子どもが何かに夢中になっていると、声をかけても、返事が返ってこない。人の話を聞かない…。もしかしたらADHDやASDの特性の1つである「過集中」かもしれません。過集中についての解説と対応策についてご紹介します!
【目次】
1.子どもが目の前の事に夢中になると、人の話を聞かない!と困っていませんか
2.ADHDやASDの子どもの「過集中」とは?
3.過集中の子どもに効く!ママがラクにできる効果的な3つの対応策とは
◆子どもの近くに行き、子どもの視界に入って声をかける
◆子どもの身体に触れる
◆タイマーを活用する
1.子どもが目の前の事に夢中になると、人の話を聞かない!と困っていませんか
声をかけても、返事が返ってこない…
目の前のことに夢中になって、ママが話しかけても、聞いてくれない…
ママが話しかけているのに子どもの反応がないと、思わずイライラしてしまった経験はないでしょうか。
まだママが余裕があるときならいいのです。こちらも落ち着いて対応ができます。
しかし、余裕がない時や忙しい時間帯はそうもいきません!
こっちも伝えたいことや聞きたいことがあって話しかけているのに…とイライラが募った結果、
「聞いているの!?」
「なんで人の話を聞かないの!?」
「何度言ったら分かるのよ!」
とどけとげしい口調で、子どもに言ってしまうママも多いのではないでしょうか。
ママは、イライラ度は急上昇。
しかし、子どもはママの気持ちは知らず、何かに夢中になっていたり、空返事だけ返ってくる…。
こんなに声をかけているのにどうして?
私の声は聞こえているよね?
と思い悩んだりしませんか。
実は、注意欠陥性多動障害(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)など発達障害の子どもの特徴の1つとして、「過集中」と呼ばれる特性があります。
実は、過集中が原因により、ママの声かけが子どもの耳に入らない場合があるのです。
2.ADHDやASDの子どもの「過集中」とは?
過集中とは「特定のものに、過度に注意が集中しすぎる状態」を指します。
ADHDやASDなど発達障害・グレーゾーンの子どもに「過集中」を起こすことが多い原因は、もともとの脳の働きが違うことにあります。
そのため、定型発達(発達障害を持たない人)の子どもと物事の捉え方や感覚が異なり、結果的にものすごい集中力(過集中)を発揮する場合があるのです。
過集中の特徴としては、
・ものすごい集中力を発揮できる
・自分の興味関心が強い特定のモノゴトに没頭できる
・没頭しすぎて、他の行動の切り替えが難しい
・周囲への注意が向かなくなる
などと、メリット・デメリット両方の側面を持っています!
例えば、定型発達の一般的な集中状態では、注意力の大部分は目の前の課題に、残りの数割は周囲に向いているようなバランスで保たれています。
勉強していても仕事をしていても、「ご飯できたよ!」と言われれば、反応することができます。
ところが、過集中の状態では、注意力の100%が目の前の物事に向けられているため、反応することができないのです。
ですから、ママが「人の話を聞かない!」とどんなにモヤモヤしたとしても、子どもは悪ふざけで、ママの話をスルーしているわけではないんです。
子どもからすると、集中して、ふと我に気が付くと、ママがガミガミ怒っている…。
子どももいまいち理由が分からないまま、「なんか怒られている…」と自信を失いかねません。
過集中は、困りごとがある一方で、自分で集中力をコントロールすれば強みとなっていきます!
そのためには、ママが対応を工夫していく必要があるのです!
3.過集中の子どもに効く!ママがラクにできる効果的な3つの対応策とは
ママが対応を工夫していく必要があるといっても難しいことはありません!
今回は簡単にできる方法を3つご紹介します。
◆子どもの近くに行き、子どもの視界に入って声をかける
「ご飯ができたよ~!」
「お風呂の時間だよ~!」
など、ママも何か別の作業やりながら、同時進行で、子どもに話しかける機会って多くないでしょうか?
その場合、ママはキッチンにいるけど、子どもはリビングにいるといった具合に、子どもとママとの距離が離れている場合があります。
その場合は、遠くから大きな声で声をかけるのではなく、ママが子どもの側に行き、子どもの視界に入って声をかけましょう。
近くに行くことで、ママも大きな声を出したり、荒げたりする必要がありません。
子どもから離れた距離で声をかけると、子どもの耳からしかママの情報は入ってきません。
さらに、近くで声をかけることで視覚的にも気付いてもらえるように促します。
◆子どもの身体に触れる
子どもにママの存在に気付くのを促すために、肩に優しく触れるのもいいでしょう。
頭をポンポンっと触るのでもよいでしょう。
触れられたことで、皮膚感覚が刺激され、ママの存在に気が付き、自分の集中しているモノゴトから集中力が切り替わります。
ポンポンっと肩をたたく程度で気が付かない場合は、お子さんが嫌がらなければ、こちょこちょとくすぐってみて、遊び感覚で声をかけてもいいですね。
◆タイマーを活用する
何かマンガを読んだり、遊んだりするときに、あらかじめ、子どもに合わせて時間を調整してタイマーをセットします。
例えば、「10分間やろう」と決めて、10分のタイマーをセットするとします。
10分後、自動的にタイマーがピピピっとなるので、ママも子どもも10分経ったと気付くことができます。
タイマーであれば、使い方さえ分かれば子ども1人で取り組めますよね!
少しの工夫で、子どもが話を聞かない~!とイライラしていたママの気持ちがぐっと和らぎます。
自分で、集中力の切り替えができるようになったら、将来大人になってからも役立ちますよ!
いかがでしたか? まずはママ自身が実践できそうな対応策から、試してみてください!
はじめのうちはうまく対応できず、またイライラしちゃったと落ち込むママもいるかもしれません。
大丈夫!はじめのうちは、他のママだって同じです。
幾度か繰り返すうちに、対応に慣れていきます。なにより、ママ自身の心が穏やかになるので、やってみてくださいね!
ADHDやASDの子ども達がより楽しく過ごしていくためのヒントが多数あります!
執筆者:なつき みき
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)