発達障害の子どもは超不器用!どうしてそんな風になるの?と突っ込みどころ満載の毎日を送っているお母さんへ朗報です。練習させたいと思ってもなかなかうまくいかない手先のトレーニングにお困りなら、毎日のおやつタイムを活用するのがおすすめです! |
【目次】
1.イライラの連続!発達障害の息子の不器用伝説
2.発達障害の子どもはどうして不器用なのか?
3.何とかしたい。でもトレーニングがうまくいかない理由
4.ポテトチップス最高!おやつタイムが手先のトレーニングになる
1.イライラの連続!発達障害の息子の不器用伝説
発達障害の子どもは不器用な子が多い、と言われますよね。あなたのお子さんはいかがですか?
私の息子は現在小学校1年生。年少さんのときに発達障害・自閉症スペクトラムの診断を受けました。
息子は本当に不器用!私から見ると「なんでそうなるの!?」「え!?そうやるの!?」の連続です。
幼稚園の年少さんの1年は、はさみもクレヨンもうまく使いこなせなかったため、幼稚園の工作は先生がつきっきりになって教えてくださっていたほど。
ボタンのつけかた
靴の履き方
消しゴムの使い方
コップの持ち方
今でも、できていないわけではないけれど、やり方が効率的ではないし、なんか変なのです。息子には申し訳ないのですが、「どんくさい」という表現がぴったり。
何とか不器用を卒業させたい!と思って、作業療法を受けたり、家でもさまざまなトレーニングを重ねてきましたが、なかなかうまくいきませんでした。
今でも不器用な息子ですが、日常生活を送るのに必要な作業は問題なくできるようになりました。
不器用なお子さんを何とかしたい!と思っているお母さんがぶち当たる壁が、
・子どもが嫌がってトレーニングしない
・お母さんが忙しくてついついトレーニングを忘れてしまう
という2つではないでしょうか。
今回は、この2つをまるっとクリアして、「子どもが楽しく毎日できる」手先のトレーニングをご紹介したいと思います。
トレーニングの効果を格段に高める秘密が、親子のコミュニケーションです。トレーニングを始める前に必ずお読みくださいね!
まず最初に、発達障害の子どもはどうして不器用なのか?について解説していきますね。
2.発達障害の子どもはどうして不器用なのか?
発達障害の子どもが不器用なのはどうしてだと思いますか?
「不器用=手先の動き」ですから、手先があまり動いていなかったり、効率的に動かせてなかったりすることが考えられますね。
こうした手そのものの動きに加えて、ポイントになるのが「目」。見る力です。
例えば、不器用ではさみで紙をうまく切れない場合について考えてみましょう。
はさみの持ち方、はさみを紙にそわせる角度、切るためにはさみを握り込む動きや力は手の動きが課題になりますね。
一方で、紙のどのあたりを切るのか、どのように切るのかは目で見て判断、プランを立てます。
つまり、
・目で見てどれぐらいの大きさのどんな形をどう切るかを決める
・手を動かしてはさみを操作する
・はさみがプラン通りに動いているか、目で見て判断する
・プラン通りに行っていない場合は、手を動かして修正する
こうして、目で見る力と手を動かす力がうまく連携して初めて、「はさみで思った通りの形に切る」という動作が完成します。
このように、目と手が連携する動きは、発達支援でとても重要。世界的に利用されている発達検査の1つ、ウェクスラー式知能検査でも「処理速度」として数値化されるぐらい重要な項目なんです。
どうしてそんなに重要なのか?人が生活するうえで目と手が連携する動作が非常に多いからです。
はさみで紙を切るだけではなく、
・包丁でニンジンを切る
・お皿を洗う
・洗濯を干す
・汚れをふき取る
・ボタンをつける
などの日常生活にかかわる動作は、「不器用だな」という印象に直結します。
きちんと見ていない為に、手の動かし方が適切でない。
きちんと見ているのに、手がうまく動かない。
など、「不器用」は、見ること・動かすことのどちらにも課題がある可能性があるのです。
また、日常生活の動きだけでなく、
・黒板を見てノートに写す
・本を読みながらアンダーラインを引く
・間違えた部分を消しゴムで消す
などの学習にかかわる動作にも、目と手が連携する動きが非常に多いのです。
答えが分かっているのに書くのが遅かったり、文字が汚かったりすると、子どもがいらいらする原因になります。学習意欲が低下する可能性もあるのです。
3.何とかしたい。でもトレーニングがうまくいかない理由
前項で解説したように、不器用は目と手の連携がうまくいっていないことによって起こります。また、日常生活にも学習面にも影響がとても大きいということをお伝えしました。
一方で、お母さんがおうちで一番支援しているのがこの「目と手の連携」でもあります。
「うわ!うちの子ボタンがつけられないのか…練習させないと」
「あ、もうお友達は靴紐を結べるのね。うちもやらないと…」
こんな風に、「ザ・手先の練習」のようなことお母さんがおうちで教えるのはごく自然なことですよね。
そのほかにも、
「あ!テーブル汚しちゃったの?自分で拭ける?」
「ちょっとお風呂掃除してくれたらうれしいんだけど…」
⇒汚れを見ながら(目)、ふき取る(手)
「おかわりは自分でよそってね」
⇒しゃもじに載せたご飯が落ちないように確認しながら(目)、茶碗によそう(手)
など、お手伝いや身の回りのことをお子さんにやってもらうことで、自然と目と手の連携のトレーニングになっているのです。
そう考えると、「あれ?うちの子結構いろいろやってるかも?」と思える方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、なかなかうまくできないという方もいますよね。
子どもが本当に不器用で、練習させようとしても嫌がってしまう。
お母さんもお子さんも忙しくて、時間がない。
自分でやったほうが早いしイライラしないから、とお母さんが全部やってしまう。
お気持ち、すごくよくわかります。
そもそも子どもが苦手なことをさせようとしているのですから、子どもが嫌がって当たり前ですし、苦手なことだから成果も上がりにくいですよね。
お母さんたちはみなさんとても真面目なので、「嫌がっているけど、できるようになるにはやらせないといけない」 と必死になっていたり、「本当は毎日やったほうがいいんだろうな…」 と罪悪感を抱いたりしていませんか?
