気持ちや行動の切り替えが苦手な発達障害の子どもたち。嫌な事があると立ち直れない、遊ぶのをやめられない、と悩んでいるお母さんも多いですよね。そこで今回は簡単声かけで「切り替え力」を育てる極意をお伝えします。
【目次】
1.気持ちや行動の切り替えができない子どもに困っていませんか?
・一度癇癪を起こしたらなかなか収まらない
・出かける時間になっても遊ぶのをやめない
・約束の時間が過ぎてもゲームをしている
こんな風に、発達障害の子どもは気持ちや行動の切り替えが苦手な様子が目立ちますよね。
我が家の息子は発達障害グレーゾーンの小学2年生です。
以前は
・嫌なことがあるとなかなか立ち直れない
・寝る時間なのに、本を読んでいる
・学校に行く時間なのに、遊ぶのをやめない
など、なかなか気持ちや行動を切り替えられないことに悩んでいました。
そんな息子を見て私は、
「こんなワガママを許してはいけない!」
「このままじゃルールが守れない子になってしまう!」
「不機嫌なままだとお友達に嫌われるかも!!」
と必死になっていました。
しかしどれだけガミガミ言っても、切り替えがスムーズになるどころか癇癪を起こされる羽目に…。
実は気持ちや行動の切り替えができないことには、発達障害の様々な特性が関係しています。
だからいくら叱っても、子どもは自分でコントロールすることが難しいのでやめられないんですね。
でも、適切な対応をすれば、子どもは気持ちを立て直すことができたり、スムーズに次の行動に移れるようになったりするんです。
そこで今回は、子どもの「切り替え力」を伸ばす極意についてお話しします。
2.気持ちや行動の切り替えが苦手な理由は複雑!
発達障害の子どもが気持ちや行動の切り替えが苦手なのには、自閉症スペクトラム(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などに見られる複数の特性が関係しています。
ここでいくつか挙げてみますね。
◆見通しを持つことが苦手
見通しを持つことが苦手な子どもは、これから先にどんなことが起こるか予測したり、想像したりすることができないため、どう行動しなければいけないのかが分からないのです。
◆こだわりが強い
「今、これをやりたい!」「ここまではやり切りたい!」というこだわりがあり、途中でやめることや、急な予定変更に対応できないのです。
◆エンジンがかかりにくい
大人でも、嫌なこと、気持ちが乗らないことをするには、脳や体に大きな負荷がかかると思います。 子どもならなおさらです。
今やっている楽しい活動から、次の行動にうつるためには、エンジンがかかるのに時間がかかってしまい、ママからは、すぐに行動に移せないと見えてしまうのです。
◆感情のコントロールが苦手
自分の感情に気づくことができなかったり、感情を言葉で言い表せなかったりして、思い通りにならないことに癇癪を起こすことがあります。
発達障害・グレーゾーンの子どもたちは、怒りをコントロールする脳の部位が未発達のために、怒りを抑制することができません。
そのため、状況に合わせて、自分の気持ちに折り合いをつけるのが難しいのです。
こんな風に、一口に「気持ちや行動の切り替えが苦手」と言っても複数の要因が複雑に絡んでいます。
ですから、気持ちをすぐに落ち着かせることができること、時間をきっちり守らせることを目標にするのはハードルが高く、お母さんもストレスが溜まってしまうだけなんです。
3.子どもの「切り替え力」を育てる極意とは?
では、気持ちや行動の切り替えが苦手な子どもにどんな関わり方をしたらいいのでしょうか?
それは、時間がかかってもいいから自分の意思で気持ちや行動を切り替えられた!という経験をたくさんさせることです。
このとき、子どもが自分から次の行動に移るまで待ってあげることがとても大切になります。
子どもが気持ちを立て直すことができないときは、子どもの負の感情に巻き込まれず、気づかないふりをして、笑顔で淡々と日常生活を続けてください。
そして、子どもが少しでも暴言や泣くのを止めたら、
・「自分で落ち着けたね」
・「自分で泣き止んだね」
と声をかけて、自分で気持ちの切り替えができたという成功体験をたくさん積ませてあげてください。
「いいかげんにしなさい」「泣いてもできないものはできないの」など、ママが怒ったり、否定的な言葉を言ったりすると余計に長引きます。
また、行動が切り替えられないときは、頭ごなしに「時間だよ!やめなさい!」と言うのではなく、
・「今、何をしているの?時間になったよ。」と興味を持ってあげる
・「どこまでやったら終われる?」と子どものこだわりを尊重してあげる
と言うように肯定の会話から入ってください。
そして子どもが次の行動に移ろうとした瞬間を見逃さずに、
「あ、本閉じたんだね!」
「ハサミ、引き出しにしまってるんだね!」
などと子どもがやっていることをそのまま口に出してあげてください。
さらに「ちゃんと自分でおしまいにできたね!」としっかり褒めてあげましょう。
ここで「次からはもうちょっと早くしてね!」なんて言うのはNGですよ。
気持ちも行動も切り替えるためには、あくまで自分でできたの「成功体験」として子どもの記憶にインプットさせてあげることが重要です。
そうすることでだんだんと時間も守れるようになってきますし、気持ちを切り替える時間も早くなってきますよ。
今では、
・学校に行く時間になると、パッと遊ぶのをやめて準備をする
・寝る前にやりたいことが残っていても、メモを書いて次の日に回す
・自分で気持ちを言葉にしてつたえられるようになった
など、以前に比べて切り替えがグッとスムーズになりました。
「自分でできた!」と言う成功体験は、脳を発達させるために必須なんですよ。
いかがでしたか?
発達障害の子どもの「切り替え力」を育てる極意は、まずは時間通りにできなくてもいい!時間がかかってもいい!と割り切って、子どもが自分で次の力で切り替えるのを待つことです。
ぜひ今日からやってみてくださいね。
また、朝の支度が遅い子どもに効果的な対応はこちらの記事でお話ししています。合わせてチェックしてくださいね。
執筆者:森あや
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)