発達障害ADHDの子どもがお金の価値を学べるお手伝い作戦

 

買い物のときの子どもの「これほしい」や「買ってくれる?」に困った経験はありませんか?私は、その頻度や金額により、ほしい物の価値(お金の価値)を理解していないと感じるがありました。ADHDの息子とお手伝いを通して学べたことを紹介します。
 

【目次】

 

1.親はお財布代わりですか?と思わせる過去

 
 
お店で、お子さんから「これほしい」や「これ買って」と言われて困った経験はありますか?
 
 
小学校4年生の息子はゲーム好きです。
 
 
家電量販店などでゲームコーナーを見てしまったら、自分の興味のあるゲームを探し、気になるソフトを見つけてしまいます。
 
 
ソフトを見つけてしまったら(特に、「今だけ」の特価値札などついていたらなおさら)欲しくなってしまうのです。
 
 
ソフトを買うことは、買い物本来の目的とは違うので、誕生日やクリスマスのときにするように伝えますが、手に入れるまでの日にちが長いことがわかると不機嫌に…
 
 
 
 
そして、納得できないとゲームコーナーをウロウロしたり、買いたいアピールをします。
 
 
父親と一緒のときは、「今日はゲーム買いに来たわけではない」と言われると、ふてくされながらしぶしぶ諦めます
 
 
私と二人の時は、「なんで?」「次に来たときなかったらどうするの!」「優しくない人だね」などとグチグチ言い始めます。時には手が出ることもありました。
 
 
私は、二人で店に行くのが苦痛なり始めましたが、習い事の関係でその店を利用していたので、お店に行かないという方法を取ることができませんでした。
 
 
そこで、
 
 
事前に「ゲームは買わない」ことを毎回伝える
 
 
・その次に行く場所を作り、時間の都合で、習い事のあとゆっくり見ることができない状況を作る。この場合も、事前に次に行く場所があることを伝える
 
 
・家電量販店では日用品も売っていたので、必要なものを子どもに選ばせて、「何かを買った」行動をすることでゲームソフトから気をそらす
 
 
など試してみました。これらの方法は、うまくいくときといかないときがありました。
 
 
買いたい気持ちは分かるけど、ゲーム関係のときは、こうもうまくいかないのはなぜだろう?と私は考えてみました。
 
 
すると、今まで生活する中で、お菓子や本など、ゲーム以外のものはあまり制限することなく買っていたことに気づいたのです。
 
 
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2.うまくいかなかったのはADHDの特性も関わっているからでした

 
 
発達障害の特性は様々ですが、ADHDの特性は主に3つになります。
 
 
・不注意
興味があることにはとても集できるけど、そうでないものには集中できず続かないこと。このことから、ケアレスミスも多くなりがちです。
 
 
・多動性
じっと座っていられない、など落ち着きがないこと。おしゃべりな傾向がありますが、不用意な発言をしてしまうことがあります
 
 
・衝動性
他人の会話に割り込みをしてしまったり、思っていることを口にしてしまうことその場の雰囲気とあわない場合もあります。
 
 
息子の場合は、大好きなゲームのことに関しては集中力を発揮できます。しかし、先のことを考えることが難しく、今したいことが我慢できない衝動性のため、ゲームを買えないことに我慢できなかったのです。
 
 
息子の気持ちの中では、ゲーム関係のものも含めて金額は関係なく、すべて自分の欲しいものなのですから。
 
 
学校の授業で、大きい数の理解ができているのは知っていました。しかし、息子の中では、「お店に行く=欲しいものを買う」となっていて、物の価値(お金の価値)としては理解できていないのでは?ということに気づきました。
 
 
 
 
では、どうしたらいいのでしょう? 次項で、わが家で実践してみたことを紹介したいと思います。
 
 
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3.お金の価値を知ってもらうためのお手伝い作戦

 
 
まず、お金の価値を知ってもらうために、どんな方法がいいか、どんな方法なら取り組みやすそうか、など考えてみました。
 
 
お金を稼ぐことはできないけど、何かのお手伝いを継続することでお駄賃を渡す方法を取るなら、価値の認識につながるかもしれないと思い、早速、息子と話をしました。
 
 
現在、息子には月額で渡しているお小遣い(400円)がありますが、お手伝いによって自分のお金が増えることに、息子は興味を示しました。
 
 
息子には好きな漫画本があって、税込み約500円です。今のお小遣いでは1ヶ月以上待たないと買えません。そろそろ最新刊が出るらしいという情報より、がんばったら買えるのでは?という話をしました。
 
