発達障害のお子さんは、見ることが優位で、聞くことに対しては苦手な傾向があります。脳の特性と分かっていても心配で、小学校入学を前に人の話を聞く力を伸ばしたいと思い、わが家で本の読み聞かせに取り組んだ内容をお伝えします。
【目次】
1.人の話を聞く力が弱いかも?と感じていた幼稚園時代
2.発達障害の子どもは話を聞く力が弱い理由
3.短い時間でもOK!「聞く力」が伸びる本の読み聞かせにトライ
4.読み聞かせを続けて、小学生になった息子の様子
1.人の話を聞く力が弱いかも?と感じていた幼稚園時代
我が家の息子は現在小4で発達障害の診断があります。
彼が幼稚園の頃、「うちの子は人の話を聞いているのだろうか?」とか「もしかして耳が聞こえていないの?」と思うことがよくありました。
・会話をしている途中に急に話題を変える
・何かをしている息子に、少し離れた距離から「〇〇くん」と話しかけても気付くことがない
・話しているけど本当に聞いているのだろうか?と感じさせるような反応のなさ
などです。
ですから、聞きたい話題はあとからもう一度聞いたり、呼びかけに反応しないときは何度も「〇〇くん、聞いてる~?」と繰り返したりしていました。
ときには「何度も言わせないで!返事ぐらいしてよ!」とイライラして怒ってしまうことも…
息子の行動は気にはなっていたものの、聴覚検査で通知が来たことはないし、子どもだからこんなものかもしれない、とも思っていました。
年齢が上がっていくと少しずつでも聞けるようになるだろう、と思っていたんです。
2.発達障害の子どもは話を聞く力が弱い理由
いきなりですが、皆さんは「見る力」と「聞く力」どちらが得意ですか?
「見る力」が強い方は視覚優位の方で、目の前に文字や絵や図などを示してもらうと理解が深まる場合です。
例えば、初めての場所でも地図があれば好きに動けることができたりします。
「聞く力」が強い方は聴覚優位の方で、言葉で話してくれたことのほうが理解が深まる場合です。
例えば、授業中に板書していなくても授業内容を覚えていたりすることができたりします。
発達障害のお子さんは、実は聞く力より見る力の方が得意な視覚優位のパターンが特性としてあります。息子もまさに視覚優位のタイプです。
当時、息子はトミカやプラレールが大好きだったのですが、それらが詳しく載っている冊子を見たり、図鑑を見たりをよくしていました。
そして、形や色から車種やメーカーを覚えて街で走っている車を「あれは〇〇だ!」や、新幹線を見かけたら「△△系!」と教えてくれていました。
好きなことをよく知っていることは素敵なことだと思う反面、幼稚園のように先生の手厚いサポートが難しくなっていく小学生になってもこのままでいいのだろうか、と考えるようになりました。
3.短い時間でもOK!「聞く力」が伸びる本の読み聞かせにトライ
私が取り入れた方法は、ずばり、「本の読み聞かせ」をすることです。
なぜ、読み聞かせをしようとしたか?説明しますね。
読み聞かせは、集中力、読解力、共感力、想像力などが育つといわれているからです。
聞くことに集中することで、我が子の「人の話を聞く力」を伸ばすことができたら、と思ったのです。
今のうちから少しずつでも聞く力をつけることができたなら、小学校へ入ったときに授業でも絶対に役に立つだろうと思ったのもあります。
我が家では、読み聞かせにゆっくりと親子の時間が取りやすい寝る前の時間を使うことにしました。
普段は息子が選んできた本を1冊読むことにしました。寝る前の準備が早くできた時など時間に余裕があるな、と思った日には数冊読むことも。
ときどき読んだ後に、「いきなりですがクイズです!」と始め、
・だれとだれが出てきていたでしょう?
・主人公が〇〇したあとに何が起こっていたでしょう?
・登場人物の△△はこのあとどうなったと思う?(本には出てこなかった続きを想像してみる)
など、寝る前の時間を楽しく過ごせるようにしました。
ときには息子より「今日はクイズするの?」と聞かれることもありました。
4.読み聞かせを続けて、小学生になった息子の様子
その後小学生になったある日、学校から帰ってきた息子が「先生がペットボトルを持ってきてね、といったから持っていく」と言いました。理由を聞くと水やりに使うとのこと。
毎日の連絡帳にも書いてなかったし、毎月のお便りにも書いてなかったので、一応連絡帳に持たせることを記入しました。
次の日連絡帳には先生より、「近々プリントにてお知らせする予定でしたが、もし家にあったら持ってきてください、と子供たちには伝えていました」と書いてありました。
「持ってきた人はあまりいなくて、先生からも話を聞いていたことをほめてもらえたよ」と息子が嬉しそうにしていました。
ちょっとしたことでしたが、きちんと先生の話を聞けていることがわかり、少しずつでも「聞く力」が育っていることを実感できました。
今は小学4年生なので選ぶ本も寝る前に読み切れるものではなくなっていますが、選んだ本のまとまりのよい数ページだけでも読んでいます。
息子にとって寝る前のルーティンにもなっているようで、読み終わった後はすっと寝入るので寝つきもいいと思います。
お子さんが疲れている日もあるし、行事などで親子でバタバタして読む時間がない日もあると思うので毎日は難しいかもしれませんが、少しの間でも、お子さんとの素敵な時間を過ごしてくみてださいね。
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執筆者:松尾歩
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)