子どもが「学校行きたくない」と登校しぶりを起こすと親として心配ですよね。無理にでも行かせるのがこの子のためと毎朝子どもと格闘しているお母さんに伝えたい、登校しぶりとの付き合い方についてお伝えします。 |
【目次】
1.2学期に気をつけたい登校しぶり
2.子どもが登校しぶりをしたときに注意すべきこと
3.子どもの登校しぶりを乗り越える3つの視点と対策
◆子どもの特性や状態に合わせた調整
◆登校しぶりに効く家庭での肯定的な対応
◆登校しぶりは悪?学校の役割とは
1.2学期に気をつけたい登校しぶり
秋真っ盛りですね。運動会や遠足、社会見学など、学校行事がめじろうしの季節となりました。
今年はコロナの関係で、どの行事も簡素化されたり短縮されたりしてはいるものの、発達障害・グレーゾーンのお子さんにとっては相次ぐ行事でストレスの増える時期であり、それが登校しぶりという形で出ることがあります。

発達障害グレーゾーンの子どもの中にはもともと学校が苦手な子どもが多くいます。
・ザワザワする教室の音、先生の怒鳴り声
・興味の持てない活動
・合わない学習方法
・求められる集団行動
・クラスメイトたちとの臨機応変なコミュニケーション
そういった周囲の環境と自分の特性とのアンマッチにより、学校に対して緊張や不安が高まりやすい性質を持っています。
もともとそうした特性のある中で、イレギュラーな活動が増えるわけですから、普段以上に疲れが出やすい時期といえます。
2.子どもが登校しぶりをしたときに注意すべきこと
子どもが登校しぶりを起こすと、私たち親は非常に不安になりますよね。
このままずっと学校に行かなかったらどうしよう。
どうしてうちの子だけ。
育て方が悪かったの?
こんなとき、親がしてしまいがちなNG対応が、無理にでも学校に行かせようとすることです。
いじめなどの理由がないにもかかわらず学校に行きたくないと言う場合、親からみれば子どもが甘えているだけに思えるのではないでしょうか。
甘やかしてはこの子のためにならない、休ませたら怠け癖がつく。そう思い、布団から出ない子どもをたたき起こし、叱りつけ、学校まで引きずって連れていく。

これはまさに、登校しぶりをする娘に対して私がしてしまったことです。
それで登校しぶりが改善されたかというと、むしろ逆でした。不安症状はますます強くなり、このままでは本当にこの子は壊れてしまうと思うほどまで、子どもを追い詰めてしまいました。
先ほどお伝えしたように、発達障害グレーゾーンの子どもはもともと学校生活に合わない特性を持っています。
登校しぶりは決して子どものわがままでも親の甘やかしでもありません。
お子さんのこともご自分のことも責める必要はないのです。
今は登校することに対して不安や疲れを感じていますから、ここで無理をさせるとこじらせる可能性がありますので注意して対応しましょう。
3.子どもの登校しぶりを乗り越える3つの視点と対策
では、子どもが登校しぶりをしたとき、どう対応すれば良いのでしょうか。ただ休ませれば良いのでしょうか。
対策はないのでしょうか。
休ませるかどうかについては、休ませてあげて大丈夫です。
「いつも頑張っているからゆっくりしようね」などといって休養を取らせてあげることは必要です。
ただ、一時的に休息して元気になる子どもばかりでなく、登校しぶりが長引く場合や、子ども自身も本当は学校に行きたいのに行きづらい場合や、学校に行けないことに対して罪悪感を感じている場合などもあり、単に休ませれば解決というわけではありません。
そこで大切になってくるのは、休む休まないということよりも、登校しぶりをする子どもの気持ちに寄りそい、成長を応援する視点です。
今回は、登校しぶりのある子どもの成長を加速させるために大切な3つのポイントをお伝えします。
◆子どもの特性や状態に合わせた調整
先ほどからお伝えしているように、登校しぶりは子どものわがままでも親の甘やかしでもありません。
お子さんが今どういう辛さや不安を感じているのかによりそい、周りの環境を調整しましょう。
例えば、
・疲れが出ているなら、遅刻や早退をする、毎週〇曜日をお休みにするといった工夫をする
・感覚過敏などがある場合は、教室内での座席に配慮をしてもらう、静かに休める場所を用意してもらうなど学校にお願いする
・授業が理解しにくいなら、個別または少人数で対応してもらう、家で予習や復習をする、苦手なことより得意なことを伸ばす
・書くことが辛いなら、ノートを取らなくても良いような配慮をお願いする
などなど、家や学校において子どもの特性や状態に合った調整をします。
学校のスケジュールをフルにこなさなけらばならないということも、他のみんなと同じやり方で学校生活を送らないといけないということもありません。
子どもがある程度余裕を持って過ごせることが自信と成長につながりますので、安心して子どもによりそった対応をしてあげてください。
学校の勉強が遅れることを心配されるかもしれませんが、勉強は後からでも挽回できます。
心の方が後から挽回するのが難しいので、子どもによりそうことを優先してあげてください。
◆登校しぶりに効く家庭での肯定的な対応
子どもが登校しぶりするとき、お母さんは不安が募り、できていないところばかりが目につき、お子さんを叱ってしまいやすくなります。
するとお子さんは自信をなくし、不安は増すばかり。余計に学校には行きにくくなります。
そんな負の連鎖に陥らないために重要なのが、家庭での肯定的な対応です。
できていることやポジティブなことにだけ注目して、認めてあげる声かけをしていただきたいのです。
・歯磨きしてるんだね♪と、子どもの行動をそのまま言葉にする
・ごはん食べてくれてありがとう♪と、当たり前のことに感謝する
・かわいいね♡大好きだよ♡と、声に出して愛情を伝える
こういったポジティブな言葉の積み重ねにより、子どもの自信が育っていきます。
行事疲れによるエネルギー切れも、肯定的な対応によって充電できます。

