我が子は発達障害ADHDタイプの小学生4年生の男の子です。休校中ずっと一緒にいると上手く対応できなくなります。褒めた方がいいのかもしれませんが、勉強もしないで良いところがありません。それでも褒めたら甘やかしになるのでは?と思い困惑しています。どう褒めたら良いでしょうか?
10歳・男の子のママ
褒め方について困っているお母さんの声よくいただきます。長い休校中、ずっと親子二人きりだと褒める対応が難しくなりますよね。4年生だと褒めても響かないときもあります。良好な親子関係を築くために、甘やかしにならない褒め方のコツをお伝えしますね!
発達科学コミュニケーション
リサーチャー 安達若菜
【目次】
1.発達障害ADHDタイプの子どもと親子二人きりで過ごすときの注意点
2.褒めるのが難しいときにお母さんに知ってもらいたいこと3つ
①上下関係になっていませんか?親子は対等です
②頑張っているところを探している?
③今できていることは当たり前じゃない
3.褒めなくても良好な親子関係を構築できる対応のコツ
1.発達障害ADHDタイプの子どもと親子二人きりで過ごすときの注意点
私の息子は一人っ子で中学生。かなり手は離れ、親子関係は良好です。息子さんの年齢だと、まだ親子の距離が近いですよね。休校中の過ごし方には工夫がいると思います。
息子は発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプの特性を持っています。小学校4年生のときは、楽しいことを思いきり楽しめる、やんちゃな元気っ子でした。一緒の時間を満喫したいところですが……当時の私は注意してばかりでした。
興味を向ける対象がコロコロ変わるたび、やりっ放し出しっ放しの息子。食べたお皿はそのままで、習い事帰りの濡れたプールバックはずっと玄関。学校の宿題は途中でやめたままテーブルに放置…注意や指示ばかりの日々は、ピリピリした関係でした。
このように片付けや宿題など、やるべきことが終えられないのは、集中力が短いという特性です。親に注意され、その場は分かった!と返事をしてもすぐに忘れてしまいます。本人に悪気はなくて、ADHD特有の不注意のためです。
まだ4年生、叱って注意し続けるよりも仲良しの時間を増やしたいですよね。思春期前の今のうちに褒め方のコツを知って、親子関係を良好にしておくことをオススメします!
2.褒めるのが難しいときにお母さんに知ってもらいたいこと3つ
親子関係は大事ですが、褒めることが難しいことも分かります!私も褒め方が分からない時期があったので…。私は決意して意識を変えていった経験があります。
まず大事なことは、子育ての目標をはっきりさせることです。うちの場合は、私たちに何かあっても困らないよう息子を独り立ちさせること。そのために取り組んだ方法をお伝えしていきますね。
◆①上下関係になっていませんか?親子は対等です
親として良かれと思って、息子の不適切な行動に注目し、注意し叱っていました。でもこれはよろしくないと、褒めることにしました。でも私には、褒めることにより子どもを操作したいという意識がありました。想い通りにならないことを受け入れられず、私は感情的に怒っていました。
子どもの行動に対して、褒めたり感情的になったりと、その場限りの目先の対応をすると、心に余裕がなくなります。子育てを楽しめません。そんな私は夜、一人反省会を繰り返していましたが、それも飽き飽きでした。
私は自立を促す、という子育ての目標を意識して、考え方そのものを変えました。
まず私は自分を認めました。親の方が子どもより優れていて、息子は私より劣っている、と信じていることを。子どもは生まれてから毎日成長しています。子どものおかげで学べていることはキリが無いほど沢山あります。
小学生に入ったらもう、基本的には私と同じだけの能力を持っているんです。親が偉いという意識で、上の立場から叱ったり、我が子を変えようと操作することをやめました。子どもとは対等の関係でいようと決めました。
◆②頑張っているところを探している?
褒められなかった当時、私は自分の価値観で、偉い・すごいと思えるところをジャッジしていました。私自身が目上の人や上司などからの評価を気にして生きてきたことから、常に認めてもらえるために頑張ってきたところがあります。
その価値観のまま子育てをしていたので、親のいうことを聞かないと褒められないし、最後まで宿題や習い事に取り組んでいないと褒められませんでした。
自分なりに頑張っても、思う通りに評価を得られるわけではなく、求めてもきりがありません。それでも常に頑張っているべきと思い込んでいました。そうではなくて息子には、人からの評価を求めるのではなく自分で自分を認められるように育てたいと思いました。
特別に頑張っていなくても、我が子は存在しているだけで価値があります。できていないところを無理に直そうとせず、そのままで、とってもピュアな優しい子。私は息子の良いところを沢山見つけるプロになろうと決めました。
◆③今できていることは当たり前じゃない
テストの得点や合格といった結果でなく、良いところ探しをしました。すると日常生活、全般にたくさんありました。普段の何気ない行動は全て、小さい頃から練習してできるようになったものばかりだったからです。
着替えも、ノートに字を書くことも、お箸で食事をすることも。できて当たり前のことは何一つありませんでした。
最後までやり遂げたという結果にフォーカスしているから我が子を減点してしまっていたのです。
3.褒めなくても良好な親子関係を構築できる対応のコツ
そこで私は、ここまで取り組んだというプロセスに注目しました。宿題だったら「ここまで書いたんだね」「宿題しようと用意しているんだね!」というように。
日常の目立たない些細なことにフォーカスする癖ができたら、どんどん見つかります!でも当時、息子は4年生。本人にとっては、当たり前にできていると思っているので「すごいね〜!偉いねー!」などと言っても、4年生には響きません。
宿題の声かけと同様に、見たままを伝えました。料理が苦手な私の夕飯を、美味しいって言ってくれたこと・残さず食べてくれたこと・スイミングスクールに行って無事に帰ってきたこと。そのまま注目しました。
このように特別に褒めなくても肯定的な声かけを増やすことで、親子関係はぐんぐん良くなります。何より息子が、私のことを肯定してくれるようになったのです。
「ママ、重い荷物持って帰ってきたんだね。」「栄養考えてくれているんだね」などと、私に声かけしてくれました。こうなるともう、お互いに「ありがとう」言いまくりの良い関係になりました。
水着や濡れたタオルが入ったプールバッグや、他の後片付けなど、注意せずいることは甘やかしではありません。我が子の自立を促すために、対応の順番があったのです。
まずは良いところを見つけるくせを身につけ、親子の関係性を築いてから、息子へ指示をします。言うことを聞かせようと言う気持ちでなく、私からのお願いというスタンスで伝えるので、スムーズに息子に伝わりました。
不注意でコロっと忘れてしまっても軽く一言だけ伝えます。支配・コントロールする相手ではないので、無理やり強制的に動かしません。こうして良好な親子関係を優先することで、思春期に近づいてもこじれずに、息子への困りごとは特に無くなりました!
このように小学校4年から高学年にかけて、関わり方を変えていくことをお勧めします!子どもと近い距離で関われる今を、親子で楽しんでくださいね。応援しています!
執筆者:秋村若菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)