確かに、目と手の連携は「見る練習」「動かす練習」ですから、練習を繰り返すことによってどんどん上手になっていきます。
ただし、お母さんがイライラしながら教えるのは逆効果!そして子ども自身がイヤイヤ取り組むのも絶対にNG!
「これは楽しいぞ!」と思えると、何度もやりたくなるので繰り返し練習がどんどん進み早く定着するのです。
手先のトレーニングなんて修行みたいで楽しくないでしょ?
子どもが喜んで毎日やるなんて、夢のまた夢…
と思っているお母さんに、おすすめの方法をご紹介します。
4.ポテトチップス最高!おやつタイムが手先のトレーニングになる
子どもが楽しい!と毎日喜んでやる手先のトレーニング。それはおやつタイムを活用することです。
子どもたちの大好きなおやつタイムをちょっと工夫するだけで、さまざまな手先のトレーングタイムにできるのです。
もしも今、おやつはお母さんがお皿に出してサーブしているのなら、ぜひこちらの方法にチェンジしましょう!
今日は子どもも大人も大好きなおやつの大定番、ポテトチップスを活用したトレーニングをご紹介しますね。
◆①子どもに袋を開けてもらう
まずは超簡単!お母さんが袋を開けるのではなく、お子さんに開けてもらうのです。
最近の商品は何でもユニバーサルデザインが進んでいて、子どもでも老人でも小さな力で開けられる工夫があります。ポテトチップスなら、開け口がついていたり、切り込みが入っていたりする商品がありますよね。
「どこから開けたらいいのかな?」と袋を動かしながら(手)、開け口を探す(目)。この段階ですでに目と手の連携が始まっています。
ポテトチップスの袋を開ける動作自体も、袋を見ながら(目)、手を動かす(手)。目と手の連携のトレーニングなんですよ!
もしも開けづらそうなら、お母さんが全部開けるのではなく、少し開けるだけにして残りは子どもが開けるようにするだけでも効果があります。
◆②はさみで開ける
はさみの使い方を学ぶとき、通常は紙に書かれた線や絵にそって切りますよね。そういった練習に興味がなく、はさみの練習が進んでいないお子さんにおすすめなのが、袋をはさみで切って開ける作業です。
ポテトチップスをはさみで開封する場合、中身をつぶさない力で袋を持ち、まっすぐ一直線になるようにはさみで切っていかなければなりません。意外と難しいんですよ!
また、ポテトチップスのいい点は、さまざまな商品が販売されていて、大きさも異なる点です。
最初は小さな袋から。慣れてきたらファミリーパックで。お子さんに合わせて選ぶことができます。
◆③洗濯ばさみでとめる
楽しいおやつタイムですが、お母さんにはここからさらなる工夫をしてほしいんです。
ポテトチップスを食べきってしまうのではなく、少し残して保存するようにしましょう。
「お父さんが帰ってきたらあげようよ!」など、ポジティブな理由を話すといいですね。
本当にお父さんにあげるかどうかは、正直どっちでもかまいません(笑)大事なのは、手先のトレーニングのチャンスとバリエーションを増やすこと!
ポテトチップスをくるくるまとめて、洗濯ばさみでとめる。これも目と手の連携です。しかも、洗濯ばさみの使い方も習得できます。
最初は丸めるだけ、洗濯ばさみで留めるだけ、と1つずつ工程を分けるのもおすすめです。
洗濯ばさみを使うためには、指の力が必要になります。療育のプログラムでも洗濯ばさみは頻繁に登場するんですよ!
◆④輪ゴムでとめる
洗濯ばさみよりも難しいのが、輪ゴムでとめる作業です。
輪ゴムを二重三重まきつける動作、うちの息子もまだまだ練習中です。
輪ゴムを袋にひっかける⇒伸ばしてねじってまたひっかける。未体験の動作なので要領を得るのに時間がかかりますが、指の複雑な動き、手首の返しなどを学べるのは輪ゴムならではです。
◆⑤ジップロックを閉める
巨大サイズのポテトチップスには商品自体にジップロックがついていて、保存を前提にして販売されています。
ジップロックを閉める作業も、目と手の連携になります。ちゃんと閉まったか、どこまで作業が進んでいるのか目で確認しながら、手でプチプチ閉めていきます。
作業としては洗濯ばさみや輪ゴムに比べると、じっくり進める作業になります。「じっくり時間をかけて見る」というのは、発達障害の子どもたちにとって苦手分野。嫌がらないのであればぜひチャレンジしていただきたいです!
いかがでしたか?
不器用な発達障害の子どもが楽しく続けられる、おやつタイムを活用した手先のトレーニングをご紹介しました。
・しっかり見る
・いろいろな手の動きを学ぶ
というのが目的ですので、「できる・できない」はひとまず置いておいて、取り組むこと自体をほめてあげてくださいね。
今回はポテトチップスでご紹介しましたが、お子さんの好きなお菓子でぜひお試しください。まずは自分で開けるところから始めましょう!
執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)