思い通りにいかない時に起きる子どもの癇癪。癇癪の対応は親も疲れるし、本人も辛そうですよね。癇癪に対して間違えた対応を続けてしまうと、うつなどの二次障害に発展します。正しい対応でお子さんと一緒に癇癪を克服するための3ステップをご紹介します!
【目次】
1.思い通りにいかないと癇癪を起こす子ども
欲しいものを買ってもらえない、きょうだいがおもちゃを貸してくれない、言いたいことが伝わらない。そんな時に起きる激しい癇癪にお困りではありませんか?
我が家の9才の息子は、今となっては懐かしいですが、よく癇癪を起こしていました。
小さいころから色々と頭の中で考えている子だったので、息子の場合は言いたいことが伝わらない、上手く伝えられない場合の癇癪が多かったように思います。
癇癪を起こすと、ワーっと泣き叫んで、時には壁に頭を打ち付けるような時もありました。普段はおとなしい息子のそんな姿を見るととても驚きましたし、本人も辛そうでした。
2.なんで癇癪を起こすの?
普段はおとなしい息子のような子がなぜ癇癪を起こすのかというと、それは脳の発達が関係しています。
人の脳は、聴覚や視覚、身体を動かすなどの動物的な機能から、言葉や社会性など人間的な機能の順に発達していきます。
発達がゆっくりなお子さんは脳の発達に凸凹があって、動物的な機能の方が強く働くような状態になっています。
そのため、息子のように自分の感情をうまく言語化できず伝えられない場合に、動物的な機能、つまり身体を動かして感情を表に出すような結果になります。
脳が発達すれば癇癪を起こすことは減っていくのですが、それまでに間違えた対応を続けていると、うつ病などの二次障害に発展してしまいますので注意が必要です。
癇癪に困っているときはすぐにでも解決したいと思いますが、癇癪を起こさなくなるまでにはいくつかの段階を経る必要があります。
3.癇癪を克服するまでの3ステップ
癇癪を克服するまでの段階としては、大きく3つのステップがあります。
◆ステップ①自分の感情を理解し言語化する
まずは、自分は今どういう感情なのかを理解して、言語化できるようになることがファーストステップになります。
先ほども書きましたが、発達がゆっくりなお子さんの脳は、動物的な機能が強く、言葉などの人間的な機能の方がが弱い状態です。
ですから、まずは今自分はどういう感情なのか、これはどういう状態なのかを理解できるようになって、それを言葉で伝えられるようになることが最初の段階になります。
この段階で親や周りの人ができるサポートとしては、子どもの感情を代弁してあげる(感情に名前を付けてあげる)ことが有効です。
「お友だちとまだ遊びたかったから寂しいんだね」
「お兄ちゃんがおもちゃを貸してくれなくて悲しいんだね」
など、癇癪を起こしているその時の子どもの気持ちを想像して伝えてあげます。
そうすると、伝えられなかった感情を共感してもらえた安心感から始まって、だんだんと子ども自身が自分の感情を言葉で表現することができるようになっていきます。
◆ステップ②自分で癇癪に対応できるようになる
自分の感情を言語化できるようになったとしても、急に癇癪がなくなるわけではありません。
次の段階としては、癇癪が起こった時に、子ども自身が自分でその状況を治められるようになることを目指します。
特に私の息子のように、普段はおとなしくて優しい性格の子どもだと、自分では抑えられない癇癪を起こした時、「親に迷惑をかけて自分はダメな子だ」と必要以上に自分を卑下してしまいます。
癇癪が起きた時に自分で対応ができるようになると、それを少しでも和らげてあげることができますよ!
ポイントは2つあります。
1つ目は安全な環境を作ること、2つ目は落ち着くための空間と時間を与えてあげることです。
1つ目の安全な環境を作るとはどういうことかというと、癇癪を起こした時に、子どもが自分や他人を傷つけることがないように、周囲に危険な物がない状況にするということです。
2つ目の落ち着くための空間と時間を与えてあげるというのは、一般的に「クールダウン」と呼ばれるものです。本人が落ち着く場所にしばらく一人でいさせてあげると、感情が落ち着いたらすっきりした顔で出てきます。
なるべく毎回同じ場所やシチュエーションを作ってあげると、「ここに行けば自分は立ち直る」と本人も自覚することができるようになります。
私の息子の場合、初めの頃はクールダウンするための部屋へ連れて行っていましたが、そのうち自分で「ちょっと落ち着いてくる」と行くようになり、その部屋以外でもクールダウできるようになっていきました。
◆ステップ③自分の感情をコントロールできるようになる
自分でクールダウンできるようになってくれば、いよいよ癇癪は収束に向かいます。
この頃の対応のポイントとしては、自分でクールダウンして戻って来た時に、「よく自分で立ち直れたね」と褒めてあげることです。
ただし、あまり大袈裟に、長々と褒めないようにだけ注意しましょう。
なぜなら、本人は癇癪を起こしたことを気にしているからです。「自分は大丈夫なんだ」と自信を取り戻すためにただ一言、「自分で立ち直れたね」と再確認させてあげるだけでいいんです。
そうやって、癇癪を起こしたけど自分で対応できたという成功体験を積み上げることで、癇癪そのものが減り、自分で自分の感情をコントロールできるようになっていきます。
いかがでしたか?我が家の息子も、このような3ステップを経て今では癇癪を起こすことはなくなりました。
癇癪は本人にとっても辛い状況です。自尊心を保ってあげ二次障害に発展しないように、正しい対応をしてお子さんと一緒に癇癪を克服してくださいね。
子どもの癇癪に困り果てているママ!対応策をご紹介しています!
執筆者:大谷聡志
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)