子どもの偏食に付き合って、大人も子どもも疲弊していませんか? 偏食が多い発達障害の子どもの食事は、料理本の通りに作ることでは解決しません。 家庭でのコミュニケーションで、大人になるまでに偏食を減らしていきましょう。
【目次】
1.料理を工夫して、子どもの偏食は改善されましたか?
子どもに食べないものが多いと、幼稚園の給食は食べられずにお腹が空いてしまうのではいか、などと心配になりませんか?
私の息子は、離乳食では大食いで何でも食べていましたが、幼児食から他の子と比べると極端に食事に特徴が表れてきました。
三角食べをしない、主食と副菜は別の食事時間で食べる、麺の太さや固さにこだわるなど、親でも理解できないことで食べないことがとても多かったです。
知り合いの保育士さんからは「離乳食で食べられていたら、食べられるようになるから大丈夫」と言われ、偏食を気にしないようにしていました。
食べないと命にかかわるので、お菓子だけでも食べてくれたら良いと考えたこともあります。
ですが、健診の問診表での記述では、毎回食べられないものが多いことにこのまま大人になっても大丈夫なのだろうかと気がかりでした。
幼稚園の給食を考えたとき、私は食事の工夫をはじめました。
・チャーハンに入れるネギは白い部分だけを使い、食感が分からないようにしっかりと炒める。卵は白身と黄身を完全に混ぜる。
・好きな食器だけを使う。
・温度を適温にする。
色々な工夫をしましたがどれもうまくいかず、何が息子の癇にさわるのか分かりませんでした。
作ったものも買ったものも食べてもらえないことに絶望し、私は食事を準備する意欲がなくなっていきました。
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2.発達障害だと、一般的な方法で偏食は治りません
私のように、偏食を改善しようとしたときに料理を工夫した経験がある方は多いのではないでしょうか。
もちろん、料理を工夫することに効果がないわけではありませんが、一般的な方法が合わない子どもがいることも事実です。
発達障害の偏食の理由には80%以上が持っている感覚過敏がありますが、実はそれだけではありません。
自閉症スペクトラム症(ASD)の場合は、こだわりが強く、初めてのことへの不安や抵抗感、ネガティブなことを記憶しやすいという特徴があります。
「自閉症スペクトラム児の幼児期における摂食・嚥下の問題」という論文では、食事でも特性が顕著に表れていることが分かりました。
この調査は、3~6歳のASDと定型発達の幼児が対象でした。
食べない理由の一位は「見た目」でした。
一度食べたものを好むのは、外観が良かったり好みに合う食感や味だったというASD特有のこだわりが関係していると考えられています。
また、好んで食べていたものを食べなくなるというケースが60%あるのも特徴的でした。
お母さんが工夫をこらして子どもが食べるようになったことを喜んでも、あるときピタっと食べなくなってしまう。
食べられるようになった!食べなくなった!を繰り返すと、お母さんも参ってしまいますよね。
ですが、朗報です!食べなかったものを食べるようになるケースは53%ありました。
定型発達の子どもに比べると、食べられるものが増えるのはゆっくりかもしれませんが、時期を待つのも1つの方法だと思います。
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3.大人になるまでに偏食を持ち越さないために今すぐできるコミュニケーション
見た目を工夫すれば食べることが分かっても、毎食工夫をするのは疲れますし、時期を待つのもいつまで待てばいいのか分からないと不安にもなりますよね。
人の発達にはコミュニケーションが欠かせません。そこで、発達障害の偏食も、コミュニケーションで改善していくことをオススメします。
◆できたところを褒める
食事に抵抗があると、親も子も食事時間が重苦しくなっているかもしれませんね。
「食事=怒られる」と子どもが記憶していると、子どもの不安は減らず、新しいことにチャレンジする気持ちも遠のいてしまいます。
ですから、最初はお母さんの「食べてほしい」を封印します。
そして、子どもができたことはどんな些細なことでも褒めることを徹底します。
たとえば、席についたら「座れたね~」
食べると言って食べなかったときも「食べようとしてくれたんだね」
などです。
食べると言ったのに食べなかったら、イラっとして反撃したくなりますよね。
食べないだろうと予測し、予め食べなかったときにどう褒めようか考えておくと、案外イラっとせずに済みますよ。
◆食べられるものボード
どんな料理、食材が食べられるかを書き出す。
偏食だと、食べられるものが少ないと思い込んでいませんか?
料理を料理名、食材に分けて書き出し、飲み物もお菓子も書き出してみてください。意外と量が多くて驚くと思います。
同じ料理でも、自宅の料理とお店の料理を食べられるなら、食べられるものは2倍になります。
子どもと一緒にアイディアを出し合い「これは1口チャレンジしたよね~」などと褒めるのも効果的。
行動を褒められると自信に繋がり、またやってみようという意欲に繋がります。
我が家の小学1年生の長男は、注意欠如・多動症(ADHD)とASDの発達障害です。
4歳のときからコミュニケーションを工夫したことで、偏食を減らし、家でも給食でも食べられないものには工夫ができるようになってきました。
私は、息子が大人になるまでに偏食を持ち越さずに済むと信じています。
偏食に付き合うのは、相当な根気が必要ですよね。お母さんが無理をせず、穏やかに楽に過ごせるようになることを願っています。
あれこれ言わなくても、食べられるものを増やせます。
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執筆者:渡辺 ひろみ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)