をするときの軸って、いつしか他人軸になってしまっているんですよね。
そこを自分軸で考えられるようになると、比較をするのは前の自分。ですので、我が子にかける声がけは次のようにしています。
「前は、自分の気持ちを伝えるのに時間がかかったけど、今は考えたことを伝えられるようになったね。」や、
「〇〇の話しがとてもわかりやすくなったよ。前とは別人だよ!」など。
かける言葉も、私自身が我が子の過去との比較で伝えるようにしています。

育児をする上でも、他人軸にならず、自分軸や我が子軸が出来上がると本当に楽になりますよ!
もちろん、お友達の良いところは素直に尊敬し、我が子との会話の中でお友達のことを褒めたりすることはたくさんあります。
最近では娘自身が、周りを気にはしつつも自分軸を持って気持ちを切り替えていけています。
先日も、「お友達とは得意なことが違うから、私はこっちを頑張ることにした!」と帰宅してから話してくれました。
思春期真っ盛りのお子さんはもちろん、娘のようにまだ低学年であったとしても、早いうちに自分軸を作り、自己肯定感を下げない心がけをしていく意味はあるのではないでしょうか?
自分の苦手は、得意な人に助けてもらう!自分の得意は誰かを助けることができる!ということをしっかり理解してほしいと思っています。
日頃の関わりで、思春期に脅かされやすい自己肯定感を守っていきましょう!
こちらの記事でも、お家で育てることができる自己効力感と自己肯定感のことをお伝えしています。あわせて読んでみてください。
執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)