「本当は苦手ばかりなのに…」なぜ、発達障害・アスペルガータイプの人は「できる人」にみられやすいのか?

 

発達障害・アスペルガーの人は、学生時代は真面目で成績優秀だった人も多く、ポーカーフェイスなので「できる人」と思われがちです。実際にアスペルガータイプの人から話を聞いて、困ったことと対応策をうかがいました。
 

【目次】

 

1. 発達障害・アスペルガータイプの人が語る、意外な困りごととは?

 
 
「渡辺さん、私の悩みを聞いていただけますか!?」
 
 
数年前のある日、発達障害・アスペルガータイプのAさんから、お話を聞く機会がありました。
 
 
発達障害・アスペルガータイプの人の主な特徴は、
 
・コミュニケーションが苦手
・こだわりが強くて融通が利かない
・相手の立場になって物事を考えられない(いわゆる空気が読めない)
 
といったものがあります。
 
 
このような特性によって、対人関係に支障をきたす、曖昧な指示が理解できない、などの困りごとに直面します。Aさんからも、様々な困りごとの話を聞かせていただきました。
 
 
しかし、Aさんにとって1番の困りごとについて聞くと、意外な答えが返ってきました。
 
 
「本当は苦手なことが多いのに、なぜか”できる人”だと思われるんです」
 
 
実はAさん、社会人になって10年以上経ちますが、今までに10回近く転職をした経歴の持ち主。つまり約1年に1回のペースで職を変えているのです。
 
 
しかし、学生時代のAさんは真面目で成績優秀。ちょっとしたことでは動じず、表情を変えません。就職すれば、学力の高さと面接での落ち着いた受け答えから「できる人」と思われて、「期待の新人」扱いされるそうです。
 
 
Aさん自身は苦手なことが多くて困ってるのに、なぜか「完璧な人」だと思われてしまうのです。
 
 
 
 
こんな経緯もあって、同僚や先輩に「苦手なことが多いんです」と訴えても、それが「謙遜」と取られてしまいます。
 
 
Aさんはうまく状況を伝えらないことにモヤモヤしながらも、次々と苦手な仕事レベルの高い仕事を任されていきます。
 
 
Aさんにとって、明らかにこなせない仕事。想像と全く違う現状に、Aさんはパニックを起こしてしまいました。
 
 

2.「できる人」のイメージが崩れて、周囲の態度が変わる。そして転職へ。

 
 
アスペルガータイプのAさんが苦手とするのは
 
会話→指示された内容が理解できない覚えられない
マルチタスク→優先順位がつけられない複数の仕事を処理できない
アドリブ→マニュアル以外のことが臨機応変にできない
 
といったものです。
 
 
これらは、アスペルガータイプの人の特性が影響しています。そのためミスが積み重なりトラブルが大きくなってしまいます。
 
 
 
 
他にも、Aさんと周囲の人との認識の違いが、様々なトラブルを引き起こします。
 
 
<Aさんの状態①>
目まぐるしく変わる状況が理解できず、わからないところがあっても質問ができない
 
<周囲はAさんに対して>
「質問がない=理解している」と思っている。
 
 
<Aさんの状態②>
「断ったら怒られる」頼まれごとを断れず、抱えきれない量の仕事を引き受けてしまう。
 
<周囲はAさんに対して>
仕事を引き受けたんだから、抱えている仕事は「全てこなせる」と思っている。
 
 
<Aさんの状態③>
「あれ」や「これ」、「なるべく早く」、「適宜」といったあいまいな指示が理解できない
 
<周囲はAさんに対して>
会話の流れで内容は理解できるはずわからなければ質問するはず、と思っている。
 
 
結局、Aさんは与えられた仕事がこなせず、
 
「落ち着きのある人だから期待していたのに」
「質問してこないから、理解できてると思ってた」
「成績優秀だから仕事もできると思ってたのに」
 
と周囲の人に冷たい視線を向けられ自信を失って退職してしまったのです。
 
 

3.発達障害・アスペルガータイプの当事者が語った「できる人」と思われないための対応策

 
 
はじめに話を聞いてから数年後、私は再びAさんから、お話を聞くことができました。Aさんの表情は、とても穏やかです。
 
 
私は、お会いしていなかった間の出来事を伺いました。Aさんは、落ち着いた表情で話します。
 
 
 
 
「本当の自分は”できない人”なのに、なぜ”できる人”と思われてしまうのか?」Aさんは過去の自分を振り返って分析しました。
 
 
相手の説明や指示が理解できない時や、頼まれごとが断れない時でも、Aさんは何も言えず何も動けなかったのです。つまり「伝える力」が不足していました。
 
 
さらにAさんは、職場の人に「仕事内容が理解できている」と思われていることに気付いていなかったのです。
 
 
Aさんが行動できなかったのは
 
「こんな簡単な内容の質問をしたら、相手に失礼にあたらないか?
「与えられた仕事を断ると、相手に迷惑がかかるのではないか?
「仕事内容が分かってない、と思われたくない
 
 
といった、否定的な思考によるものでした。しかし、学生時代を思い返したとき、勉強についてクラスメイトから質問されたときは「頼られて嬉しかったなぁ」という気持ちだったのを思い出しました。
 
 
さらに、「Aさんって表情だけでは考えてることがわからない」と言われたことも思い出しました。
 
 
「わからない時は、遠慮せずに質問すれば良いんだ!」
「自分で思うよりも、オーバー気味に表情に出せば良いんだ!」
 
 
Aさんはこう思い直し、質問する方法や、相手に分かりやすい表情、状況の説明の仕方を研究しました。友人にも会話や表情についてダメ出ししてもらうようにお願いして、協力してもらったそうです。
 
 
もともと頭脳明晰で、学んだことの吸収が早いAさん。次の就職先では、Aさんが得意分野を生かせる仕事内容を選びます。さらに、研究した人付き合いの方法を実践に活かしました。
 
 
その結果、現在の仕事は3年以上続いているということで、最長記録を更新中だそうです。
 
 
Aさんからうかがった、周囲の人に理解されにくい悩みの原因を分析して、改善した努力に、私は深く感動しました。
 
 
話を聞かせてくださったAさんに感謝して、これからも発達の特性で悩んでいる人の助けになれる活動を続けていきたいです。
 
 
思いが伝わるコミュニケーション法、あります。

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執筆者:渡辺みゆき
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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