3歳で手づかみ食べ!?自閉症の子どもがスプーンをうまく使えない理由とは?

 

3歳になってもスプーンで食べない、手づかみ食べばかり…と悩んではいませんか?発達障害・自閉症傾向の子の場合、偏食や不器用さが影響しスプーンがうまく使えないことがあります。今回は子どものスプーンの持ち方に悩むママに解決の秘訣、お伝えします。
 

【目次】

1.3歳で手づかみ食べ!? 練習してもうまくいかない!
2.なぜ発達障害・自閉症傾向の子はスプーンが使えない?
◆微細運動が苦手で不器用
◆感覚過敏の特性をもっている
◆イライラで子どもの脳が停滞!?
3.子どもの脳を発達させてスプーンの持ち方を上達させる秘策
①「ご飯食べるのって楽しい!」と思わせることが先決
②ジェスチャーを交えて子どもに肯定的なサインを送る

 
 

1.3歳で手づかみ食べ!? 練習してもうまくいかない!

 
 
お子さんの食事での困りごとを抱えているお母さん、実は多いですね。
 
 
3歳になっても偏食や食べムラ、遊び食べ、スプーンや箸を上手に使えないで手づかみ食べ。
 
 
食事の悩みは尽きないと言っても過言ではありません。
 
 
特に発達障害・自閉症傾向のあるお子さんだと、コミュニケーションが取りづらく、こちらの指示がうまく伝わらない事も、食事場面での悩みの原因になりやすいです。
 
 
幼児だと何がイヤなのかが分からず、お母さんも途方に暮れて疲弊する…。 そんな事も、これまでにもあったのではないでしょうか。
 
 
 
 
かくいう私も、わが子が3歳ころには手づかみ食べばかりしてスプーンをうまく使えないことで悩むママの一人でした。
 
 
スプーンやお箸の形や種類を変えてみたり、大人がお手本を見せたり、手を添えたりなど、色々試しても上手くいかなかったのです。
 
 
それどころか、練習させようとするほど不機嫌になったり、癇癪を起こして手を振りほどかれたりで、心折れてきたことも数知れません。
 
 
私もつい、イライラして「なんで〇〇くんはちゃんとスプーン持って食べないの!」と責めてしまい、後で自己嫌悪に陥ることありました。
 
 
次第に、親子して食事の時間が辛い時間となり、スプーンや箸の練習もどんどんやる気が無くなっていきました。
 
 
一体なぜ、発達障害・自閉症傾向の子どもはスプーンや箸を使うのがそれほどまで苦手なのでしょうか?
 
 
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2.なぜ発達障害・自閉症傾向の子はスプーンが使えない?

 
 
ご存じの通り、幼児期の脳はまさに成長期まっただ中ですよね。
 
 
ですから、まだまだ脳の発達も未熟なので得意・不得意が現れやすいのです。
 
 
ここで、発達障害の子どもがうまくスプーンを使えない理由について詳しくお伝えしますね。
 
 

◆微細運動が苦手で不器用

 
 
微細運動とは、飛び跳ねたり、走ったりするような体を大きく使う粗大運動とは反対の意味で、手先などを動かす細かい運動のことを言います。
 
 
例えば、洋服のボタンととめたり、積み木を高く積み重ねたりすること、箸やスプーンを使って食べることも微細運動の1つです。
 
 
こうした微細運動は体を大きく動かす粗大運動よりも後から発達するため、特に幼児期には指先の細かな動作が苦手で「不器用さ」として現われてしまうのです。
 
 
スプーンを持って口に運ぶには、スプーンを下から持って指で支える持ち方が簡単なはずですが、これも微細運動が苦手だと、つい上からぎゅっと握ってしまうのです
 
 
だから、うまく口に食べ物を運べないし、食べこぼしが多くなってしまうんですね。
 
 
 
 

◆感覚過敏の特性をもっている

 
 
発達障害、特に自閉症傾向のある子どもは感覚過敏の特性をもっていることがあります。
 
 
感覚には「聴覚・視覚・触覚・嗅覚・味覚」の五感があるのですが、これらの感覚を過度な刺激と感じて苦痛や不快感が生じています。
 
 
例えば、触覚過敏のある子どもは、物の材質によってざらざらを痛いと感じていたり、視覚過敏の子は色や見た目から気持ち悪さを感じたりする場合があります。
 
 
また、スプーンが口の中にあたる触感が苦手な子もいますし、味覚が過敏で食べ物の味が混ざることを極度に嫌がる子もいます。
 
 
けれども、幼児期の場合にはこれらの感覚を言葉で表現することが難しい子も多いです。
 
 
すると、食事中スプーンを投げたり振り払ったりという動作で表現し、結果的にスプーンがうまく使えないことが起きてしまうのです。
 
 

◆イライラで子どもの脳が停滞!?

