小4の壁とは「9歳の壁」とも言われ、学習や人間関係でつまずきやすい時期です。特に発達障害のある子は、理解のスピードやコミュニケーションの特性から、学校生活での困りごとが増えやすいと言われています。この記事ではママができるサポートを解説します。
【目次】
1.小4の壁とは?9歳ごろにつまずきが出やすい理由
◆学習面の壁
◆精神面の壁
2.2学期以降に増えるつまずきの背景
3.小4の壁で困りごとが大きくなった!相談者のエピソード
4.小4の壁を乗り越えるためにママができること
◆自信を貯める声かけ
◆思考力を育てる会話
1.小4の壁とは?9歳ごろにつまずきが出やすい理由
小4の壁とは、小学3、4年生の時期に直面する成長のハードルです。
「9歳の壁」「10歳の壁」とも呼ばれています。
特に発達に凸凹のある発達障害の子どもにとってつまづきやすく、勉強面と精神面の壁があります。
◆学習面の壁
発達ゆっくりな子がまず感じるのが「学習面」での壁です。
小3から学習の難易度がグッと上がりさらには学習内容が抽象的なものに変わっていくからです。
これまで順調に理解できていた子もつまずきやすくなります。
低学年の算数では「りんごが1個、みかんが2個。合わせていくつ?」のように目に見える具体物を扱う内容でした。
しかし中学年からは「分数」「小数」「面積」など、抽象的な学習が中心になります。
発達障害の子は頭の中でイメージすることが苦手なので、理解が難しくなってきます。
国語も同じです。
ただ文章を読むのではなく「登場人物の気持ちを読み取る」「作者の意図を考える」といった、より高度な思考が求められます。
小4の壁とは、こうした「見えないものを頭で考える力」が求められることで、発達凸凹の子どもにとっては大きなハードルになるのです。

◆精神面の壁
もう一つの小4の壁とは「精神面」での壁です。
9歳頃になると「メタ認知」ができるようになり、周りの子どもと自分との違いを客観的に見られるようになります。
その結果、これまでは気にならなかった、
・自分だけできない
・友達にどう思われているか気になる
などを感じやすくなります。
さらに、仲間意識を持ちやすい時期でもあります。
友達グループができてきて、グループ内での暗黙のルールやアイコンタクトなどで会話が始まるようになってきます。
言葉の表面の意味だけを捉えがちな発達凸凹の子どもは、内側の気持ちを読むような高度なコミュニケーションが苦手なので、仲間はずれにされたり疎外感を感じやすいこともあります。
実際に文部科学省の調査(令和2年度)では、不登校の人数が小4から急増しています。
小1:3,395人小2:5,335人小3:8,028人小4:11,108人小5:15,603人小6:19,881人※文部科学省「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
この数字からも「小4の壁」「9歳の壁」が子どもにとって大きなハードルであることがわかります。
2.2学期以降に増えるつまずきの背景
そんな「小4の壁」は、特に2学期以降に困りごととして表れやすいです。
●エネルギー切れ
新しい学年になり、1学期はなんとか頑張ってきた子が「もうがんばれない」「もう限界!」とSOSを出し始めるのが2学期です。
●学習ペースの加速
授業進度が速くなり、わからない部分が積み重なりが大きくなってきます。
高学年に向けて学習内容もさらに難しくなっていきます。
●仲間意識の強まり
友達同士のグループが固定化し、より暗黙のルールや空気を読む力が求められます。
●先生のサポート減少
高学年に向けて先生からの手厚い声かけが減り、自己管理を期待されるようになります。

周りの子達は発達が進んでグッと大人になります。
その一方で発達の特性がある子は友達や先生から注意されたり、できない自分に自信をなくしたりしてしまいます。
困りごとが小さいうちに気づき、早めに対応することが、その後の大きな困難を防ぐカギになります。
3.小4の壁で困りごとが大きくなった!相談者のエピソード
実際に小4の2学期頃から困りごとが大きくなったお子さんの事例をご紹介します。
小学4年生の男の子のママKさんから、次のようなご相談を受けました。
・学校に行きたくなくて、「行く」というから連れて行っても、学校で癇癪を起こしてしまい連れて帰ることになる
・飛び出して教室で過ごせない
・夏休み前まではがんばっていたけれど9月以降、学校に行けていない日が増えてきた
Kさんのお子さんは、保育園時代から登園しぶりが強く、医師に相談したこともありましたが「グレーだから就学時検診では言わなくていい」と言われ、そのまま様子見を続けていました。
結果として小4になって一気に困りが大きくなり、学校に行けない日が増えてしまったのです。

実際にこれまで100人以上のご家庭から相談を受けてきましたが、3、4年生で困難が大きくなるケースが非常に多いと感じています。
それはまさに、この年齢に特有の「小4歳の壁」「9歳の壁」が関係しているのです。
4.小4の壁を乗り越えるためにママができること
子どもの脳の発達を支える関わりを通じて、「小4の壁」を乗り越える力を育んでいくことができます。
「脳を発達させる」というと難しく感じるかもしれませんが、普段の親子のコミュニケーション、会話の中で伸ばしていけるんです!
この記事では2つご紹介しますね。
◆自信を貯める声かけ
脳は行動することで発達するのですが、子どもが前向きに行動するには「自信」が必要不可欠です。
学校で自信をなくしてしまいがちだからこそ、肯定的なママの声かけで自信を溜めていきましょう。
褒めることが苦手なママでもすぐにできる3つのテクニックを紹介するので、試してみてくださいね!
①興味や関心を示す
自分のやっていることにママが興味をもってもらえることは、自分の存在を肯定されていると感じられます。
「なに読んでるの?」
「もっと教えて!」
②今やっていることをそのまんま伝える実況中継
当たり前でほめにくいことも肯定しやすくなるおすすめの方法です!
「宿題やってるんだね!」
「着替えたんだね!」
③感謝する
「人の役に立てている」感じられることで自信が育まれます。
「ゴミ拾ってくれたんだね!ありがとう♡」
「お手紙出してくれて助かる!」

◆思考力を育てる会話
会話をするときには、同時にいろんな脳の領域をフル稼働させています。
「相手の言葉を聞いて→理解して→自分の気持ちを整理して→言葉にする」というプロセスをすごいスピードでやっているんです。
日常の中でこれを活用しない手はないですよね!
「なぜ、こうなるんだろうね?」
「どんなふうに思った?」
「どうしたらよかったかな?」
「どうしたら楽しくなる?」
というふうに、日常の生活の経験につなげて「なぜ?」「どうしたら?」の質問を意識してみてください。
答えはなんだってOK!
自分で考えて「こうなんじゃない?」「こうだと思う!」と言えることが大事です。
そこから思考力や判断力が育っていきます。
小4の壁とは、勉強が難しくなることや、友達関係で悩みやすくなることなど、9歳前後の子どもが直面する大きなハードルですが、子どもが成長している証でもあります。
親子のコミュニケーションで小4の壁を乗り越え、自分らしく成長していく力を授けてあげてくださいね。
軽度知的障害や境界知能の小学生が伸びるママの対応を多数配信しています。
執筆者:笹原みらい
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)