発達障害ADHDの息子は、興味のないことだと、自分で考えようとしません。自信を育むことで、ちょっと頑張る力を授けることができます。年少児と遊ぶのが得意な息子が、褒められて変わってきた様子をご紹介します。
【目次】
1.発達障害ADHD男児、もう少し自分で考えてみない?
注意欠陥多動性障害(ADHD)の特性を持つ小学3年生の息子は、LEGOや工作などでは、たくさんの創意工夫ができるのに、日常生活では、自分で考えて行動しようとはしません。
〇〇どこにあるのー?
次なにすればいいー?
どこ行けばいいのー?
自分で考える前に助けを求めます。
声をあげて聞いてくれる時はまだいい方で、「何すればいいか分かんないから何もしなかった(そのままゲームしてた)」という、周りの大人を最も怒らせるパターンも多発します。
興味のないことにはやる気が出ないというのは、私も同じなのでよく分かるのですが、さすがにそれでは生きていけません。
特性がある以上、上手に人を頼ることもできてほしいけれど、 「これから外出するから着替えたほうがいいかな」くらいの行動はできるようになってほしいです。
2.親でも先生でもない大人が褒めてくれることの価値
先日、法事でお墓参りをした時、水を運ぶ手伝いをしていた息子を、お坊さんが褒めてくださいました。
その後、息子はとても素直になりました。率先して「荷物もってあげようか?」なんて言ってくれるようにもなりました。
ひとは、自信があると素直になります。
自信がないから、すぐ諦めたり、反抗的になったりします。
この時の息子は、ほめられたことにより、大きな自信を手に入れたのだと思われます。
元来ひとは、誰かの役に立ちたいという貢献欲求をもっていますから、自分が役に立っていると自覚できると、自己効力感が上がります。
自己効力感とは、自分の行動には効果があると思えることで、未来の自分への自信にもつながる力です。
親でも先生でもない第三者に褒めてもらうと、効果はより顕著です。
モノのご褒美にあまり興味を示さない息子には、「助かったよ、ありがとう」の言葉がなによりのご褒美で、成功体験につながったのでしょう。
この時、戦略的にこういうシチュエーションを作ってあげれば、息子がもっと素直になるチャンスを増やすことができると、気づきました。
叱られたり注意されたりすることのほうが多い息子が、必ずほめてもらえる場面ってどんな時だろう…?
そういえば、息子は、小さいころから年下の子と遊ぶのが得意です。その気遣い、私にもお願いします…と思ったことが、何度もあります。
小さい子と遊んであげると、なついてくれるし、保護者の方からは「上手に遊んでくれてありがとう」と褒められます。大人と子ども、どちらからも肯定の注目を受けることになります。
これは自信につながるに違いありません。
3.小さい子と上手に遊んで、肯定の注目を得る
週に一度、お友達の妹(3歳)と遊ばせてもらうことにしました。お姉ちゃんの習い事を待つ間の1時間です。
お母さんたちは、仕事に家事に習い事の送迎に忙しいので、わざわざ時間を取ってもらうのは気がひけますが、もともと待機の1時間なので、これなら心置きなく遊ばせてもらえます。
妹ちゃんは、優しい息子のことが大好きで、いつも手を繋いで歩きます。
が、程よくおてんばさんなので、静かにしないといけないところでも大きな声を出してしまったり、 走り回ったり。
周囲に迷惑をかけないうちは、母二人は、少し離れたところで観察することにしました。
息子は、言い聞かせたり、体ごと捕まえてみたり、四苦八苦しながら相手をしていて、微笑ましいこと、この上ありません。
大変そうですが、絶対に叱ったり脅したりしません。かつての私よりはるかに立派です。
高い所に手を伸ばそうとすれば後ろから抱っこしてあげ、ベンチの上に立とうとすれば靴を脱ぐよう促して、背中をそっと支えてあげる。
いわゆる空気が読めないタイプで、いつも場を乱すふざけ方をするが息子が、今何をしなければいけないか、きちんと自分で考えて行動できていることに驚きました。
帰り際、妹ちゃんからは、何度も振り返って「また遊ぼうねー!」をもらい、ママからは、「遊んでくれてありがとう!助かったよー!」のハナマルをもらえます。
帰り道、「たいへん!疲れた!」と言うものの、翌週になれば、また可愛い妹ちゃんに会えるので、出掛けていきます。
「楽しく遊んでいたら、トレーニングになってました」という、最高のパターンになりました。
4.母だからできる、切り上げどきの見極め
脳の成長には順番があります。
発達障害の有無にかかわらず、理解する、思考する、判断する、といったことをつかさどるエリアは、ゆっくり成長していくので、急いで上手に使えるようになる必要はありません。
小学校高学年くらいから発達しはじめると言われています。
ですから今は、やっきになって「どうすれば良いか、自分で考えて!」と促すのは、逆効果。
見守りながらも、うまくいかなくてイライラし始める前に、手伝いに入ります。
まだ充分育っていないのだから、できなくて当然なのに、できない自分にフォーカスしてしまっては本末転倒です。
今は人生の土台を作る期間ですから、自信を育むことが重要なのです。
息子は、「僕は、小さい子と遊んであげるの得意だからね」と自負し始めました。
妹ちゃんと遊ぶ水曜日は、帰宅するとすぐにお風呂に入り、宿題を済ませ、YouTubeを楽しむ時間もきちんと守れます。
自信は目には見えませんが、行動に現れるので、日々お子さんを観察しているお母さんなら、すぐに違いが分かります。
この先、きっと役に立つであろう力をそっと授けてあげることができるのは、子どものことを誰よりよく知っているお母さんです。
ぜひ、楽しみながら作戦を立ててみてくださいね。
自信の育て方、たくさんご紹介しています。
執筆者:髙田 礼
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)