辛さに納得!ギフテッドに特徴的な過度激動(OE)対応のコツとは?   

ギフテッドの特徴である過度激動(OE)について我が子の育児で経験したことを解説します。ギフテッドの診断がなくても過度激動による子どもの辛さを理解できるとお母さんの気持ちも楽になりますよ。ママにしてほしい対応はたったひとつ共感することです。

【目次】

1.ギフテッドの子育てはヘトヘト?!

 
 
我が家には、ギフテッド傾向のある中学1年生の男の子がいます。
 
 
幼少期から、よく泣く、よく笑う、よく動き回る、よく遊ぶ、よく熱中するというような子どもでした。
 
 
これは、よくある子どもらしさとはちょっと違うような気がしていました。子育てをする私も主人もおばあちゃんも、息子と遊ぶと息子の有り余るエネルギーでヘトヘトになる…そんな感じです。
 
 
常に何か楽しいことを追い求め、「楽しいことはずーっと一緒にやって欲しい」という気持ちを表現してきていました。一人遊びをしていてもすぐに「見てみて!」と呼ばれ、その様子を見守っていなくてはいけませんでした。
 
 
外へ出かけると、私の手をふりほどきどんどん走って行ってしまう。一人でいなくなるのではなく、必ず先へ行って私を待ち、「お母さん早く来て!」と急かしてくるのです。
 
 
 
 
ギフテッドの子どもの特徴として、過度激動(OE:Overexcitability)と呼ばれる性質があります。息子と遊び疲れるのは、この過度激動が原因だったのです。
 
 
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2.ギフテッドに特徴的な過度激動(OE)とは

 
 
「ギフテッド」と聞くと、とても知能が高くて飛び級するような、なんでもできる天才!などと思う人が多いかもしれませんが
 
 
本来、ギフテッドとは『知性、創造性、芸術、リーダシップ、あるいは特定の学術分野において高い潜在性能力を示し、また、そうした能力をフルに開発するには通常の学校教育にはない支援や活動を必要とする子ども、生徒、若者を意味する』と定義されています。
 
 
海外では、IQが高い子ども(概ねIQ130以上)がギフテッドとされ、それだけを入学基準にする学校やプログラムがあるんです。
 
 
ギフテッドの子どもたちは、IQが高いことで知的な側面が大いに発達するだけでなく、外部からの感覚情報にも強く反応してしまいます。多くの人が自然に受け入れることができる物事に過剰に反応してしまう。
 
 
これがギフテッドに特徴的なOE:Overexcitability(過度激動)と呼ばれるものです。過興奮性と呼ばれることもあり、過度激動には5種類あります。
 
 

◆①知性OE〜鋭い探究力

 
 
好奇心が旺盛で、知りたいこと、興味を持ったことに関して、猛烈に調べて考えていきます。周りの大人を質問責めにしたり、学校で先生の話についつい入っていってしまい、授業の進行を妨げているとみられてしまったりします。
 
 
そのため学校に楽しみを見出せず、不登校になるケースもあります。
 
 

◆②精神運動性OE〜頭の回転の早さ

 
 
エネルギーがあり余っていて、「落ち着きがなく頭の回転が速い」印象を与えます。息子も、お喋りのスピードがものすごく早く、話の展開に私たち両親はついていけないことが多々あります。
 
 
また、何か楽しい考えことをしていたり、いいアイデアを思いついているとき、ワクワクして体の動きが止まらなくなり、家中を歩き回っていることもあります。
 
 

◆③知覚性OE〜鋭く反応する感覚

 
 
五感の感受性が鋭いので、衣服のタグがあるとチクチクして服が着られない、日常の光が眩しい、教室やショッピングモールなどのザワザワした場所では色んな音が聞こえすぎて疲れるなどの辛さがあります。
 
 
味覚の感覚も鋭く、食べられない物が多くて偏食になるということもあります。発達障害の感覚過敏と同様の困りごとですね。
 
 

◆④感情性OE〜深い感情移入、高い共感力

 
 
喜怒哀楽などの感情全てが「激しい」です。息子は幼い頃から子ども向け番組に出てくるキャラクターやサンタさんなどに恐怖を感じて、ディズニーランドで「帰りたい!」と号泣していました。
 
 
また、切ない曲を聞いて「悲しいよ〜」としくしく泣き続ける、楽しいときはゲラゲラ笑いい転げてピョンピョン動き回るなど、確かに感情が「激しい」と思うことがよくありました。
 
 
 
 

◆⑤想像性のOE〜強い想像力

 
 
