感覚過敏で服が着られない子どもの触覚過敏の治し方を具体的にお伝えします!周りの人に知識がない場合、子どものわがままや好き嫌いだと誤解されてしまうことがよくあります。ストレスが原因で引き起こされた感覚過敏なら、対応次第で早期改善ができますよ。
【目次】
1.感覚過敏で服が着られない子ども
2.感覚過敏とは?感覚が敏感になる原因
◆感覚過敏とは?
◆感覚過敏とストレスの関係性
3.ストレスをかけない!触覚過敏の治し方
◆苦手な感覚刺激を避ける
◆服が着られないことを気にしない
◆服を着ているときの肯定の声かけ
4.感覚過敏が治った!不快感から解放された息子
1.感覚過敏で服が着られない子ども
息子は昨年の秋から感覚過敏になり、家の中ではずっとパンツ一丁で過ごしていました。
外出の時には、嫌々服を着ていましたが、家に帰ると真っ先に洋服を脱いでいたんです。
ある雪が降った冬の日、外で雪遊びをしたくて服を着ましたが、すぐに不快感から服を脱ぎ捨て、とうとうその日は雪遊びができませんでした。
このように、感覚過敏で服が着られないと…
・本人が外に出れない
・家には気心の知れた人しか呼べない
・無理して服を着たとしても、ストレスが溜まる
このような困りごとが起こっていたのです。
私の息子は、幼い頃から不登校になるまでの間は、特に服の素材などにもこだわりなく、普通に服を着て生活していました。
そのため、感覚過敏になり、服が着られない息子を目の当たりにして、私も周囲の人もとても驚いたのを覚えています。
服が着られないというのは、感覚過敏の中でも皮膚の感覚が過敏になっている触覚過敏の状態です。
また、その頃の息子は、服が着られないだけではなく、
・ドライヤーや掃除機などの音を嫌がる…聴覚過敏
・今まで食べていた食材も食べたくない…味覚過敏
・部屋の中でも日差しが眩しいとカーテンを閉める…光過敏
このようなたくさんの感覚過敏に悩まされていました。
そんな息子でしたが、今ではまた不快感なく服が着れるようになり、他の感覚過敏もなくなっています。
では、どのように感覚過敏を改善していったと思いますか?
感覚過敏になってしまった原因と改善までに意識した対応を詳しくお伝えしますね。
2.感覚過敏とは?感覚が敏感になる原因
私は息子が服が着られない状態になって初めて、”感覚過敏”という言葉を意識しました。
感覚過敏をまだ詳しく知らない方もいらっしゃると思うので、ここでお伝えしますね。
◆感覚過敏とは?
感覚過敏とは、通常の人が気にならない感覚刺激に対して、過剰に敏感に反応する状態のことです。
感覚過敏の子どもは、音、光、触覚、味覚、嗅覚などの感覚刺激を不快に感じたり、苦痛を伴うことがあり、日常生活に支障をきたすことがあります。
これは、感覚の処理を行っている脳のエリアの発達がまだ未熟なため、感覚刺激を適切に処理することができず、過敏に反応してしまうのです。
この感覚は人によって様々なため、心地よく感じる刺激と不快に感じる刺激は本人にしかわかりません。
そのため、お母さんに感覚過敏がない場合、感覚過敏を理解するのはとても難しく、知識がなければ、子どものわがままや好き嫌いだと受け取ってしまうことも珍しくありません。
しかし、子どもにとっては耐えがたい感覚であるため、周囲の人が気付かずにいつまでも対処できないと、不必要なストレスや苦痛を与えてしまうことになります。
◆感覚過敏とストレスの関係性
精神的なストレスや不安は、感覚過敏を引き起こす原因になります。
①ストレスや不安によって精神状態のバランスが崩れると、これまで気にならなかった感覚刺激に敏感に反応してしまう
②もともと感覚過敏のある人が、精神的なストレスによって感覚刺激をより敏感に感じるようになり、悪化したと感じる
このように、ストレスと感覚過敏は大きく関係しています。
私の息子が感覚過敏に悩まされたのは、不登校になったストレスや強い不安感を抱えてからでしたので、前者だと理解できます。
発達障害やグレーゾーンなどの発達に凹凸のある子どもたちは、ネガティブな記憶を繰り返し思い出し、自分の中で強化してしまうことで、とても悲観的になりやすいのです。
自らの辛い経験から自分でストレスを作り出し、増幅させてしまうこともあります。
息子もそのストレスにより、自分に自信をなくしている状態でした。
実は、私自身も大人になってから、ストレスによって引き起こされる聴覚過敏を経験したことがあり、現在は改善されています。
そういった経験によって、感覚過敏とストレスとの関係性は確かなものだと実感しました。
また、この感覚過敏自体が本人のストレスになるという悪循環に陥ってしまうのも大きな問題なのです。
3.ストレスをかけない!触覚過敏の治し方
触覚過敏に限らず、すべての感覚過敏を改善させる一番のポイントは、子どもにストレスをかけないことです。
また、先ほどお話した通り、本人が自分で作り出すストレスも防ぐため、自信を取り戻す肯定の声かけを日常的に続けていくことがとても重要です!
