息子は発達障害・ADHDタイプの小学生2年生です。ノートに書く学習が増えてきたことにより、字が下手だと気がつきました。ディスグラフィアを疑い、先生方と相談しながら丁寧に教えていますが綺麗に書けません。本人も向き合うことを拒否します。字については諦めて、他に強みを見つけていく場合どうしたら良いでしょうか?
8歳・男の子のママ
発達障害・ADHDタイプの息子も、あまりにも字が下手で、字と字の間隔もうまくとれません。過去にディスグラフィアを疑い、先生方と相談しながら綺麗に書かせようとしていました。今では自信をつけ強みを見つけていく子育てに切り替えていますよ!
発達科学コミュニケーション
リサーチャー 秋村若菜
【目次】
1.発達障害の子どもの字が下手だと追い詰めてしまったていた過去の私
2.発達障害の特性により、困りごとは想像以上にたくさん!
3.高学年になり、自分が書く字が下手だと知っていた息子
4.自分の人生をより良く生きるために、親が授けたい力とは?
1.発達障害の子どもの字が下手だと追い詰めてしまったていた過去の私
一人っ子の息子は、産まれたときからとても育てにくい子どもでした。
小学校1年生のとき、集団生活が苦手な息子は、登校するだけで精一杯。
帰宅後は放心状態で、気がついたら夜まで寝てしまうこともありました。
そんな息子に家では負荷をかけられません。
ところが学級だよりで「お母さんが宿題をちゃんと見てあげてください」というお知らせが!
幼稚園とは違い、小学校とは勉強をするところ。私は息子につきっきりで、プリントや漢字ドリルをやらせていました。
息子は、1年生の簡単な漢字や平仮名であってもなかなか覚えられませんでした。
息子の状態を受け入れることのできなかった私は「あなたは覚えが悪いのだから、人よりも多く何回も書いて練習しなさい!」と息子へ無理やり書かせることを強いていました。
息子は書きながら泣いていたし、時には癇癪を起こすこともありました。
でも私は一人だけの子育てと決めていた分、もっとしっかりしつけないといけない!と躍起になっていました。
さらにショックを受けたのは文章を書くようになってからのことです。
なぜだか字と字の間がギュウギュウに詰まっているのです。
もっと字の間隔をとるよう指示しましたが、全く直ることはありませんでした。
あまりにも字が汚くて読めないので、学校の先生には申し訳ないと思うほどでした。
ディスグラフィア(書字障害)かもしれないと、学校の先生と相談するようなりました。
2.発達障害の特性により、困りごとはたくさん!
息子は発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)と自閉症スペクトラム障害(ASD)の2つのタイプの特性を持っています。
・常に動いていたい
・とっさに手が出る
・人との距離が近い
・常に声が大きい
・相手が話の途中でも喋りだす
などといったタイプ。加えて集中することも苦手だったので学校でも家でもよく注意されていました。
疲れたり不安を感じたりするとすぐに機嫌が悪くなり、叱られたことをしっかり覚えている息子は、字の問題だけでなく生活のすべてに困っている状態でした。
これは脳の発達が未熟なためで、指摘されたからと自分で意識して変えていくのはとても難しく、どんどん自信を失っていきました。
学校から帰宅した息子は、機嫌が悪いを通り越してずっと怒っていました。親の言葉は全く聞かず宿題どころではありませんでした。
怒って疲れて寝てしまう毎日の繰り返し。これは精神的に良くない状況だと感じていました。
字が下手なことも、息子の態度についても、とにかく注意したり叱ることを減らさないと、息子の心が壊れてしまいそうだと感じていました。
勉強は二の次にと考え、字を綺麗に書かせることも手放しました。
家での様子を学校に伝え、支援学級の先生、通常学級の先生や支援コーディネーターの先生、養護の先生とチームを組んで息子を見守ってもらいました。
・息子が席について勉強と向き合っているだけでもOK
・書きたくないときは無理強いしない
・字と字の感覚が無いことも指摘しない
・鉛筆を持って書いているだけで良し
といった具合に対応していただいていました。
3.高学年になり、字を書くのが下手だと知っていた息子
高学年になると、自分が書く字が下手だと自覚していました。
当時は対人関係もうまくいかなくて不登校気味といった状態が続いていました。
そして息子は学年が上がるごとに自信を無くしていました。
せめて字について解決してあげたいと担任の先生に相談を持ち掛けた事もありました。
デスグラフィアの可能性を専門機関でみてもらう話になりましたが、気合いでやりたくもない練習をただ重ねるのではなく、
息子に合った方法は何か?を見つけて家や学校で根気よく訓練を重ねていく必要があるとのことでした。
支援コーディネーターの先生からは、
「今無理をして直させたら、より息子は自信喪失し、文字を書かなくなる可能性がある。一つ一つの字は丁寧に書けている。今はこれで十分。」
というアドバイスをもらいました。
息子も、字が下手なことを直すために努力したい気持ちは全く無くて、字のことは触れて欲しくないとのことでした。
それを知って私は迷いが消えました!