 
 
食事をしようにも不器用でスプーンがうまく使えない、感覚の過敏性があって不快感を感じる。
 
 
そんな風に、頑張っても思うようにいかないことがあると皆さんはどう感じますか?
 
 
大人でもうまくいかないことにはイライラしたり、不愉快になったりと嫌な気持ちがしますよね。
 
 
実はこうしたイライラや不快感には子どもの脳の発達にもデメリットがあるんです!
 
 
まず、苦痛や不快が原因で子どもの脳はイライラや興奮が生じやすくなります。
 
 
そして、興奮状態になると「脳が考えない、あまり働かない」現象が引き起こされてしまいます。
 
 
この「考える」という行為は、脳が「酸素」を取り込んで消費し活発に働いている状態です。
 
 
しかし、興奮状態だと血流ばかりが増えて脳が酸素をうまく消費することができず、さらに興奮してパニック状態へ陥りやすくなるのです。
 
 
 
 
これでは、 
 
 
興奮状態
 ⇓
脳が働かない
 ⇓
脳の酸素が消費されない
 ⇓
血流があがる
 ⇓
興奮状態
 
 
という無限ループに陥ってしまいます。
 
 
つまり、うまくいかないこと、イライラで興奮状態になると「脳の働き」が下がってしまうということなんです。
 
 
そんな様子でイライラしているところに、ママが「さあ、練習しようね!」と勧めても逆効果にしかなりません。
 
 
それでは一体どのような対応をすればいいのでしょうか?
 
 
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3.この「考える」という行為は、脳が「酸素」を取り込んで消費し活発に働いている状態です。

 
 

◆①「ご飯食べるのって楽しい!」と思わせることが先決

 
 
実は、幼児期の発達段階では、視覚優位という「目から入る情報を理解しやすい」という特徴があります。
 
 
これは、ママの指示を聞いて理解するよりもママの表情や雰囲気、身振り手振りを読み取る方が得意ということなんです。
 
 
ここで、お家の食事風景を思い返して欲しいのですが、子どもにご飯を食べさせている時、ママの顔はどんな表情でしょうか?
 
 
もしかして、「なんでちゃんとスプーンを持たないの!」と内心イライラしながら食事時間を過ごすことはないでしょうか。
 
 
ドキッとした方も多いかもしれませんね。けれども大丈夫!
 
 
遠回りに感じるかもしれませんが、まずはスプーンを上手に使うことよりもママと子どもが食事を楽しめる雰囲気づくりから始めてほしいのです。
 
 
たとえば…
 
 
子どもの好きな料理を優先して作る
 
お気に入りの可愛いお皿やナプキンで彩ってみる
 
家族みんなで食事を囲む
 
 
ママの気持ちの余裕が表情や雰囲気に現れることによって、子どもが「食事って楽しいね!おいしいね!」と思わせることができ、そしてそれが次のステップにつながります。
 
 
 
 

◆②ジェスチャーを交えて子どもに肯定的なサインを送る

 
 
子どもは、何といってもママの笑顔やジェスチャーを使ったコミュニケーションが大好きです!
 
 
子どもに顔を近づけてニッコリ笑顔で 「〇〇君、お座りできてエライね。どれから食べるのかな?」 と楽しそうに話しかけてみてください。
 
 
そして子どもが少しでもスプーンを使っていたら 「ニンジン、スプーン使って食べてるねー!すごい!」とグッドサインや拍手をしたりして、褒めてあげてください。
 
 
これは、できていないことにママが注目するのをやめることを意味しています。
 
 
子どもがチャレンジしたこと、頑張っていることに対してママが笑顔など肯定的なアクションで見て分かるように表現すると子どもは言葉で言われるよりも「こうして食べることは正解なんだ!」ということは感覚的に理解できるようになってきます。
 
 
そして、スプーンの持ち方を伝えるとすればこのタイミングですね!
 
 
まずはママが持って見せてやってみせることが大切です。
 
 
さらに、チャレンジしたらgoodサインを忘れずに。
 
 
わが家でも、微細運動が苦手で感覚過敏のある息子にこの肯定的なコミュニケーションを試してみました。
 
 
すると、10日ぐらいすると自分でスプーンを持って食べることが増えて、少しずつですがスプーンの持ち方も上手になり、困りごとがグッと減ってきたのです!
 
 
もしよかったら、みなさんも10日間騙されたと思って試してみませんか?
 
 
そんな事で?と思われるかもしれませんが、徹底的にやってみると、わが家でも大きな変化が起きたのですから、きっと皆さんのお子さんにも変化が見えてくるはずです!
 
 
ママの笑顔とジェスチャーで、ぜひ子どもの発達をグーンと伸ばしていってくださいね。
 
 
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執筆者:さとうゆか
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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