発達障害・グレーゾーンの幼児の「行きしぶり」、親子のコミュニケーションで変化します

保育園、幼稚園に通う発達障害・グレーゾーンの幼児の相談で多い「行きしぶり」。とくに、女の子の行きしぶりは、よりママの心をつらくします。女の子の行きしぶりを様子見してはいけない理由と、なぜ行きしぶりが起こるのか?を脳の特徴から紐解きます。
 

【目次】

 

1. 女の子の行きしぶりがお母さんにとって辛い理由とは?

 
 
幼稚園のカウンセラー時代、朝のぐずりや行きしぶりは、友達関係、集団行動、進学、などの相談に並ぶほど相談件数の多い悩みでした。
 
 
そして比率として、他の悩みに比べてぐずりや行きしぶりは、女の子に多く見られました。
 
 
相談を受けている側の感触としては、 女の子に行きしぶりが多いというよりも 女の子の感情の起伏に耐えられないお母さんが多いという要因があるように感じていました。
 
 
子どもはみんなお母さんのお腹の中から生まれてきます。いわば一心同体だった状態から、誕生をきっかけに別々の個体に別れていくイメージです。
 
 
この時、心の発達は最初は一心同体でスタートします。だから、幼児とお母さんの感情って不思議なほどシンクロします。
 
 
子どもが泣くとお母さんの心は強く揺さぶられるし、子どもが傷ついていると自分のことのように胸が苦しくなる。
 
 
悲しいのは自分なのか、子どもなのか?
 
 
わからなくなるくらいシンクロする感じ、きっとママなら皆、ものすごく共感していただけるのではないでしょうか?
 
 
これが特に女の子の場合は同性という事もあり、お母さんとの情緒的結びつきがとても強いのです。だから目の前で泣かれると、お母さんの心がしんどくなる。
 
 
さらに、そのお母さん側のしんどさが子どもに伝染して行きしぶりやぐずりが強まる…という悪循環のスパイラルに陥りやすいのです。
 
 
しんどくなっていませんか?
 
 
苦しくなっていませんか?
 
 
土曜日になるとちょっとホッとするのではないですか?
 
 
月曜日が来るのが憂鬱ではないですか?
 
 
その気持ちが、全部お子さんに伝染しているとしたらどうでしょうか?
 
 
早めに断ち切って、お子さんの笑顔の登園をしっかりサポートしてあげましょう。
 
 
 
 

2. なぜ、行きしぶりは起こるのか?それは記憶の特性にヒントあり!?

 
 
「なぜ、行きしぶりは起こるのか?」について「記憶の特性」という切り口でお話ししたいと思います。
 
 
人間は、大人も子どもも、もともとネガティブな記憶を蓄積しやすい記憶特性を持っています。
 
 
これは、自分の身を守るための本能的な機能の一つです。
 
 
加えて、「行きしぶり」を繰り返す子どもの脳内では、「幼稚園へ通う」=「嫌なこと」というネガティブな記憶が繰り返し積み重なっていきます。
 
 
繰り返されると強化される、というのが記憶のシンプルなメカニズムです。
 
 
そして何よりも、幼児の脳は毎日繰り返される行動が「脳のクセ」として強く残りやすい発達期にあるのです。
 
 
ここにさらに発達の凸凹があったり、普段から「ちょっと育てにくいな」と感じる子どもほど、ネガティブな記憶を優先的に記憶の中に収納してしまいやすいという特性を持っていることが多いです。
 