たとえ部屋の片付けをしていなかったとしても、お皿をシンクに持って行かなかったとしても、ご飯の食べ方が汚かったとしても、 そこには触れないことがポイントです。
この効果は絶大です。
自分への自信、お母さんに見守ってもらっている安心感、親子の信頼関係の構築につながります。
それによって癒やされ不安が減り、結果的に登校しぶりの軽減につながるのです。
場合によっては登校しぶりがなくならないこともあるでしょう。
それでも、登校しぶりが解消しようがしなかろうが、肯定的な対応という栄養によって子どもは成長します。
精神的な安定、挑戦する意欲、自分で自分を律する力がついてきます。
学校に行く行かないの次元でなく、子どもが生涯を通して自己実現していけるように、ぜひお母さんの肯定的な対応を続けてください。
がんばらなくて大丈夫です。お子さんのできていることだけをそのまま口にしてみてくださいね。
◆登校しぶりは悪?学校の役割とは
ところで、学校に行く目的って何でしょう?
子どもが知識を身につけたり、人とコミュニケーションしたり、自信を付けたり、達成感を味わったり。 そういった経験を通して成長していくための場だと私は思います。
しかしながら、1クラスに何十人もの生徒がいて、一斉に同じ授業を受けたり活動したりする中で、学校のスタイルが合わず、登校しぶりになる子もいて当然です。
興味関心も違えば、自分に合う学習方法やコミュニケーションの取り方も違います。
学校のスタイルが合わなければ、傷つく体験が多くなったり、学習が身につかなかったり、自信をなくしたりしやすいものです。
そういう状態で無理に学校に行って、本来の学校に行く目的は果たせるでしょうか。
学校に行くことは、それ自体が目的でなく成長するための手段の一つだと思います。
成長を加速させるのが目的なら、学校だけがそれを叶えられる場所ではありません。
お家など学校以外の場所で、より自分に合う形で成長できれば良いのです。
安心できる居場所、興味あることに取り組む喜び、家族との肯定的な会話。
そういったことによって、学校に行くのと同じぐらい、またはそれ以上に成長を加速させることだって可能なのです。
私の娘も登校しぶりが多くなり学校を休みがちな時期がありました。でもその分、好きなことを思う存分することができ、それを起点に成長が加速しました。
毎日毎日、目に見えて子どもが成長していくのでとても驚きました。
だから私は自信を持って言えます。学校以外でも子どもの成長を加速させることは可能です。
今の時代は、個性を強みとしてとらえるようになりつつあります。
学校の枠におさまることだけが生きる道ではありません。
むしろ、自分らしく成長していけることこそ、これからの時代に必要なことではないでしょうか。
その視点を持っていれば、登校しぶりやお休みも悪くないと思えると思います。
以上、子どもが登校しぶりをするときに知っておいてほしい3つの視点と対策をお伝えしました。
日頃から肯定的に子どもと関わり、子どもの成長を一番に考えた上で、お子さんに合った対応をしていきましょうね!
登校しぶりに関しては他にも記事がありますので、ぜひチェックしてくださいね!
執筆者:水原沙和子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)