それでは、服が着られない子どもの触覚過敏の治し方を具体的にお伝えしますね。
◆苦手な感覚刺激を避ける
苦手な感覚を無理に克服させようとはせず、苦痛となっている刺激をできるだけ取りのぞきましょう。
なぜなら無理強いしようとすれば、不快な感覚刺激からのストレスだけではなく、お母さんに辛い気持ちをわかってもらえなかったという悲しい記憶まで積み重なってしまうからです。
そのストレスによって精神状態も感覚過敏も悪化してしまいますよね。
感覚過敏はすぐに改善するものではありませんが、脳のエリアが発達していくと改善されることが多くあります。
また、ストレスによって引き起こされた感覚過敏なら、ストレスが落ち着けば、また感覚を処理できるようになっていきます。
◆服が着られないことを気にしない
感覚過敏はすぐに改善する問題でもないので、周りの人こそ焦らず、気にしないことです。
本人も自分だけが服を着られない、みんなと違う…ということを十分にわかっています。
これ以上、服を着られないことをネガティブに捉えずに済むように接することを心がけましょう。
たとえば我が家では、本人がその話題を振ってきた時には、
「家の中なんだから楽な恰好でいいと思うよ」と、話題を避けずに自然に答えたり、
「〇〇くん、カッコイイ体してるよね!」と、普段から自慢の筋肉を褒めました。
周りの人が服を着られないことを気にしていない態度を取ったことで、息子自身もだんだん気にしなくなっていきました。
◆服を着ているときの肯定の声かけ
子どもが服を着ているときには、ポジティブな肯定の声かけをしましょう。
具体的には、外出時などの子どもが服を着られたときに、
「おぉ!カッコイイ~この服似合うね!」と褒めたり、
子どもが服を長く着られていた日には、
「そういえば今日はずっと服着てたね!」と、本人に気づかせる声かけで肯定をします。
そうすることで、服を着られるようになった!と、少しずつ自信を取り戻していけますよ。
4.感覚過敏が治った!不快感から解放された息子
お伝えした3つのことを意識して対応した結果、息子は衣服に不快感がなくなり、家でも服を着ていられるようになりました。
そして、触覚過敏以外の聴覚、味覚、光の感覚過敏にも無理強いをせず、ストレスをかけない対応をしたことで、すべてが気にならなくなっていったのです。
大切なことは、焦って慣れさせようとしないことなんです。
周囲の人に協力してもらい、皆で同じ対応ができたことも早期改善につながった要因だと思います。
ある日、息子から「裸族卒業祝いで、みんなでお寿司屋さんに行きたい」と、提案があったので、皆でお祝いをしました。
そのお祝いの席で、息子が「〇〇くん、ずっと裸族だったんだよ」と言い、それを「面白い表現だね」と家族みんなで笑い合ったことがいい思い出になりましたよ。
子どもの感覚過敏にお悩みの方はぜひ、子どもに自信を取り戻す肯定の声かけとストレスをかけない対応を心がけてみてくださいね。
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執筆者:なかむらあゆみ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)