お子さんの偏食に悩む方は多いと思います。私も悩んでいましたが、小学校入学後に息子が食べ物を飲み込めなくなってしまいました。それでも食事に前向きになれたコミュニケーションをご紹介します。偏食に悩むママに参考にしていただけたら嬉しいです。
【目次】
1.食べ物が飲み込めず痩せていく息子
2.発達障害・感覚過敏が偏食になる理由
3.食事に前向きになれるコミュニケーション
◆食べるものは本人に任せる
◆息子が望む食卓
◆できていることを褒める
1.食べ物が飲み込めず痩せていく息子
現在小学校2年生の息子は発達障害グレーゾーン、HSC(Highly Sensitive Child)です。
小学校に入学し、環境に慣れるのが苦手な中、頑張って通っていましたが、小学校1年生の6月に不登校になりました。
不登校になる前から食べ物が飲み込めない症状は現れていましたが、一時的なものだと思い、注意せずにいればそのうち治ると思っていました。
しかし症状はどんどん悪化し、口に入れても噛むことができなくなり、そのうち口に入れることも拒否し始めました。
なぜ飲み込めなくなってしまったのか、それは、給食や食事の時間、更にそれ以外の時間にも、小学校の担任の先生に怒られ続けたこと、私に怒られ続けたことにあります。
小学校という慣れない環境に普段ならできることができなくなっていた息子は、担任の先生からできない子と見られ、注意の対象になっていました。
私にも担任の先生から息子のできないことが書かれた手紙をいただきました。 その為、焦った私は息子に厳しくなり、悪循環に陥りました。
できないことを学校でも家でも注意され、怒られ、怒られることで余計にできなくなり、更に怒られるという負のループです。
息子はどんどん元気をなくしていきました。そして、食べ物を飲み込めなくなったのです。
もともと偏食があり、家では好きなものを食べることが多く、給食は幼稚園の頃はがんばって食べていただけで、苦手でした。
小学校の先生から苦手な給食の時間に、注意される、怒られることが続き、息子には地獄のような時間だったと思います。
家では、先生から箸が使えないと指摘され、家で箸の練習に力を入れ、怒鳴ってしまうこともありました。
大人側が食事を嫌いにさせる対応ばかりをしていました。偏食以前の問題でした。
みるみる痩せていく息子の姿に、自分のしたことを深く反省し、私ができることは何でもすると強く心に誓いました。
2.発達障害・感覚過敏が偏食の理由
発達障害のお子さんに偏食があることは多いですよね。 その理由に感覚過敏があります。感覚には五感といい、聴覚、触覚、視覚、嗅覚、味覚があります。
感覚過敏はそのそれぞれが過敏に感じ取ってしまうことです。反対に、感覚に著しい鈍感さがあるのは感覚鈍麻です。
外からの情報をそれぞれの機能で受け取り、「脳」で認識しています。 同じ情報でも、それをどのように感じるかは、その人の脳の刺激の受け取り方で異なります。
食事は五感を使います。食感・におい・見た目・味・音などです。
息子も感覚過敏があり、食事のときに、見ただけで「いらない」と言う(視覚)、口に入れた瞬間吐き出す(味覚、触覚)、「この料理臭いどかして」と言う(嗅覚)、お煎餅を食べていたら「うるさい」と言われる(聴覚)などがありました。
このように感覚過敏があると、偏食になりやすいです。
これはわがままではなく、特性によるものです。本人が1番辛い思いをしているということを理解してあげてほしいです。
感覚過敏が強く出る背景には不安の強さもあります。息子は小学校入学後の出来事が発達障害グレーゾーンとHSCの特性を強め、感覚過敏が強く出ました。
感覚過敏があるからと言って、偏食を大人まで持ち越したくはないですよね。
3.食事に前向きになれるコミュニケーション
そんなときに試していただきたいのが、食事に前向きになれるコミュニケーションです。
食べ物を口に入れることさえ拒否していた息子ですが、今では「ごはんだよ」と声をかければ食卓に着き、「いただきます」と食べ始めます。 私がしたことはこの3つです。
◆食べるものは息子に任せる
食べることを嫌いになってほしくない、食べることに関心を持ってもらう為に、息子が食べたいものなら何でもOKとしました。
息子に「何食べたい?」と聞くようにしました。 丸一日アイスしか食べない日が続くこともありました。
究極かもしれませんが、食べ物に栄養素が0のものはないですよね。
◆息子が望む食卓
食事をする際、息子だけ違うテーブルで食べたいと言うこともあったので許可しました。 家族で同じ食卓で食べるときには、他愛のない会話をし、叱ることや注意は一切しませんでした。
決して無理して明るくたくさん話す必要はなく、普段通りにすることを心がけました。 食卓に着きたくなくて癇癪を起こしていた息子が、自分から話して、家族で笑い合うほどになりました。
◆できていることを褒める
当たり前にできていることを褒めました。「席に座れたね」「いただきますって言えたね」「自分で食べられているね」「口に入れられたね」「もぐもぐできているね」などです。
食べ物を飲み込めない罪悪感があったのか、褒めの言葉に驚くのと同時に嬉しそうにしていたのを覚えています。
それ以降、徐々にですが、家族と同じテーブルで食べることも増え、飲み込めなくても以前食べていたものなら口に入れるようになり、「これ美味しそうかも」と新たなものにも挑戦する姿が出てきました。
これらのことから、食事には、息子自身の食事に対する気持ちを引き出すことが大切でした。これは偏食でも同じだと思うので、引き続きこの対応を続けていこうと思います。
我が家のように息子の心を壊してしまう前に、食事に前向きになれるコミュニケーションで、偏食を大人に持ち越さないようにママの声かけを変えていただけたら嬉しいです。
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執筆者:安室ゆう
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)