ダラダラしていて行動が進まない、やり始めても集中しないなど、行動が遅い発達障害ADHDの子どもに毎日イライラしていませんか?今回は、行動が遅い理由とテキパキ行動するための3つの工夫をご紹介します。
【目次】
1.「何度も言わせないで!!」行動が遅い発達障害ADHDの子どもにイライラ
2.どうして発達障害ADHDタイプは行動が遅いの?
3.テキパキ行動するための3つの工夫
①タスクの見える化
②事前予告とタイマー活用
③やりたいと思えるように工夫する
1.「何度も言わせないで!!」行動が遅い発達障害ADHDの子どもにイライラ
注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向のある子どもは、
✓ダラダラしていてなかなか行動を起こさない
✓宿題をしていても他に気を取られて集中できず終わらない
なんていうことは日常茶飯事。
お母さんは、そんな子どもの様子を見て、「早くして」「集中してやってよ」など毎日イライラしてしまいますよね。
声をかけても全く動こうとしない子どもに、最後にはイライラが爆発して「いいかげんにしなさい!!」「何回言えば分かるの!!」と怒鳴って注意していませんか?
私も、「早くして」「何してるの?」が口癖で、最後には「いいかげんにして!!」と子どもを急かして、怒ってばかりいました。
でも、何回言っても、怒っても、子どもの行動は早くはなりませんでした。
それどころか、私が声をかけると癇癪を起こしたり、ふざけたりするようになっていき、状況は悪くなるばかりでした。
どうして発達障害ADHDタイプの子どもは行動が遅いのでしょうか?
2.どうして発達障害ADHDタイプは行動が遅いの?
行動が遅くなってしまう原因は、子どもがダラダラしているからではなく、ADHDの特性からくるものなんです。
1つ目は、行動の優先順位がつけられないことにあります。
ADHDの子どもは、自分が好きなことや気になったことに対してはすぐに興味をもって行動することができます。
でも、嫌いなこと、イヤなこと、やりたくないことに対しては、どうしても行動が遅くなってしまいます。
自分から「動こう」と思えること以外は、気持ちが乗らずに動き出しが遅くなってしまうんです。
そのため、やらないといけないことよりもやりたいことを優先してしまい、お母さんからすると、行動が遅いと感じてしまいます。
2つ目は、時間感覚が十分に育っていないことです。
ADHDの子どもは、時間感覚が発達しにくい脳の特性があります。
大人は、今やっていることがあっても、今後の予定や今やっている作業がどのくらいの時間がかかるのかを頭の片隅において行動していて、先を見据えて時間配分を考えることができます。
ですが、ADHDの子どもは、今やっていることに意識が集中しているため、未来のことに考えが向かないことが多いのです。
そのため、「あと10分で出発の時間だよ」と言っても支度をしない、「5時になったら宿題するって言ってたけど、あと5分で5時だよ」と言っても、新しい遊びを思いつき、遊びを始めようとする。
時計は読めても、
あと何分の時間があるかの時間の量が感覚として分からない
その作業や遊びにどのくらいの時間がかかるのかが把握できない
ということが起こってきます。
どうしたらADHDの子どもが自分から行動できるようになるのか?その方法をお伝えします。
3.テキパキ行動するための3つの工夫
ADHDの子どもがどうしたらテキパキ行動できるようになるのか、我が家で実践した3つの工夫をご紹介します。
◆①タスクの見える化
学校から帰ってからやらないといけないこと、朝起きてから登校までにやることを子どもと一緒に相談して、ホワイトボードで分かるようにしておきます。
発達障害・グレーゾーンの子どもは、視覚優位な子が多いので、このタスクの見える化はとても有効です。
また、子どもと一緒に相談して決めることで、子どもも自分事としてとらえることができます。
もし、できていないタスクがあったときは、ホワイトボードを見ながら、「これっていつやるの?」と質問します。
最初は「ご飯の前にする?後にする?」など選択させると次第に自分で決められるようになってきます。
ここで大切なのは、質問するタイミング!!
お子さんが何か活動を終えたタイミングで質問することで、お母さんの声も耳に届くようになります。
また、タスクが終わったときは、「もう終わったの!!」、「自分で決めた時間にできたんだね」など、しっかり肯定の声かけもすることで、行動が定着していきます。
◆②事前予告とタイマー活用
例えば、出かける予定があったとき、
「10時に出発だから、9時45分には支度をはじめようね。9時45分まであと30分あるね。」と出発の時間や出発までの時間を子どもと確認します。
子どもは、残りの時間の30分タイマーをかけるだけ。タイマーが鳴るまでは、思いっきり遊びに集中しています。
タイマーを設定して、5分、30分と、時間を決めて行動することで、「30分あれば折り紙が5個作れる」、「30分あればゲームでここまで進める」と体験を通して、時間の感覚も育ってきています。
また、宿題や次の日の準備など、集中して取り組んでほしいことは、「10分チャレンジ!!」などとゲーム感覚で時間を設定することで、気がそれることが少なくなります。
チャレンジが成功したら、しっかり肯定の声かけをすることと、おやつなどご褒美があるとやる気もアップしますよ。
◆③やりたいと思えるように工夫する
ADHDの子どもは、「やりたい」「楽しそう」と思ったことに対しては行動の取り掛かりが早いんです。
1つ1つのタスクに対して、やりたいと思わせる工夫をします。
例えば、
✓明日の準備10分チャレンジ。時間内にできたらお菓子プレゼント
✓歯磨きはポケモンアプリを使う
など、子どもからやりたくなるようにしていくことで、自ら行動できるようになってきます。
この3つの工夫を上手く使って行動を定着させていくことで、お母さんが声をかけなくても自ら行動できるようになっていきます。
我が家の子どもは、今では、「●時に出発するからね」と声をかけておくだけで、「あと●分あるからそれまで遊べるね。」とタイマーをかけて自分から行動できるようになりました。
また、宿題などは、「タイマーチャレンジするから、できたらお菓子食べるね」などと自分から時間の設定をしています。
なかなか行動が進まないと困っているお母さん、ぜひ試してみてください。
執筆者:中井優
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)