 
そこで、「じゃ、考えてみよう!」と、会議を始めるように筆記用具を準備して、メモを取りながら議題から一緒に話を進めていきました。
 
 
・どんなお手伝いならできそうか
 
・そのお手伝いではどのくらいのお駄賃が妥当か
 
・どのくらいの期間続けるか
 
 
を主に、詳細を決めました。
 
 
息子の希望で日曜日以外の6日間同じものをすることに決まりました。息子と一緒に、本人が6日続けてできそうと感じるものをお手伝いとして、リストアップしていきました。
 
 
お手伝いの候補を10個くらい考えて、簡単なものは金額が低め、少し時間や手間がかかるものは高めに設定しました。
 
 
一例としては、「夕飯後皆の食器をさげる」が簡単なもので、「お風呂掃除」は時間もかかるもので継続するのに努力が必要なことから、金額も高めにしました。
 
 
もし1ヶ月のうちほとんど休まずに継続できたら、努力賞の意味と次月へのモチベーションアップのために、特別ボーナスも加えてみることにしました。
 
 
親は働いて給料をもらっていることから、わが家ではお手伝いを「お仕事」、お駄賃を「お給料」と呼んで始めることにしました。
 
 
今から始める新しいことにワクワクしながら親子で話ができまし
 
 
 
 
メモした用紙はきちんと議事録のように清書し直し、息子が希望した仕事のチェックリストも作成しました。これで準備万端です。
 
 

4.ADHDの息子がお小遣いを増やす成功体験ができました

 
 
最初に選んだお仕事は、ペットのハムスターのお世話です。
 
 
初日、気持ちを聞いてみると「やる気は、今は10のうち20!」と頼もしい返事をくれました。
 
 
夕飯後、自分から動き出しました。ここで、発達科学コミュニケーション(発コミュ)の声かけです。
 
 
「掃除始めるんだね!」と今の状況を肯定的に注目します。「掃除できたら、あとで一緒に遊ぶね~」「それ、いいね!」と始まりました。
 
 
1人で掃除をしている息子に、途中「順調に進んでるかな?」と聞くと、「うん。大丈夫」と。
 
 
発コミュでは、行動の途中でもこまめに褒めることもポイントになります。褒めると言っても、子どもが「今していること」を実況中継する感覚で大丈夫です。
 
 
息子は今までは自分が簡単な掃除を済ませたら、ハムスターと遊びたいので、あとは親に任せる、というパターンがありましたが、この日は全てを自分で終わらせました。
 
 
終わったあとに、「全部自分だけで終わらせたね。助かった!ありがとう」と伝えました。
 
 
発コミュでは、会話の最後にも肯定の声かけをして、成功体験の記憶が残るようにします。
 
 
 
 
息子はその日ハムスターを遊ばせて動画まで撮っていました。
 
 
肯定の声かけを続けることで、息子のモチベーションも下がることなく、残りの5日間も一人できちんとハムスターのお世話をしてくれました。
 
 
毎日お世話をしていると、息子はその日その日のハムスターの気持ち(今はまだ眠そう、など)を推測するようになって、観察力の向上につながっているな、と感じました。
 
 
6日後「今日は給料の日だよね!」と息子。チェックリストをもとに、お給料を渡しました。「お金もらえた!全部でいくらになったかな~」と嬉しそうに財布と貯金箱を取りに行きました。
 
 
落ち着いた後、1週間の感想を聞いてみると「慣れてきたら楽になってきた」と言っていました。「段取りよくできるようになったんだね。任せられたから助かったわ」と私は感謝を伝えました。
 
 
渡したお給料は、自分で選んだお小遣い管理アプリに金額を入力して、管理するようになりました。アプリでは、収支のバランスが色付けしたグラフになって出てくるので、一目瞭然で把握できます。
 
 
自分の現在のお金について分かることにより、欲しいものを買うにはあといくら必要か?の計算ができるし、グラフによって自分の使いすぎが分かるので、お金の価値を考えることに繋がっていると思います。
 
 
お小遣い管理アプリは種類もあるので、興味のある方はぜひお子さんと一緒に選んでみてくださいね。
 
 
実は、息子が欲しかった本はあいにく売り切れ中でした。
 
 
予約をすることも提案しましたが、悩んだ後、気になる違う本を買っていました。でも、「次来るときは買えるようにまた貯めることにする」と前向きに考えていたのです。
 
 
今までの経験上、欲しい本のために違う本屋に行きたいと言い出すような状況だったのに、「次回のために貯める努力をする」と考えることができたことに、成長を感じました
 
 
「お金」のことについて話をすることは、ご家庭により様々な意見があると思いますが、これから人生を歩んでいく上でお金について知ることは大切だと思います
 
 
お子さんの年齢もよりますが、少しずつでも親がお金についての色々なことを伝えていくことが重要ではないかと思いました。
 
 
お金について、お子さんが理解しやすいような書籍もいろいろありますので、まずは親が一度読んで知識を蓄えることをお勧めします。
 
 
これからクリスマス、お正月とイベントが続くので、お金のことを学べる機会がありますよ。今、できることから始めてみませんか?
 
 
 
 
 
 
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執筆者:松尾歩
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
 
 
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