小学1年の息子は、力加減ができないようです。本人は悪気はないのですが、お友達や下の子と遊んでいると、力が入りすぎて転ばせてしまい、泣かせてしまうことがあります。発達障害があるので特性が関係してしているのでしょうか?改善方法は、何かありませんか?
小1・男の子のママ
力加減は、お母さんが口で説明してもお子さんになかなか伝わりにくく、身につけることが難しいですよね。我が家の長男も以前は力加減ができないことで私も困っていました。ですので、相談者さんのお気持ちがよく分かります。改善策をお伝えします!
発達科学コミュニケーション
リサーチャー 高嶋ともこ
【目次】
1.力加減ができない発達障害の長男に悩んだ日々
2.どうしてそんなに力が強いの?力加減ができないワケ
3.力加減をコントロールできるようになる工夫
①使いやすい物を選ぶ
②皮膚感覚を刺激する遊び
③料理
④親子のスキンシップ
1.力加減ができない発達障害の長男に悩んだ日々
我が家の小5の長男は、発達障害があり、注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向があります。
最近は、だいぶ落ち着いていますが、低学年まではパワーが溢れている元気いっぱいな子でした。
相談者さんのお子さんのように力加減の調整ができず、私も困っていました。
息子がお友達や弟との関わりでは、次のようなことが以前はよくありました。
・軽く叩いたつもりが、勢いがよく強く叩いてしまう
・遊んで絡んでいるときに、パワーがありすぎて、相手を転ばせてしまう
本人は決して悪気はないのですが、結果相手を泣かせてしまったり、喧嘩になってしまったりすることも。
相手に影響することなので、私は叱っていました。
力の強さについて口で説明すると、息子はその場でわかります。しかし、すぐに忘れてしまうのです。
私は、「人に触るときは、優しく、そっと触るんだよ!」と説明して、本人の肩を軽くトントンとする見本をして、息子が同じようにできるように練習させました。
練習ではできるものの、実際の人と関わりの中では、テンションが高くなっていることもあり、力加減をコントロールすることができなかったんです。
本人は、お友達や弟と関わりたいという気持ちはあるのですが、上手く付き合えないので本人も私も辛い思いをしました。
また、物に対しても同じように、力加減ができないので、
・物を乱暴に扱い壊す
・消しゴムを使うときは、力が入りすぎて紙がぐちゃっとなる
・おにぎりを食べるときは、力が入りすぎてボロボロになる
ということがありました。
私は、息子に力加減をなんとか理解させようとしていました。しかし、何度教えても変わらないので、イライラして叱ってしまうことも…
どうやって力加減の調整を身につけさせれば良いのか困りはてていました。
2.どうしてそんなに力が強いの?力加減ができないワケ
大人から考えると、どうして力加減ができないの?と疑問を持ってしまうかもしれません。
力加減の調整が苦手なお子さんは、運動の機能が未熟なため微妙な力加減が難しいのです。
指、手、手首、腕、肩などを動かす微妙な力加減をコントロールする能力が未熟なのです。
そして、外遊びが少なく、ゲームのように指先しか使わない遊びばかりしていると、使う感覚器が限られてしまいます。
結果、皮膚を刺激したときに生じる感覚である皮膚感覚が上手く育っていないこともあります。
また、発達障害の特性が関係していることもあります。
例えば、息子は、大好きな弟と遊びたいとの思いが強く衝動的に絡みにいき、結果パワーが強くなり、弟を転ばせてしまうことがあります。
この場合、ADHDの特性である衝動性が関わっています。
力加減がわからないのは、本人が悪いワケではなく、発達が未熟なところや発達障害の特性があるからなんです。
叱ったりすることで、力加減がわかるようにはなりません。未熟な部分を大人が一緒に鍛えて伸ばしていきましょう。
3.力加減をコントロールできるようになる工夫
お子さんが力加減をコントロールするためには、未熟な部分を鍛えていきましょう。
鍛えると言っても、大それたことではありません。生活と遊びの中でちょっとした工夫で鍛えていくことができます。
◆①使いやすい物を選ぶ
力加減ができないことを改善する前に、大人の工夫で解決できることもあります。例えば、子どもに合った使いやすい物を選ぶことです。
例えば、文房具です。息子は、子ども用の消しやすい消しゴムを選んで使っています。そのおかげで徐々に綺麗に消せるようになりました。
また、鉛筆の場合、筆圧が弱い子は、4Bや6Bの芯が柔らかい鉛筆がおすすめです。三角鉛筆が持ちやすく、書きやすいです。
◆②皮膚感覚を刺激する遊び
力加減をコントロールするためには、皮膚感覚を育てていく必要があります。そのためには、いろいろなものを素手で触ってみてください。
我が家では、粘土、スライム作り、砂遊び、水遊びなどをしました。様々な触り心地のものを触ることで、皮膚感覚が育っていきます。
特に、息子は粘土が好きです。低年齢のときは、口に入れても大丈夫な食品で作られた粘土を選びました。最近では、お米や野菜、寒天を材料にした粘土があります。
家で、子どもと一緒に小麦粘土を作ることも楽しいですよね。
ゴムのようによーく伸びる粘土も子どもは大好きです。触り心地が気持ち良いようで、ずっと触っています。
◆③手を使う料理
料理でも、手の感覚を刺激しながら作るものがたくさんあります。例えば、お米研ぎ。お米研ぎなら、小さなお子さんでもできますよね。
他にも、おにぎり作り、白玉作り、パン・ピザ・うどん作りなどがおすすめです。手の平全体を使うことによって、刺激がたくさん入るので手の平全体を使うことを意識してみて下さい。
◆④親子のスキンシップ
親子のスキンシップもまた皮膚感覚が高まります!小さなお子さんほどお母さんとのスキンシップは好きですよね。ぎゅーと抱きしめたり、ハイタッチしたりしてあげて下さい。
スキンシップといえば、発達障害の息子に、肩たたきやマッサージをしてもらったことも効果があったと思っています。
最初は、力が強いので「痛い、痛いよー!」などと言っていた私ですが、次第に力加減が掴めて、今では上手にやってくれます。
今ではだいぶ力加減のコントロールができるようになってきた息子。物を壊したり、お友達を転ばせたり、強く叩くことはなくなりました。
大切なことは、子どもが、嫌がるようなら無理強いはしません。まずは、お母さんが見本を見せてみて、できそうならやってみましょう。
嫌なことはやらせず、できそうなことから始め、いろいろな感触を親子で楽しむことを目標にしてみてください。
いかがでしたか?力加減がわからない発達障害の子どもは、叱っても何もメリットはありません。
ぜひ、親子で楽しみながら皮膚感覚に色々な刺激を入れてみてください。相談者さんのお子さんも、少しずつ力加減ができるようになるといいですね。
力加減をコントロールする改善方法を、こちらの記事でさらに詳しくお伝えしています。合わせてチェックしてください。
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執筆者:高嶋ともこ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)