子どもの脳を発達させる環境とは?フリースクールに転校した発達グレーゾーンの息子さんの成長物語~Part2~

小学校4年時の担任の対応がきっかけで、不登校になる前に地元公立小学校をやめて得意なことを伸ばす教育方針のフリースクールに通うことにした親子。そこでの発達グレーゾーンの息子さんの変化と成長についてお話を伺いました!
 

【目次】

 

1.発達グレーゾーンの息子さんが、通ったフリースクールとは?

 
 
Part1の記事では、息子さんが小学4年生のとき、発達障害の診断がないことを理由に困りごとの対応をしてもらえなかったことから起きた親子の苦悩の日々を教えてもらいました。そして、地元公立小学校をやめる決断をしたお母さん(Iさん)に当時のことを振り返っていただきました。
 
 
Iさんのインタビュー、Part1はこちらです!
 
 
今回の記事では、地元の公立小学校をやめて得意なことを伸ばす教育方針のフリースクールに転校してから、息子さんがどのように変化していったのか…変化と成長について伺いました。
 
 
息子さんはフリースクールに転校してから、お母さんからみても生き生きと楽しく学校生活を過ごしていたそうです。
 
 
息子さんが、生き生きと変化した理由に迫ります!
 
 

ーーーどんな学校だったのでしょうか?

 
 
「デンマークの学校をモデルにしていて、自ら学ぶ、出る杭を伸ばすという教育方針の学校でした。簡単にいうと、得意なことを伸ばすフリースクールです。本人が毎日楽しく過ごしていたので親としてもとても嬉しく感じました。」
 
 

ーーーその学校にした決め手は何かあったのでしょうか?

 
 
「先生の子どもに向き合う姿勢、真剣さがあって、信頼できる関係が築けそうなところが大きかったです。」
 
 
◆ポイント解説
 
 
Iさんの息子さんの通われた学校は「自分を照らし、相手も照らし、お互いに成長する」というのが基本理念にあり、「好奇心」「探求心」「自ら成長する力」を最大限に発揮すること通じて、人生を力強く生き抜くための根幹の部分を育てようとする学校でした。
 
 
子どもは本来、好奇心旺盛です。その好奇心の芽を摘むことなく伸ばすような教育や関わりが大切だと思います。 そうすることによって、自信もつき、自分で考える力や行動する力も育っていきます。
 
 
考える力や行動する力が育ってくると、人生を力強く生き抜くための力もついてくるのです。 学校の先生が、子どもとしっかりと向きあうことのできる環境!素晴らしいと思いました。
 
 
この考え方は発達科学コミュニケーションとも共通していて、私も子どもに授けたい力 でもあります。
 
 
子どもたちには、自分の行動には効果があるという期待や自信(自己効力感)、壁にぶち当たったときに自分で何とかする力(自己学習力)を授け、人生100年時代、力強く生き抜いてほしいと願っています。
 
 

ーーー他に、別の学校を探したり見学したりしましたか?

 
 
「特にしてないです。4年生の夏休みに、その学校のサマースクールに参加して、学校見学、説明会に参加して本人が『行きたい』と決めました。」
 
 

ーーーいつからこの学校に変わったのですか?

 
 
「5年生からです。息子も納得していたので、4年生の修業式の日に『ぼくは、5年生からは、別の学校に行きますが引っ越すわけではないのでまた遊んでください』とクラスで自ら話をしたそうです。ちょっと、驚きましたが、凄いな、そんなこと言うんだと思いました。」
 
 
◆ポイント解説
 
 
それは、本当に驚きです!息子さんも、実際にサマースクールに参加して学校見学などを行う中で「ここだ!」と思ったのでしょう。
 
 
気持ちの整理ができて、5年生から行くことになった学校のことを心待ちにしていたのでしょうね。
 
 
 
 
次に、フリースクールに実際通ってみてどうだったのか、Iさん親子の気持ち変化や息子さんの成長の様子に迫ります!
 
 
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2.子どもが楽しく通える学校ってどんな学校?

 
 

ーーー実際、フリースクールに通ってみてどうでしたか?

 
 
「教育方針にあるように、苦手なことより好きなこと、得意なこと、できることを伸ばしてくれる学校、先生方でした。」
 
 

ーーーこの学校で息子さんにいい影響があったと感じたことはありますか?

 
 
「地元の小学校のときは、できないことを叱られてばかりでしたが、この学校にきて、めちゃくちゃ褒められるようになったんです。絵がうまいとか、そのほかいろいろ褒められていたみたいです。
 
あと、ギターが得意な先生がいて、その時期にギターを始めました。現在も続く好きなことのひとつです。小学生がギターを担いで電車で通ってたんですよ。
 
実は、ギターもリコーダーや鍵盤ハーモニカ同様、苦手だったのですが、楽譜より、もっぱら動画などを見て視覚をつかって弾けるようになりました。
 
そして、なによりも毎日楽しく通っていました。休みの日を残念がる程でした。最初は不思議に思いましたが、子どもの毎日はこれが普通なのではないでしょうか…。
 
楽しく過ごす毎日、見守ってくれる先生などの大人、一緒に喜び悲しめる仲間がいて、エネルギーが湧いてくるのだと思います。」
 
 
◆ポイント解説
 
 
地元の公立小学校に行かないという決断をしたIさん親子。偶然に出会った学校だったそうですが、お母さんが早めに決断されたことがお子さんの成長発達にとてもよかったのではないかと感じました。
 
 
苦手なことより好きなこと、得意なこと、できることを伸ばしてくれる学校。そして真剣に向き合ってくれる先生。
 
 
素晴らしいですね!
 