字の問題ではなく息子の心と体の成長にフォーカスして関わることにしました。
4.自分の人生を生きるために、親が授けたい力とは
親の手が届かない外の世界では、我が子が傷ついたり悩むことは避けられません。
でも苦手なことがあっても息子の価値は変わりません。
母親である私だけは、息子の成長を信じていこう!と奮起することにしました。
そこで私が取り入れたのが発達科学コミュニケーションです。
私は息子に自信を持ってもらうため、字が汚いことなんてどうでも良くなるくらい得意なところを見つけて声をかけるようにました。
具体的には
・機嫌が悪くなるほど頑張っているところ
・繊細な分とてもよく気が付くところ
・疲れていても勉強しようと努力していたところ
このように日常のほんの些細なことにこそ注目し、一切否定はせず、肯定的に伝えました。
少しでも親の話を聞いてくれたら感謝を伝え、お手伝いをしてくれたら感謝プラスご褒美のダブルにしました。
他にも、ゲームが得意、ボールを投げるのが速い、楽しいことを素直に楽しめる、美味しそうに食べるなど、良いと感じたポイントをそのまま伝え続け、肯定と感謝を繰り返しました。
「あなたが興味を持っていることは何でも応援する」「やりたい!って思っていることは何だってできる!」「お母さんは本気であなたができると信じているよ」と伝え、育てました。
今、息子は中学生になりました。
特別なサポートは受けず元気に学校へ通えています。
自粛中は友達とオンラインで繋がったり、理数科目を中心に勉強も頑張るようになりました。
残念ながら中学校は小学校と違い、もっと綺麗に書きなさいと注意を受けているようです。
でも息子は落ち込んだだけで終わりにはせずに、かといって直そうとプレッシャーを感じるほどでもない様子です。
そして 「僕は字が汚くても記憶力はいい。パソコンも好き。理科も得意。」 「漢字を書くのは苦手でも、読めたらいい。」 と言っています。
このように、字が汚いことを気にするより自分の強みを見出せるようになっています!
誰にでも苦手なことがあって、そこで自信のない人間として生きるのでなく「自分の得意なことを強みに変えて活かしていこう!」とも言っています。
しかも今、息子は字と字の感覚を意識して書いているとのこと!長年、直らなかった課題でしたが、今の自分なら何とかできる!という自己効力感を持てているから取り組めるのです。
ディスグラフィアのことを疑っていた過去が嘘みたいです。
わずか13年の子育てですが、我が子に自信を持ってもらうことが本当に大事だと感じています。
生まれつきの脳の特性により傷つきやすく自信を失いがちな子どもはとにかく自信をつけることが大切です。
字が下手というようなマイナスの部分には注目せずに、日常のほんの些細なことを肯定してあげてください。
とにかく特性による困難さを変えようとはしないでください。
自分の能力を信じ、強みを活かしていこうという、自己効力感を持っていることが、これからの時代を生き抜く上で必要です!私たち母が、我が子を信じて関わることで授けられますよ!
一人っ子さんとお母さんを心から応援しています!
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執筆者:秋村若菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)