お盆やお正月の帰省時に子どもの「行く、行かない」問題で困っていませんか?不安が強く外出嫌いなパステルキッズにとって、祖父母の家に行き親戚と会うことは思った以上にハードルが高いこともあります。そこで今回わが家で実践した対応策をご紹介します。
【目次】
1.「見られたくない!」周りの視線が気になる
不安が強く外出もままならない発達障害・グレーゾーンのお子さんはいませんか?
我が家にはこだわりが強い不登校の小学校3年生の娘がいます。
娘は注目されることを極端に嫌がります。
「誰も見てないよ」と言っても耳には入りません。
2年生になり登校を渋るようになったときは、ほかの子どもたちが登校してくる前に鍵を開けて入れてもらうほどでした。
思い返せば保育園に通っていたころから、大勢の人の中に後から入っていくことが苦手でした。
人の少ない早番の登園ではすんなり部屋に入れるのに、通常の時間のときは毎回「行きたくない」と大騒ぎして先生に連れて行ってもらいました。
3年生で不登校になった頃から家の外に出ることを嫌がるようになりました。
娘は元々お出かけをすると、ひとりで気になるところに走って行ってしまうほど好奇心が旺盛。
初めて見るものはあれもこれも触って確かめ、お店の人に質問をするのも大好き。手をつないでお買い物をした記憶がないほどです。
外出に不安を感じるようになってからは、祖父母の家へ誘っても嫌がるようになってしまいました。
お正月やお盆の集まりのたびに行く・行かないで直前まで揉めることにしんどさを感じ、事前に対策をとることにしました。
2.発達障害・グレーゾーンの子どもが感じる不安とは?
発達障害の子どもは、人一倍不安を感じやすいところがあります。
・元々不安や恐怖を感じやすい特性をもっている
・感覚過敏を抱えていて、常に強いストレスにさらされている
・完璧主義で、失敗したくない・笑われたくないというこだわりの強さがある
・見通しを立てることが苦手で何が起こるかわからない不安を抱えている
私たちが不安や恐怖を感じるときには、脳の偏桃体という部分が活性化しています。
これ自体は本能的な反応なので誰にでもあることですが、この働きが過剰になると必要以上に不安を感じてしまいます。
私たち人間には偏桃体の過剰な働きを抑える前頭葉が備わっているのですが、前頭葉の働きがまだ十分でないと偏桃体を抑えることができず、結果、必要以上に不安を感じてしまうのです。
それでは実際に娘の不安を抑えて「行きたい」気持ちを引き出すことができた対応をお話しします。
3.不安を感じやすい娘に効いたわが家の対応策
◆①会う前に慣れる
祖父母は車で30分以内の場所に住んでいます。
そこで娘の気分が良い日を選んで、場に慣れておくために遊びに行くことに。
また、簡単に会えない伯母にはメールでおしゃべりをしたり、描いた絵や工作をインスタで見てもらいました。
実際に会ったとき「絵じょうずだね~」と、いきなり褒めてもらうことができ大満足の様子でした。
最大の難関はいとこのお兄ちゃんでしたが、大好きなゲームを利用しました。
一番しゃべりやすい従兄に、ゲームのことで電話をしました。
みんなで集まる日は「ゲームを教えてもらうため」という娘だけの目的を作ることができました。
◆②一番乗りでみんなを迎える
みんなに注目されるのが嫌なら、先に行ってみんなを迎えればいいのですが、大体いつも到着が最後に…。
外出に不安があるので準備が進まず、結果いつもみんなに迎えられていました。
今回は事前に連絡をとっていたこと、特にいとことゲームの約束をしていたことで準備はとても早く、祖父母の家には一番乗りで到着!
大勢集まる中に入って行くのではなく、みんなを迎える側になったことで心に余裕ができました。
4.パステルキッズは人一倍頑張っています!
今回は祖父母の家へ行って親戚と過ごすという“ミッション”をクリアするための事前準備でした。
毎回時間をかけて準備を整えるのは正直大変。できれば「行こう」と言ってすぐに動いてくれたらとっても助かりますよね。
発達障害の子どもたちは、特性からくる困りごとのために、普段からたくさん注意される日々を送っています。
叱られてばかりだと、自分に自信がないばかりかネガティブな記憶をため込んでしまうこともあります。
これではますます不安に拍車がかかってしまいますよね。
行動力を上げるには不安は禁物。
不安を減らすためには普段の声かけが何よりも大切です。
否定的な声かけは封印して、肯定的なことに注目するのが最大のコツです。
できて当たり前だと思っていたことを見直すだけで、褒めポイントはたくさん見えてきます。
朝起きることも、ご飯を食べることも、着替えることもパステルキッズにとっては高いハードル。
ひと山もふた山も乗り越えなければいけない試練なのです。
そんな視点に立って子どもの行動を見直すと、たくさんのがんばりが見えてきますよ!
不安で行動できない子への対応もたくさんお伝えしています!
執筆者:本田 ひかり
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)