 
つまり、この「幼稚園に通う」ことにくっついているネガティブな記憶が「行きたくない…」に繋がっている場合がとても多いというわけです。
 
 
特に女の子の行きしぶりの場合、男の子に比べて、放っておいてはいけない理由が背景に隠れている場合があります。
 
 
男の子も女の子も、同様に園では集団生活が求められます。
 
 
それを楽しいと思うことと、ちょっとしんどいなと思うことの間に「性差」はそんなに関係ありません。
 
 
ただし、「発達の凸凹」はダイレクトに関係します。
 
 
もともと集団で活動することが苦手な子、
 
にぎやかな環境が苦手な子、
 
決められた通りに活動するのが窮屈な子、
 
言葉の指示をしっかり聞いて集団から遅れないようにするのに必死な子…
 
 
こういった要素は幼稚園では一様に求められるけれど、発達の特性があるお子さんは苦手なことが多いです。
 
 
問題は苦手だけど対処できてしまうか、否かというところにあります。
 
 
一般的に、発達障害やそれに付随した発達の凸凹は男の子に多くみられます。
 
 
大まかに言うと、男:女=3:1くらいの割合で性差が存在します。
 
 
加えて、うっすらとした特性しか持っていない(つまりパステルゾーンの)女の子の場合、その特性自体が目立たないと言うことが起こりやすいのです。
 
 
幼児期の場合は発達の特性が気づかれるかどうかは、主に周囲の大人の気づき、もっと言えば、周囲の大人が困るかどうか?で決まります。
 
 
男の子の場合は特性自体が目立ちやすいです。
 
 
そのため、対人トラブルに繋がりやすかったり、うっかりミスが起こって大人が困るため、より低年齢で発達のでこぼこに気づいてもらえるケースが多いのです。
 
 
ただ、特性がでやすい分、怒られ体験が積み重なりやすいと言う点は男の子も早めに対応が必要になります。
 
 
一方、女の子はなんとか適応できてしまったり、我慢できてしまったりします
 
 
すると、周囲の大人が本人が困っていることに気づけないということが起こりやすいのです。
 
 
全ての行きしぶりの原因がこういった園での過剰適応にあるとは言いません。
 
 
でも、頑張って、頑張った結果、しんどくなってしまい「幼稚園行きたくない…」が本人のSOSとして現れてきている可能性があるのです。
 
 
ここで無理に園に行かせようとしたり、「大丈夫、行ったら楽しいよ!」と気持ちをそらしてみてもなんの解決にもならないことがお分りいただけたと思います。
 
 
では女の子の行きしぶりには、どんなアプローチが必要なのか?
 
 
キーは、「幼稚園」にくっついてしまったネガティブな記憶にどうアプローチするか?です。
 
 
ただし、あなたのお子さんに特性があるのか、ないのか?あるとしたら、どの特性によって幼稚園がしんどくなっているのかをしっかりと分析した方が、闇雲にアプローチするよりも解決が早いです。
 
 
何度も言うように、繰り返された記憶はどんどん強固になっていくので、回り道しないで、お子さんの特性にあったアプローチをして欲しいと思っています。
 
 
 
 

3. 脳科学の知識で、発達障害・グレーゾーンの幼児の「行きしぶり」からママを救う!

 
 
「放っておけばいつかは慣れる」
 
 
お子さんの「幼稚園行きたくない」についてそんな風に自分を励ましていませんか?
 
 
または先生やご主人や周りの人に、そんな風に言われていませんか?
 
 
もちろんそういうこともあるかもしれません。でも、私はそんな気持ちにはなれないんです。
 
 
理由は、一筋縄でいかない登園しぶりをカウンセラー時代にたくさん見てきたからです。
 
 
その中でも忘れられない、Aちゃん。
 
 
2年保育の幼稚園でしたが、入園から卒園まで2年間、毎朝泣く!を貫いたAちゃんです。
 
 
その子のお母さんとは、毎月カウンセリングの時間をとってお話ししてきたにも関わらず、です。
 
 
その頃の私には心理学の知識しかなかった。だから、
 
 
「お子さんの心を満たしてあげて」
 
「不安な要素を取り除いてあげて」
 
「お母さんの不安が影響することもあるから、全部話して、一人で抱えないで」
 
 
そんなことしか、してあげられませんでした。
 
 
心理学の力は微力です。
 
 
推測することはできても、それが確かかどうか科学的な根拠が弱いのが心理学です。
 
 
2年間登園しぶりを貫いたAちゃんは、はっきりとした診断がつくほどではありませんでしたが、うっすらと発達のでこぼこのある女の子でした。
 
 
女の子同士のごっこ遊びには入りません。いつも警戒心をまとったようなお顔で、みんなの遊ぶ様子を遠巻きに見ていました。
 
 
声をかけても、会話できる関係になるまでとても時間がかかります。下を向いてしまうかスッとどこかへ行ってしまうか。
 
 
毎月カウンセラーとして通い、声をかけ続けていくと、ある日突然、ものすごく懐いて離れなくなりました。
 
 
適度な距離感が苦手で、言葉で気持ちをうまく伝えられないため、私の手を引っ張って、自分の遊びに誘う仕草がとても印象的でした。
 
 
頭はいいお子さんです。心を開いて会話できるようになるとこんなことを話してくれました。
 
 
「なんでみんなと縄跳びしなくちゃいけないのかな?一人でとんだほうが楽しいのに。」
 
 
彼女のその言葉を聞いた時、なるほどなー!!!と思いました。
 
 
クラスメイトはとても優しくて気の利く子たちが多く、一人でぼんやりしているAちゃんを、みんな積極的に誘ってくれるのです。
 
 
先生たちも、なんとかAちゃんが「皆と楽しく」遊べるよう一生懸命誘います。
 
 
その関わりが、Aちゃんには理解できなかったようなのです。
 
 
こういった小さな「ズレ」がAちゃんに積もっていって、「幼稚園やだな…」に繋がっていたのだと思います。
 
 
あの時、私が発達科学コミュニケーションの知識とノウハウを持っていたら…
 
 
どうしたらいいのか?を脳の発達をベースに考えることができていたら、Aちゃんの中に2年間も積もらせてしまった「幼稚園=嫌な記憶」を食い止めることができたのに。
 
 
毎月通ってきてくれたお母さんの想いにこたえてあげることができたのに。
 
 
そんな気持ちが今も心の片隅に残り続けています。
 
 
今はもう、2年生になったAちゃん。
 
 
どうしているでしょうか…。
 
 
今の私には、科学的に「行きしぶり」を消していく方法をママに手渡すことができます。
 
 
あなたに、それをお伝えしたいと心から思っています。
 
 
 
 
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執筆者:石澤かずこ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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