
4歳の子どもがテレビばかり見ていて、なかなかやめられません。コミュニケーションの苦手さがあるのでとても気になっています。テレビをやめさせようとすると癇癪を起こしたりするのですが、どのように対応したら良いでしょうか。
4歳・女の子のママ

子どもがテレビばかり見ていると困りますよね。うちの子どももテレビがなかなかやめられないタイプです。でも、親の考え方を少し変えて工夫するとコミュニケーションに生かせるようになり、親子関係も良い方向になったので、ご紹介させていただきます。
発達科学コミュニケーション
リサーチャー 三島希実
【目次】
1.発達障害の子どもがテレビばかり…やめさせようとして対立していませんか?
発達障害のお子さんがテレビばかり見ていると、親としては心配になってやめさせたくなりますよね。
うちの幼児の子どももかなりのテレビっ子なので、この問題は非常に頭を悩ませます。
以前は、テレビは1日何本まで、ご飯のときは見ない、などのルールを決めてなんとか見る時間を減らそうと努力していました。
でも、はやり子どもは見ようとするので、毎日のように「もう約束の本数以上見てるよ!」「ご飯のときは見ないって言ったでしょ」などと言ってしまいます。

それをきっかけに子どもは癇癪を起こす…という悪循環のコミュニケーションでした。
また、制限されればされるほど、子どもはますます見ることに執着していくような感じがあり、どうしたら良いものかと思っていました。
2.まず大事なのは、子どもとの関係を良くすること
テレビ問題に解決の糸口を見い出せない中、コロナ感染予防のための自粛期間に入りました。
外に出られず、人にも会えない。いつもと違う生活に、子どものストレスは日に日に増加していることが感じられました。
また、私も体調を崩してしまい、子どもに一日中対応し続けることに体力的な限界を感じていました。
そこで私は自粛期間早々テレビの制限を一切なくし、「テレビ見ていい?」と言われば常に「いいよ!」と言うことにしました。
すると当たり前ですが、毎朝大好きな番組を見ることから始まり、ほぼ一日中録画した子ども番組がついている状況になりました。
でも、実際にそのような状況が続くと、本当に一日中テレビを見ているわけではなかったのです。
うちの子の場合は、テレビで見たものを工作のネタにして、自分で作ることに没頭する時間が結構長いことが分かりました。
工作に没頭しているときはテレビがついていても見ていないのですが、あえてつけたまま放っておくことにしました。
そういう日がしばらく続いた後、私が「ニュース見てもいい?」と聞くと以前は「ダメ」だったのに、次第に快く「いいよ」と言う日も出てくるようになったのです。

私がテレビを見ることを制限しないことで子どもとの対立がなくなり、子どものテレビへの執着が減ったことを感じました。
テレビのルールを設けていたときは、私もルールを守れないことにどうしてもイライラして、子どもを叱ったりしてしまうことがありました。
ですが、それがなくなったことでストレスも減り、子どもと良いコミュニケーションが取れるようになったのです。
3.テレビは親子のコミュニケーションを促し、脳の発達にも生かせます!
そもそも、わたしたち親は、なぜテレビを制限したいのでしょうか。
・長時間の視聴で目が悪くなる
・宿題その他やるべきことをやる時間が少なくなる
・内容的に見せたくない番組がある
・テレビを見るのは受け身の活動なので、より自分でやる活動をしてほしい
というような理由が考えられるでしょう。
発達障害のお子さんの年齢や、各々の家庭により理由は異なるでしょうから、まずは親にとって制限する理由を再度確認しましょう。
そして、その心配をクリアできる方法があるなら、テレビをできるだけ制限しない方が、かえって発達障害のお子さんのテレビへのとらわれが減る可能性があります。
うちの場合は、
・長時間の視聴で目が悪くなる
・テレビを見るのは受け身の活動なので、より自分でやる活動をしてほしい
という心配がメインでした。
視力の低下が心配でしたし、特に幼児の間はテレビを見るという受動的な活動よりも能動的な遊びをしてほしい、と考えていました。
そこで、テレビを見ることを制限しない代わりに、見るときの姿勢やテレビからの距離については都度声かけをするというコミュニケーションを取りました。
また、より能動的な活動については、大好きな工作がはかどるように工作番組や少し知識が増えそうな番組を薦めるようにしました。
工作のネタにする場合のように、テレビを見るという受け身な活動が自分でやる活動につながっている場合、子どもの脳の発達の面から見てもメリットがあると言えます。
工作でなくても、見たテレビ番組について質問して、内容や好きな理由などを話してもらうと自分でやる活動につながることになります。
テレビを見るという受け身の活動が、アウトプットの力=理解して伝える力とコミュニケーション能力を鍛えることに生かせるのです。
特に自粛期間中は、外にも出られず家族以外の人に会えない、という非常に刺激が少ない状況になったので、テレビの情報を発達障害の子の脳の発達に生かせたのではないかと感じています。
実際、テレビは大好きな工作のアイデアをくれるもの、というだけではありませんでした。
私が見ているニュース番組でも子どもに興味深い映像があったようで、「今のどういうこと?」「これすごいねー」などと話しかけてくることもありました。
それが、親子のコミュニケーションのきっかけにもなったのです。
また、録画した番組を暇つぶしに何度も見るような見方をすることがあったので、そのようなときはなるべく別の遊びに誘うというコミュニケーションをとりました。

このようにテレビの見すぎへの対応として、まずは親子の対立をなくすこと。そして、子どものデメリットを最小にし、脳の発達に生かせる工夫をすることだといえます。
特に、発達障害やグレーゾーンの子は、集団生活になじみにくく集団からの刺激をもらいにくかったり、もともと興味の対象が狭かったりするという特性があります。
そのような特性を考えれば、家にいて見るだけで様々な情報を与えてくれるテレビをうまく活用するのも一案ですね。
いかかがでしたか?
発達障害の子どもに「テレビばかり見て!」と禁止の声がけで言いきかせようとするのではなく、上手なテレビとの付き合い方についてもう一度考え、発達障害の子の子育てに生かせるよう工夫をしていきましょう!
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執筆者:三島希実
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)