「うちの子言葉が遅い?」〜発達障害・自閉症スペクトラムタイプの女の子ママの就学前準備〜

 

発達障害・グレーゾーンで、自閉症スペクトラム(ASD)タイプの女の子だと、症状が目立ちにくく、周囲や家族からの理解が得られにくい場合があります。そんな中、孤軍奮闘してお子さんの困り事を好転させ、悩みを解決させたお母さんから話を聞きました。
 

【目次】

 

1.周囲の理解が得られない!自閉症スペクトラム(ASD)タイプの女の子を持つママの深い悩み

 
 
発達科学ラボのリサーチャー、T.Oさんは、自閉症スペクトラム(ASD)タイプのグレーゾーンで、小学校3年生の女の子のお母さんです。
 
 
お子さんは現在、通常級(通常学級・普通級)に在籍しています。
 
 
T.Oさんは言語聴覚士(以下ST)で、言語療法の専門家。平日はフルタイムで仕事をされています。
 
 
お子さんの特性が目立ちにくいことから、「考え過ぎじゃないの?」「ちょっとマイペースなだけだよ」周囲や家族からの理解が得られにくく、悩まれていました。
 
 
 
 
そんな中、とある相談をきっかけにお子さんの困りごとと、悩みの解決の糸口がつかめたそうです。
 
 
T.Oさんの悩みや葛藤、そんな中で起こした行動についてお話を聞かせていただきました。
 
 
➖➖➖
 

――いつから発達について心配されていましたか?就学相談などは利用されましたか?

 
 
「2歳くらいから言葉が遅いと思っていました。このままだと入学後が心配だと思い、就学相談を受けました。
 
年長さんから療育に通っていたので、心理士さんにも面談してもらいました。
 
通級や、“きこえとことばの教室”の適応があるか、学童でよいか、コミュニケーションに特化した放課後デイなどを検討した方がよいか、地域で得られる情報はすべて調べ、見学したり職員から聞き取りをしました。
 
しかし、我が子に言葉の発達の遅れがあることを気にしていたのは私だけで、本人はまだ困っていないということから、保育園の先生、心理士さん、支援教室の先生のいずれの方も『気にしなくていいのでは?』という回答でした。
 
また、“きこえとことばの教室”は、私がSTであることを知った時点で、『お母さんがご自宅でされるといいと思います。私たちは言葉のことはSTさんほど詳しくわからないので』と言われてしまいました。
 
支援級の先生にも相談しましたが『みてあげたいは山々ですが、衝動が強い子や手が出てしまう子が優先で、また人数も多くなっているので、娘さんはかえって困りごとが強くなると思うのでやめたほうがいい』と言われました。
 
結局、私の納得のいく答えは得られず、家族にも理解してもらえませんでした。
 
療育に行く時も周囲に反対されてきました。
 
自分一人で考えて行動してきたので『これで良かったのか?私が神経質なだけなのか?』という思いと『いや、これでいいんだ!進もう!』という思いとの葛藤の日々でとても辛い時期でした」
 
 
◆ ポイント解説
 
T.Oさんの場合は、お母さんがSTで、お子さんがASDタイプの女の子という、あまりないケースでした。
 
 
あまりないケースだからこそ周囲の理解が得られにくく、とても苦労されたことがうかがえます。
 
 
しかし、子どもをずっと育ててきたお母さんのカンや気づきは当たるものです。迷いながらも、ご自身の思いを信じて進み続けてこられたT.Oさんの姿勢は素晴らしいと感じました。
 
 

2.保育園でも理解してもらえない!母だからこそ気づいた子どもの行動とは?

 
 

――療育に通われていたとのことですが、保育園時代も特別なサポートはなかったのでしょうか?

 
 
「言葉は遅いけど、集団を乱したり、手を出すような目立つ行動はないので、療育に行くことを伝えたら『なんで娘さんが療育に行くんですか?』とビックリされ、逆になだめられました」
 
 

――就学相談以外に就学に向けて行動されたことはありますか?

 
 
「3歳ごろからどもり(以下、吃)が始まり、次第に周りの子から真似されるようになりました
 
娘は言い返したり怒ったりせず、無表情な顔でただぼーっと聞き流しているだけでした。
 
吃の悪化原因として周囲の真似やからかいがあることは知っていたので、親としては気が気ではありませんでした。
 
一方で、それを見ていた先生は『芯のしっかりした子ですね、強いですよね』と感心されているばかりで、私ほど心配している様子はみられませんでした。
 
娘は強いのではなく、言い返せないだけで、気にしないように友達の真似をシャットアウトしているように見えました。
 
これはなんとかしないといけないと思い、4歳から自宅で言葉の練習を始め、半年ほどで吃は治りました。
 
その後も自宅で言葉の訓練は継続しています」
 
 
 
 
◆ ポイント解説
 
目立つ行動を起こす子といえば、お友達に手を出してしまう衝動性の強いタイプや、集団行動についていけない不注意タイプが多いです。
 
 
言葉が出にくいASDタイプの女の子は、単に「おとなしい子」と捉えられがちです。
 
 
言葉が出にくいのは、頭の中で色々考えたり感じていても、言語化して口に出せない状況なのです。
 
 

3.子どもの小学校生活に備えて、お母さんが予測して行動したこととは?