想像力が豊かで色んなことのイメージを頭の中で作り出すことができます。そのため、空想の世界に入り込んでしまい学校の授業を聞けなかったりすることがあります。
 
 
つまらない授業よりも、自分の考える世界の方が刺激的でいいのです。息子も、空想の出来事を現実であったことのように話してくることがあります。
 
 
これらのOEは脳の特性なので決して努力でなんとか我慢するなどという対処はできません。心地いい感覚だけであれば良いですが、苦しい感覚を人一倍受け取ってしまうと想像すると、とても辛いのだなと思います。
 
 

3.周囲に理解されないギフテッドの辛さ・苦しみ

 
 
息子は、慣れた場所で過ごすときは落ち着いて遊ぶことができるものの、幼稚園や児童館などたくさんの人がいる場所では楽しそうにしてはいるのに、すぐに熱を出したり、ひどい夜泣きをしたりすることが多くなっていきました。
 
 
私が想像するよりもたくさんの量の感覚情報を受け取り、疲れてしまっていたのだと思います。最初は「この子は体が弱いのかな」程度にしか考えていませんでした。
 
 
また、怖い物への恐怖心があまりに強すぎたり、不安が大きく泣き叫ぶことが多かった頃、息子の気持ちがある程度わかるものの、共感するということが私にはできていませんでした。
 
 
日々、息子の活動に付き合うことでヘトヘトだったため、息子に家以外の場所で過ごしてきて欲しい、学校にもしっかり行けるようになって欲しい、集団生活にどんどん慣れて欲しいという気持ちが強かったのかもしれません。
 
 
「サンタさんが怖かったら幼稚園のクリスマス会に出られないよ」
 
「夜の幼稚園が怖かったらお泊まり会に参加できないよ」
 
「先生に叱られるのが怖いならちゃんとやればいいんだよ」
 
 
などと、今考えると息子の気持ちに全く寄り添っていない言葉をかけていたような気がします。
 
 
息子は、小学校中学年に入った頃から、自分の気持ちと周りの子達が感じている気持ちが違うのではないかと思い悩むことが増えていきました。
 
 
 
 
ギフテッドの子ども達は、大きくなっていくと他者と自分との違いに気づいていきます。それまでにその違いをポジティブに捉えられるようなコミュニケーションが必要です。
 
 
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4.1番してほしいのは辛い子どもの気持ちに共感すること

 
 
様々な困りごとが、過度激動というギフテッドの特徴に当てはまるとわかった今では、なるべく息子が感じている感覚や考え方を受け止めるようにしています。
 
 
普通の家庭では、その行動ちょっとダメなんじゃない?と思われるようなことでも否定はしないようにしています。
 
 
ワクワクするひらめきがあり、思わずウズウズして家の中を落ち着きなく歩き回っているときは、
 
 
「何かいいこと思いついたんだね〜ちょっと教えてくれる?」
 
「動きながら考えたりすると脳の活動にもいいんだってね!」と。
 
 
テレビ番組でハラハラする場面を見ていて、そのハラハラ加減に耐えきれなくて自分の部屋へ逃げて行ってしまったら、
 
 
「ハラハラして緊張しちゃうよね!」
 
「見てるのが耐えられなかったのかな?場面の雰囲気をよく感じているね〜」と。
 
 
ニュースで暴力や死についての話題に触れて、死ぬことが怖くなってしまい深く思い悩んでしまったときは、
 
 
「死ぬのって怖いよね。お母さんも怖いし、小さい頃同じように怖くて眠れないことがあったよ。」
 
「お父さんお母さんが側にいるから、君の怖い気持ちを分けっこしよう。」
 
 
などと、孤独感をなるべく感じさせないように、「あなたの気持ちを理解しようと頑張っているよ」というメッセージを伝えるようにしています。
 
 
ギフテッドの過度激動は脳の特性なので、完全に消えることはありません。
 
 
しかし、「自分は他の人と違うところが多いけど味方をしてくれる人がいる!」と感じることで、自己否定することが減り、穏やかに生活することができるようになっていきました。
 
 
また、過度激動はネガティブなことばかりではなく、他の子にはない力を発揮できるようになるとその子の得意につながります。
 
 
もしかして、これってギフテッドの過度激動なのかな?と悩んでいるお母さんがいたら、日々大変だと思いますが、周囲に理解されずに一番苦しい思いをしているのはギフテッドの子ども達です。
 
 
ギフテッドの子どもを理解し、ママが苦しい思いを受け止めて、その子の知性をや感性を伸ばしてあげるように対応していくことで子どもが穏やかになり、日常も楽になっていきます!
 
 
 
 
どうか、子どもの行動の理由を探してあげるようにしてくださいね。
 
 
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執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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