 
発達グレーゾーンの子どもは特に、失敗体験も多く、困った行動などから小さいころから叱られ続けている場合もあり、自信をなくしていることが多いです。
 
 
ましてや、小学校でできないことに注目されて毎日のように先生に叱られ続けていたらどうでしょうか?
 
 
自信をなくし、できることもできなくなっていきます。 二次障害もおこしかねません。
 
 
そんな中、Iさんの決断により、息子さんは救われたのだと思います。
 
 
好きなこと、得意なこと、できることを伸ばしていくというスタンスは、発達科学コミュニケーションとも共通しています。
 
 
親に褒められることはもちろんですが、親でない大人、先生に褒められるということは、さらなる自信にもつながり、やる気も湧いていきます。
 
 
発達に凸凹があったり、グレーゾーンの子どもたちは、苦手なこともあるかわりに、得意なこと好きなことに対する集中力が高かったり、得意なこと好きなことに思わぬ才能を発揮することもあります。
 
 
子どもとしっかりと向き合い見守り、子どもの可能性を伸ばすことが上手な大人に囲まれて過ごすことができたので、休みを残念がる程楽しく過ごせたのでしょう。
 
 
好きなことをとことん追究でき、好奇心や探求心を満たすことができる。そしてそれを支えてくれる先生や仲間がいる。
 
 
好きなことを仲間と追究する中で、失敗したり成功したり試行錯誤しながらやっていく経験。喜びや悲しみも分かち合える仲間の存在。
 
 
そんな学校が子どもたちが楽しく通える学校ではないでしょうか?
 
 
子どもが楽しく感じる環境こそが、子どもの脳を発達させるのです。
 
 
 
 
なかなか公立小学校では難しいかもしれませんが、私たち親が、今すぐにでも子どもにできることは、肯定的な注目を増やし、好きや得意を伸ばすような声かけをしていくことですね!
 
 
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3.子どもの脳を発達させる環境とは、「○○○」と感じていること ~毎日の中に楽しみ、喜び、幸せを見つけて過ごそう!~

 
 
Iさんから皆さんにメッセージをいただきました。
 
 

ーーーご自身の経験を通して今、不登校に悩む保護者の方にお伝えしたいメッセージがあればお願いします。

 
 
「当時から不登校やいじめの問題もあり、悲しいニュースを見るたびに『そんなんやったら学校なんて行かんでいい』と感じていました。
 
 
不登校を選ぶのはとても勇気のいる選択だと思います。そういう意味では、いやいや行くよりも強い意志表示だと思うのです。
 
 
また、長い人生の中で、不登校の経験がよいか悪いかなんてすぐにはわかりません。 ずっと後になって『そんな事があったね~』って笑える日が来ることを信じて、明日につながるエネルギーをチャージすることが大事だと思います。
 
 
どうやってチャージするのか… 毎日の中に楽しみ、喜び、幸せを見つけて過ごすことです!
 
 
これは不登校や子どもたちに限らず、全ての人にとって大切なことだと思います。もしかしたら、私たち大人にこれを伝えるために、この経験を共有しているのかもしれません。
 
 
発達に凸凹のある子やグレーゾーンの子などは、なかなか周りのみんなと同じようにできないこともあるかもしれません。
 
 
カギは、『好きなこと得意なことを使って、その子がやりやすい方法で学ぶ』ということです。学びに偏りがある子も勉強が嫌いなわけではありません。画一的なやり方では合わないだけです。
 
 
子どもをしっかりみつめ、『こどもが困っていることは何か?』『子どもの本当の望みは何か?』という2つのことを子どもに寄り添い、わかってあげることが大切だと思います。
 
 
私たち親が子どもの可能性、未来を信じたいですね!
 
 
◆ポイント解説
 
 
息子さんの子育て経験を通じて、いろいろな学びを自分のものにされているIさん。 Iさんは、本当に前向きでパワフルでぶれない軸をもっている方だと感じました。
 
 
子育てをしている親である私たちが、毎日の中に楽しみ、喜び、幸せを見つけて過ごすことは、子どもにもポジティブな影響を与えることになります。
 
 
そして、子どもの脳も、楽しみや喜び、幸せを感じることにより活性化し発達が加速する環境にもなります。
 
 
好きなこと得意なことを使って、その子がやりやすい方法で学ぶということは、脳科学的にみても理にかなっています。
 
 
Iさんの息子さんも、朗らかなIさんに見守られながら自分の好きなこと得意なことをとことん追求していくことで、自信を無くすことなく、現在にまでつながっていったのでしょう。
 
 
今もし、子どものおかれている環境が子どもにとってとても苦痛だったり、合わなかったり…お母さんからみてそう思うのであれば、決してそこに固執することなく、子どもが「楽しい」と思える環境を探してみてもいいのではないでしょうか?
 
 
楽しいからこそ、脳は発達するのです!
 
 
Iさんの思いが1人でも多くの方に届くことを願っています。 そして、私たちが自分たちの子どもの未来を信じていきましょう!
 
 
 
 
そうはいっても、「フリースクールで好きなことばかりやって楽しんで過ごしてばかりで、本当に将来大丈夫?」 「甘やかしているだけにならないの?」という声も聞こえてきそうですね…
 
 
「子どもには、協調性をつけさせたり、我慢することや忍耐力を鍛える経験をさせておかないと、社会に出たときに苦労するんじゃないの?」
 
 
かつての私もそう思っていました。だから皆さんの心配になる気持ちよくわかります。
 
 
そんな方のために、好きなことをとことんやりつくし楽しんだフリースクール卒業後、 Iさんの息子さんがどんな風に成長していったのかを別の記事でレポ―トしています。
 
 
気になる方は、ぜひ参考にしてくださいね。
 
 
 
 
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執筆者:愛川 まいこ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
 
 
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