 
 

――学校生活に備えて、T.Oさんは入学前から何か具体的に対応したことはありますか?

 
 
「聴覚過敏の傾向はあったので『元気な男の子は声が大きい』『人数が多くなるといろんな音がする』など事前に予告しておきました。
 
その日のどんな音が嫌だったか話してくれますが、『でも、いろんな人がいるから仕方ないんだよね?』と気持ちの整理に活用しているようです。
 
あと、『ネガティブなあるある』自分のエピソードに交えて話しておきました
 
例えば『ママも男子にたくさん嫌なことを言われてトイレで泣いたことがあるんだよね』といった感じです。
 
 自分だけでなく、他の人も経験してるんだということが心の支えになっているようです」
 
 

――入学後は担任の先生や学校側になにかサポートをお願いしましたか?

 
 
「入学時から学校の先生には、『言葉の遅れはあるが、なんとか年齢相応には追いついてきた。
 
しかし今後、人間関係が複雑になってつまづく可能性もあるし、授業にもついていけなくなるかもしれない』
 
といった予測される問題や特性なども伝え、入学前には療育にも通っていたこともアピールして、状況を理解していただくように努めました
 
そのうえで、何かあればすぐに連絡をほしいことも伝えました」
 
 

――聴覚過敏に対する配慮はお願いされていますか?

 
 
「していません。他の誰も気づかないほどのものなので、お願いすると、かえって過剰に気にしてしまうかもしれないと思ったためです」
 
 

――入学してからのお子さんは、うまく学校生活に慣れていけましたか?

 
 
「保育園生活が長いため、平日はどこかに通うことが定着しているようでした。
 
学校も学童も『行くもの』だと思っているようです。なので行きしぶりはありませんでした。
 
ただ、小学校に上がると自分で準備することが増えるので、忘れ物などの失敗経験が増えないよう、1年生の間はサポートしていました。」
 
 

――入学後から3年生までの間に、気になっていた人間関係はどう変化していますか?

 
 
「1・2年生では、休み時間を自分のペースで過ごしていました
 
好きな遊びをしているグループに入ったり、読書をしたり、マイペースに過ごしていて本人は困っている感じではなかった、と先生から聞いていました。
 
特定の友達はいなかったようです。娘は『1人の方がいい』と本気で言うので心配でしたが、2年生の終わり頃に親友と呼べる友人ができていました
 
コミュニケーション力の無さから些細なことでトラブルがあるようですが、ケンカしてもお互い謝って仲直りしたり、彼女のペースで人間関係を学んでいっているようです。
 
親としては、根掘り葉掘り聞かず、こちらの価値観を押し付けないよう気を付けました」
 
 

――学習面での苦手意識は感じられましたか?どのように学習のサポートをされていますか?

 
 
「学習面でも困っているところがないか、宿題を通じてチェックしフォローしました。
 
また、試験問題のページをめくり損ねていることにも気づかず、回答したつもりになって、実際は無回答だったことがあるので、『不注意傾向もあるな』と気づき、テストの時に対策が必要だと感じました。
 
読解力や作文力も不足しているので、通信教材でサポートをしています。
 
一方で理系は得意だということがわかってきました。
 
得意な分野で自信をつけて、苦手な分野は家庭でのフォローが必要そうです」
 
 
 
 
◆ ポイント解説
 
ASDタイプの子どもの中には、感覚過敏の子もいます。
 
お子さんの困りごとが強くて辛そうだと感じたら、学校に配慮をお願いしてもいいですね。
 
また、学校生活に関しての情報を事前に子どもに伝えておくのは、ASDタイプに限らず有効です。
 
宿題を通じて子どもの得意・不得意を理解し、サポートしてあげる姿勢は、子どもに自信をつけさせるためにも大切ですね。
 
 

4.ASDタイプの子どもに対する心配事は、やはり○○力。早いうちの対応が肝心です。

 
 

――今後一番気になることは何ですか?

 
 
「娘の談話力(コミュニケーション力)です。単語や文法は頭に入っていますが、物事を説明するのが苦手で、談話力に不安があります。
 
母親の私でも理解しづらい時があります。それでも周囲の中では、私が彼女の表出に対して一番理解力があります。
 
どうすれば誰にでも伝わる談話力が身につくかが今後の課題です」
 
 

――お子さんの話し方で、気になることはありますか?

 
 
「興奮してたくさん言いたいことがあるときは、言いたいことがワープするかのようにあちこちに飛びます
 
興味のあることに関しては、前置きが長かったり細かい説明が入ってダラダラ長く話します
 
他には、主語が抜けていたり、前提となる情報が抜けていたり、一人芝居(一人二役)もあります。
 
どのように言えば相手に伝わるかを意識していないようです」
 
 

――今から対応していることはありますか?

 
 
「ASDタイプの子の話を聞いてあげるには、発達科学コミュニケーションカウンセリングの聴き方が有効だと感じています」
 
 

――発達科学コミュニケーション(発コミュ)の話が出ましたが、ご自身の体験をお聞かせいただけますか?

 
 
「3月に発コミュを始めた時に『4ヶ月でお子さんは変わりますよ』と言われました。
 
発コミュのレクチャーを受けて実践し、半年で本当に効果を感じました
 
発コミュの個別相談前から『この子はASDタイプで不注意傾向があるな』と思っていましたが、周囲には『子どもはみんなそんなものだ』と否定され続けました
 
しかし、発コミュの個別相談を受けたら、まさに私の想像通りの特性を指摘され『ようやく私の話が通じる人がいたー!』と感動したのです。
 
娘の特性を理解して後押ししてくれる人がいると、やるべきことがハッキリと見えてくるので、心の整理ができました
 
 
 
 
◆ ポイント解説
 
ASDタイプの子どもを持つお母さんは、子どものコミュニケーション力に不安を抱き、悩まれています。子どものコミュニケーション力を伸ばすには、おうちでの質の良いコミュニケーションが欠かせません。
 
 
発達科学コミュニケーションは、ASDタイプの子どものコミュニケーション力を伸ばし、成長を加速させることができます。
 
 

5.ASDタイプの子どもを育ててわかった、年長ママに伝えたいこと

 
 

――今年長さんのママに、就学についてアドバイスしたいことはありますか?

 
 

◆① ASDタイプの子には、予告や知識を伝えることが有効

 
「ASDタイプの子なら、想像できることは予告しておくと良いと思います。
 
お子さんとの信頼関係ができているなら、多少のネガティブな内容でも現実を伝えても良いと思います。
 
なぜなら、ポジティブな情報ばかり伝えると、現実のネガティブな部分を目の当たりにした時にショックを受けるからです。
 
お子さんの年齢や特性にもよると思いますが、白か黒かというようにみる傾向のあるASDタイプの子には
 
・世の中は不平等
 
・人はいろんな人がいる
 
・好きな人や嫌いな人とも一緒に過ごさなければいけない時がある
 
・自分は自分!という芯をもって生きていくことが大切
 
いうことを幼少期から伝えていました。娘は意外とその知識に救われて学校生活をやり抜いてきていると思います」
 
 

◆② 子どもの発達が気になるなら、早めに相談して行動を起こす

 
気になることがあるなら、すぐに相談に行ってください。
 
相談したいと思ったとしても実際に相談できるのは半年以上も後になります。迷っているならすぐ行動です。
 
また、お子さんの発達が気になる方の中には、診断名がつくと将来に悪影響が出ると想像して、相談したり療育には行きたくない、という方がいらっしゃいます。
 
診断名がついても、将来に悪い影響は出ません。むしろ、相談も診断も受けないままでは、状況が悪化する可能性があります。
 
こじれてから対応するのでは、時間もかかるし、大掛かりな検査や対応が必要になってきます。
 
情報は可能な限り集めて、様々な事態に備えて選択肢を用意しておくことをお勧めします。
 
実際に相談して、頼りになるかどうかで選択肢を厳選できます」
 
 

◆③ 発達科学コミュニケーションで親子の信頼関係を深める

 
 
就学前から発達科学コミュニケーション(発コミュ)で、親子の信頼関係を深いものにしておくことです。
 
発コミュを実践中の方は、ぜひ継続してください。私も就学前に出会っていれば、迷走しなかったと思います」
 
 

――最後に、学校生活について、伝え残したことはありますか?

 
 
「学校行事にはすべて参加し、学校での様子を観察しました。
 
そして、先生の接し方のよい点などが見つかれば、すぐに『先生の○○な関わりで、子どもが成長している』など、感謝の気持ちと共に伝えました
 
学校の先生は、子どもに発達障害の特性があると気づいても、親には言わないスタンスです。なので、親が子どもの特性に気づくしかないのが現状です。
 
何かあった時に先生や学校を責めず、先生を信頼しており、頼りにしていると印象づけると、先生の対応も変わります。
 
親の印象をよくしておくのがポイントだと思います」
 
 

――ありがとうございました!

 
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T.Oさんのお子さんのような、ASDタイプの女の子は、問題になる行動が目立ちにくく、周囲の人から理解されにくいです。
 
 
むしろ、お母さんの気づきと行動に「大げさだ」とか「療育に行く必要あるの?」と反対されることもあります。
 
 
それでもT.Oさんは「今のままでは将来苦労する!」と強い思いを持ち続け、納得のいく相談先を見つけて行動されました。
 
 
お子さんの困りごとを解決できるのは、やはりお母さんの気づき行動です。それを強く感じたお話でした。
 
 
皆さんの参考になれば幸いです。
 
 
T.Oさんの娘さんが利用している学童についてのインタビューはこちらです!
 
 
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執筆者:渡辺みゆき
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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